【天秤棒を担ぐ商人、鹿鳴館スタイルの女性、マント姿の紳士…】
近江八幡や日野とともに近江商人発祥地の一つといわれる滋賀県東近江市五個荘金堂町。その金堂地区を中心に秋分の日の23日、秋恒例のイベント「ぶらっと五個荘まちあるき」が開かれた。メインイベントは「近江商人時代絵巻行列」。近江商人が活躍した江戸時代末期~大正時代の衣装に身を包んだ100人余が古い町並みを練り歩いた。ふだん非公開の商家や社寺に伝わる家宝や寺宝、現代アート作家の作品などを公開・展示する「ぶらりまちかど美術館・博物館」も同時に開催され、終日多くの観光客でにぎわった。
金堂地区は旧五個荘町のほぼ中央に位置する。農業の副業としてスタートした綿・絹製品などの行商で財を成した商人も数多く、広大な敷地を有する商人屋敷が今も残る。金堂の名前は聖徳太子がこの地に金堂を建立したという伝承に由来するそうだ。金堂を代表する町並みが寺町・鯉通り。お寺と商人屋敷と錦鯉が泳ぐ清らかな水路が風情ある景観を形成する。20年前の1998年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれ、その町並みや屋敷は度々、映画やテレビのロケにも使われてきた。
近江商人時代絵巻行列は「第32回ごかのしょう新近江商人塾」の目玉催事。午後1時、チンドンマンのにぎやかな演奏と横断幕を先頭に近江商人屋敷外村宇兵衛邸を出発した。参加者は2台の人力車に乗った「東近江市レインボー大使」「近江日野しゃくなげ大使」をはじめ、鹿鳴館スタイルのドレス姿の女性、天秤棒を担ぐ近江商人、当時「はいからさん」と呼ばれた袴姿の女学生、立派なヒゲを蓄えたマント姿の紳士、商家の旦那さん、丁稚の少年たちなど総勢100人余り。途中、五個荘川並町にある福應寺で休憩の合間に参加者全員で記念撮影した後、ほぼ同じルートで商人屋敷まで戻った。
商人塾ではこの行列を挟んで、ステージ会場で日本の伝統芸能三番叟(さんばそう)やライブ書道、日本舞踊、ジャグリングショーなど様々な催しが披露された。小さなこどもたちが一日店長として商人体験するチャレンジマーケットの開催や、重伝建保存地区選定20年記念行事の一環として錦鯉の放流などもあった。「ぶらりまちかど美術館・博物館」では五個荘地区の23会場が無料公開された。その中でもとりわけ来場者でにぎわっていたのが近江商人屋敷。外村繁邸(外村繁文学館)では「TV・映画撮影ロケスチール展」、外村宇兵衛邸では「加賀友禅花嫁のれん展」が開かれていた。