く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<サワフタギ(沢蓋木)> 沢の上に生い茂る落葉低木

2018年05月01日 | 花の四季

【別名「瑠璃実の牛殺し」! 木灰は染色の媒染剤に】

 全国の山野に自生するハイノキ科ハイノキ属の落葉低木。5~6月ごろ、今年伸びた若い枝の先に円錐花序を出し白い小花を多く付ける。花は5つに深く切れ込み、多くの雄しべが花弁より長く飛び出してよく目立つ。秋になると、樹木では珍しく鮮やかな藍色の実を結ぶ。よく枝分かれし横に広がるのが特徴で、和名の「沢蓋木」も沢に蓋をするほど生い茂ることに由来する。

 材が緻密で粘りがあることから様々な器具材や細工物の材料として用いられてきた。サワフタギには「ルリミノウシコロシ(瑠璃実の牛殺し)」という別称がある。美しい実の色を表す「瑠璃実」はともかく、問題はそれに続く何とも物騒な「牛殺し」。実はこのウシコロシはバラ科の落葉樹「カマツカ(鎌柄)」の別名。サワフタギ同様、材が丈夫なカマツカはその名が示すように鎌の柄材とされたほか、牛の曳き綱を付ける鼻輪の材料にもなった。そのため別名ウシコロシに。カマカツの実の色はサワフタギと違って赤い。

 サワフタギにはもう一つ「ニシゴリ(錦織木)」という別名もある。これは古くから枝葉を燃やした木灰が紫紺染め、茜染めなどに利用されてきたことから。サワフタギやハイノキはアルミ成分を多く含み、その木灰が鮮やかに発色させる媒染剤として欠かせなかった。ハイノキ科のハイノキも「灰の木」を意味する。サワフタギの仲間には「タンナ(耽羅=韓国・済州島)サワフタギ」「クロミノニシゴリ(黒実の錦織木)」などがある。シロシタホタルガという蛾(ガ)の幼虫はサワフタギとその仲間の葉だけを食べて成長するそうだ。

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