く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<飛鳥寺> 釈迦の生誕を祝う花会式 日本最古の飛鳥大仏を前に

2016年04月09日 | 祭り

【万葉朗唱や万葉学者・上野誠氏の講演も】

 4月8日はお釈迦様の誕生日。各地の寺院で生誕を祝う潅仏会や花会式、仏生会が行われたが、奈良県明日香村の飛鳥寺でも花曇りの中、花会式が開かれた。飛鳥寺は日本最古の大寺院として蘇我馬子の発願により創建された。潅仏会も日本で最初にこの寺で行われたといわれる。

 飛鳥寺ではこの日、いつも閉じられている本堂の扉が開け放たれ、境内から本尊の飛鳥大仏(釈迦如来像)を参拝することができた。日本書紀によると、本尊の完成は推古天皇14年(606年)。渡来系氏族の鞍作鳥(くらづくりのとり、止利仏師)が造ったと伝わる。だが度重なる落雷による火災などで激しく破損し、当時のまま残っているのはお顔など一部にとどまるという。この日法要後に講演した万葉学者・上野誠氏(奈良大学教授)は「お顔の傷が飛鳥の歴史を物語る。この場所にいらっしゃることそのものが尊いのだ」と話していた。(写真㊨は以前堂内で撮ったもの=飛鳥寺は有名寺院としては珍しくふだんも堂内撮影OK)。

 

 飛鳥寺では花会式のこの日、参拝者たちに甘茶が振る舞われた。法要は時折桜吹雪が舞う中、午後2時から始まった。本堂前には色とりどりの花で飾られた花御堂。奠供(てんぐ)、散華(さんげ)などに続き、参拝者たちは読経が流れる中、花御堂の前に行列を作って甘茶を誕生仏に注ぎ手を合わせた。

 

 法要後には明日香村伝承芸能保存会による「万葉朗唱」があり、地元明日香にちなむ万葉集の歌が境内に響き渡った。まず志貴皇子の「采女の袖吹き返す明日香風都を遠みいたづらに吹く」(巻1-51)。旋律を作ったのは作曲家の黛敏郎。彼は万葉集の研究に生涯を捧げた犬養孝の横浜第一中学時代の教え子で、犬養の還暦を祝って〝万葉歌碑のうた〟を作ったという。

 

 朗唱の締めくくりは山部赤人が神岳に登って詠んだ歌「三諸(みもろ)の神名備山に五百枝(いほえ)さし……」(巻3-324)と短歌「明日香河川淀さらず立つ霧の思ひ過ぐべき恋にあらなくに」(同325)だった。その2つの歌を刻んだ大きな歌碑が境内の一角に立つ。書は歌人・国文学者の佐佐木信綱。朗唱に続いて上野誠教授が「万葉に学ぶ・飛鳥に学ぶ」と題して講演し、最後に家内安全と所願成就を祈念して参拝者全員で「般若心経」を唱和した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする