く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ミツガシワ(三槲、三柏)> 多年生の水草 白花の内側に縮れた毛が密生!

2016年04月12日 | 花の四季

【高層湿原に群落、尾瀬では鹿による食害が深刻化】

 ミツガシワ科ミツガシワ属の一属一種の多年生水草。主に北半球の寒冷地に広く分布し、日本では尾瀬国立公園など高地の湖沼や川のほとりなど水深の浅い場所で群落が見られる。太くて長い地下茎が泥の中を這って根を下ろす。「(水半夏(みずはんげ)」や「水柏」「沼牛蒡(ぬまごぼう)」「唐沢瀉(とうおもだか)」といった別名も。

 葉は3枚の小葉からなる。名前はその小葉がカシワの葉の形に似ていることに由来するといわれる。一方でカシワの葉を3枚組み合わせた「三つ柏」の紋に似ているところから、という説も。花期は春から初夏にかけて。直立した高さ20~40cmの花茎に、筒状で先が5つに裂けた直径2cmほどの白い花を十数個つける。花の内側には白く縮れた毛がびっしり密生。下から順に咲き上がるため花期は結構長い。

 葉にはゲンチアニンなどの苦味成分が含まれる。ドイツではかつてビール原料のホップの代わりに使われたそうだ。葉を天日乾燥したものは漢方で「睡菜葉(すいさいよう)」と呼ばれる。腹痛や胃もたれなどの際に煎じて服用する。ヨーロッパでも古くから民間の健胃薬として用いられたという。

 尾瀬の見頃は例年6月中旬から7月上旬にかけて。ただ1990年代半ばから姿を現し始めた鹿による食害が広がっている。特に根茎が大好物らしく掘り起こして食べるため被害が甚大という。ミツガシワは暖地にも氷河期の〝遺存植物〟として群落が点在する。京都市北部の深泥池(みどろがいけ)や東京都練馬区の石神井公園内の三宝寺池などで、いずれも多様な植物群落として国の天然記念物に指定されている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする