く~にゃん雑記帳

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<甘樫坐神社> 熱湯による古代の裁判「盟神探湯(くがたち)」神事

2016年04月04日 | 祭り

【仏像を傷つけたのは誰か? 寸劇でその模様を面白おかしく再現】

 NHKの大河ドラマ「真田丸」で先日〝鉄火起請(てっかぎしょう)〟の場面が放映された。赤く焼けた鉄片を手に乗せて火傷(やけど)の有無で漁民同士の争いに裁定を下す――。中世には犯人捜しや村落間の争いに決着をつけるため、鉄火起請や湯起請という過酷な裁判が度々行われた。湯起請のルーツは古代の〝盟神探湯(くがたち)〟に遡る。3日、奈良県明日香村の甘樫坐(あまかしにいます)神社でその模様を再現した「盟神探湯神事」が行われた。

 盟神探湯は神に盟(ちか)って湯を探ること。湯釜の熱湯に手を入れ、供述に偽りがあれば火傷をするという古代の裁判方法だ。盟神探湯は日本書紀の允恭天皇4年(415年)の中に記述が見られる。氏姓(うじかばね)を詐称する者が多くなり、氏姓制度の混乱を正すために神前で盟神探湯を行ったという。その釜は710年の平城遷都後、神社が現在地に移されたときに一緒に運び込まれたが、いつの間にかなくなったそうだ。

 

 神事は故事に基づき毎年4月の第一日曜日に開かれているが、昨年は雨天のため中止だった。87代目の飛鳥弘文宮司がたたく板木を合図に神事が始まった。場所はしめ縄が張られた謎の巨石「立石」の前。宮司が煮えたぎった湯釜に米と酒を注ぎ、祝詞奏上の後、笹を打ち振って列席者や見物客のお祓いを行った。その後、地元の氏子や明日香村を拠点とする「劇団時空」のメンバーたちによる寸劇が繰り広げられた。鮮やかな古代衣装は考古学者の猪熊兼勝氏(京都橘女子大学名誉教授)の考案という。

 

 寸劇は寺の仏像を傷つけた犯人を盟神探湯で見破るというもの。3人の容疑者が引き出され、せかされて1人ずつ恐る恐る熱湯に手を浸す。その愉快な様子や苦しい言い訳に、何度も見物客から爆笑が起きた。犯人は青い衣装に身を包んだ「物部青人」だった。青人は実際に一瞬手を入れ、飛び散った熱湯のしぶきがかかった容疑者の1人は「あちっ」と大声を上げていた。この後、見物客たちは宮司から配られた笹の葉を熱湯に浸し、無病息災のお守りとして大事そうに持ち帰っていた。

 

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