く~にゃん雑記帳

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<天理大学付属天理参考館> 特別展「天理参考館の珠玉」

2016年01月22日 | 考古・歴史

【世界各地の考古美術のお宝、初公開も含め56点】

 天理大学付属天理参考館(奈良県天理市)で、教祖130年祭特別展「天理参考館の珠玉」が開かれている。同館が収集してきた膨大な世界各地の考古美術品の中から、各地域の伝統文化を代表する逸品56点を展示中。その中には平安時代の「瓦経金剛般若経」や古代ギリシャの酒杯「コリントス式スキュフォス」、チベットの「経本西蔵大蔵経」(年代不明)など初公開のものも少なくない。人間国宝・三代田畑喜八作の京友禅訪問着2点も同館での展示は今回が初めて。3月14日まで。

 

 初公開のうち「瓦経金剛般若経」(重要美術品、上の写真㊧)は平安時代に姫路市の極楽寺(現・常福寺)裏山の経塚に埋められていたもの。江戸時代に瓦経500枚が出土し姫路藩主が回収したが、明治維新の混乱の中で大半が姫路城の濠に埋められ行方不明という。「コリントス式スキュフォス」は水平双把手付きの酒杯で紀元前7~6世紀のものとみられる。中国・殷時代のものと推定されるフクロウをかたどった酒壷「鴟鴞(しきょう)文ゆう」(写真㊨)やコンゴ共和国の「呪術人形」、「トルクメン女性の装身具」なども初公開。

 

 中国・唐時代のものでは「海獣葡萄鏡」(重要美術品)や「加彩鎮墓獣」(上の写真㊧)、「三彩釉駱駝」(㊨)なども展示。「加彩鎮墓獣」は墓に侵入しようとする邪悪なものを威嚇するために作られた中国明器(めいき)で、釉薬を用いず顔料で彩色した〝加彩〟という技法による。海外のものではネパールの仏画「八十四成就者」(下の写真㊧、部分)やロシアの「民族衣装を着た風俗人形(7点)」なども。シルクロードを渡って持ち込まれたササン朝(6世紀頃)の「ガラス製円形切子碗」(下の写真㊨)はまばゆいばかりの輝きが目を引く。同様の切子碗はローマ圏での出土例がなく典型的なササン朝ガラスとみられていたが、最近この碗を蛍光X線分析した結果、材質はローマ特有のガラスであることが判明したそうだ。

 

 田畑喜八の訪問着2点はいずれも縮緬地で、寒木模様(下の写真㊧、部分)と月見草模様。日本のものでは他に三代歌川広重の錦絵「東京上野鉄道開業式諸民拝見之図」、大正時代作の「土人形 武装した人」(下の写真㊨)、「津軽獅子舞の獅子頭」なども展示中。「土人形 武装した人」は彫刻家吉田白嶺が明治天皇桃山陵(京都市伏見区)鎮護のために制作したものとみられる。記録によると、御陵には中世武将のいでたちの高さ約90センチの土人形2体が埋められているという。同館蔵のこの2体は「多めに作って上出来なものが埋められ、これらはその残りだろう」とのこと。

 

 

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