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く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<BOOK> 『娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代「認知症」介護日記』

2016年01月21日 | BOOK

【砂川啓介著、双葉社発行】

 NHKラジオ深夜便の21日午前4時台の「明日へのことば」。語り手はかつて「体操のお兄さん」として人気を集めた俳優の砂川啓介さん(78)だった。この日のタイトルは「妻が認知症になったら」。10日ほど前に砂川さんが綴った本書を読み終えたばかりだったこともあって興味深くラジオに耳を傾けた。

         

 砂川さんの奥様は「ドラえもん」で有名な声優大山のぶ代さん(82)。舞台での共演をきっかけに結婚した2人はおしどり夫婦として知られ、共著の料理本を出したことも。だが大山さんは60代後半以降、次々に病魔に襲われる。直腸がん、脳梗塞、そしてアルツハイマー型認知症。2012年秋の発症以来、砂川さんの認知症との闘いが始まった。

 「ドラえもん」のイメージを壊すことを恐れた砂川さんはほとんど誰にも知らせず自宅で介護を続けた。しかし、70代後半の身には肉体的にも精神的にもこたえる。自身も13年秋、胃がんの摘出手術を受けた。「カミさんの介護を辛いと感じてしまう僕は、夫失格なのだろうか」。砂川さんは日々、自責の念にさいなまれたという。

 ラジオ番組で公表に踏み切ったのは昨年5月のこと。60年来の親友「マムシ」こと毒蝮三太夫さんの「1人で全部抱え込んでいたら、お前のほうが参っちゃう」「公表したほうが絶対に、お前も楽になるって」という助言からだった。反響は凄まじかった。同じように介護に苦闘している全国のリスナーから「勇気が出ました」など多くのメッセージが届いた。

 公表によって砂川さんにももう嘘をつかなくていいという安堵感が生まれ、「さまよい続けた暗い森に一筋の光が差したような……そんな気がした」。大山さんの症状も少しずつ落ち着いてきているそうだ。今心掛けているのは「彼女に対して決して声を荒らげないこと、怒らないこと」。そして「意識して彼女の容姿を褒めるようにしている」。

 さらに「公表後、友人に会せるようにしたことも、カミさんに良い影響を与えているのでないかと思う」。昨年7月には東京・六本木の店で、大山さんは長年の親友黒柳徹子さんと再会を果たした。その食事会に駆けつけた「マムシ」は大山さんの元気に笑う姿を見て驚いたそうだ。本書の表紙を飾るのは昨年8月に自宅で撮ってもらった1枚。2人の輝くばかりの笑顔と、砂川さんの右肩にぎゅっと置かれた大山さんの右手が印象的。それにしても大山さんは血色も良く実にお若い。砂川さんはラジオの「明日へのことば」で今後やりたいことを問われ、認知症の介護に携わる人たちの役に立つ体操を考えたいと答えていた。

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