く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ナノハナ(菜の花)> 冬の日差しを浴びて一足早く開花!

2016年01月19日 | 花の四季

【「油菜」「菜種」や「花菜」「菜花」とも】

 春の田園を一面黄色く染め上げる菜の花は、古くから春の風物詩として親しまれ歌にも多く詠まれてきた。「菜の花や月は東に日は西に」(与謝蕪村)、「菜の花の中を浅間のけぶり哉」(小林一茶)。「菜の花畠に入日薄れ……」で始まる『朧(おぼろ)月夜』(高野辰之作詞・岡野貞一作曲)が小学唱歌として教科書に載ったのは約100年前の大正3年(1914年)。以来、国民の間で広く歌い継がれてきた。

  菜の花は種子から良質の油が採れることから「アブラナ(油菜)」や「ナタネ(菜種)」と呼ばれる。アブラナ科アブラナ属の黄色い花の総称でもあり、採油とともに食用として古くから栽培されてきた。花期は一般的に2~5月だが、暖地では秋蒔きで12月頃から開花する。花は十字の4弁花。養蜂家にとっては大切な蜜源植物の1つでもあり、菜の花の開花前線を追って北上していく。油の搾りかすは飼料や園芸用肥料にも利用される。

 種子の色から「赤種」と呼ばれるアブラナは古く中国から渡来した。菜種油は室町時代の頃から使われ始め、江戸時代に入ると灯油の主役へ。その後明治初期には油の収量の多い「セイヨウアブラナ(黒種)」が導入され、在来のアブラナに代わって広く栽培されるようになった。江戸時代の蕪村や一茶が目にした菜の花は在来のもので、『朧月夜』に歌われた菜の花は別物のセイヨウアブラナだった可能性が高い。セイヨウアブラナは花の径が10~15ミリとアブラナより一回り大きく、葉や茎は白みを帯びた緑色。

 そのセイヨウアブラナの菜の花畑も近年、搾油用原料種子の輸入に伴って激減している。各地の河川敷などではセイヨウアブラナによく似たセイヨウカラシナの群落を見かけることが増えてきた。花壇や切り花など観賞用の菜の花は「ハナナ(花菜)」、食用の菜の花は「ナバナ(菜花)」とも呼ばれる。菜の花が観賞用として栽培されているのは日本だけという。切り花の主産地は南房総や伊豆、渥美半島など。菜の花は千葉県の県花にもなっている。

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