映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

映画 「ニーチェの馬」

2012年06月19日 | 日記

   

     1889年、ドイツの哲学者ニーチェは、イタリアのトリノでムチに打たれ疲弊
     した馬車馬の首に抱きつき、そのまま卒倒して精神が崩壊してしまったと
     伝えられています。
     「ヴェルクマスター・ハーモニー」や「倫敦から来た男」などで知られるハン
     ガリーの異才タル・ベーラ監督は、その疲弊した馬がその後どうなったの
     か・・・をイメージして製作したのがこの映画です。

     モノクロームの画面で、老いぼれた駄馬がひく荷馬車と、馬車を操る老人
     のシーンから始まりますが、全編を通してワンショットの長いシーンが続き、
     「一日目」~「六日目」と老人は娘と食事をして厩の掃除をしたり薪を割っ
     たり、娘も老人を助けて水汲みをしたり、食事の用意といってもジャガイモ
     をゆがくだけ、そんな単調な行動の連続で、セリフはほとんどありません。

     老馬も段々と動かなくなりエサを食べようとしなくなります。
     そしてとうとう大事な井戸が涸れてしまうのです。ランプの灯をつけても消
     えてしまい、押寄せてくる静寂の闇、老人も娘も向き合ったまま動きませ
     ん・・・。そこで映画は終わります。
     その後どうなったかは観客が想像するしかないのです。

     タル・ベーラ監督は、この映画は自分の最後の映画と公言していて、この
     芸術作品を見るのが当り前といった風格を備えているのは間違いありませ
     んが、私たちは映画は娯楽が大前提という精神を忘れてはいけない・・・も
     しそうでなければ必ず問題提起をしろと教えられてきていますので、監督
     の一人よがりの自己満足映画としか思えないのが残念です。

     勿論いくつか興味あるシーンはありますが、見ていてとても疲れるし、居心
     地が非常に悪いのです。
     と言っても当然賛否両論ありでしょう・・・。私の他愛ない感想とは違ったお
     考えをご披露いただけたら、これまた非常に嬉しいことです。
                        (6/12 KBCシネマ 4日目 12:30の回 30人)

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