「オール・アバウト・マイ・マザー」や「抱擁のかけら」などで世界的に評価さ
れているスペインのペドロ・アルモドバル監督が、アントニオ・バンデラスと
「アタメ」以来22年ぶりにタッグを組んだ異色の愛憎ドラマです。
物語の舞台になった街はスペインの古都トレド。
画期的な人工皮膚の研究開発に執念を燃やす形成外科医ロベル(アントニ
オ・バンデラス)は、かってやけどで非業の死を遂げた最愛の妻を救える筈だ
った"完璧な肌"を作り出すことを夢見ているのでした。
色々と経過があって、良心の呵責や倫理観も失ったロベルは、ある人物を監
禁して実験台にし、亡くなった妻そっくりの美女(エレナ・アナヤ)を作り上げて
行くのでした・・・。
この作品の評価は、またまた賛否両論に大きく分かれています。狂気、復讐、
倒錯も、監督の美意識で包まれていて実に面白く見たという人たち。
それに反して、これはゲテものもいいところで、物語自体が古めかしく辻褄の
あわないことおびただしい、アルモドバル監督らしからぬ薄い演出・・・と全くの
両極端です。
ただし劇中に登場するインテリアやアート作品もそうですが、特に衣装をジャン
=ポール・ゴルチエが担当していて中々素敵です。
いつも言うように、どんな作品でも好き嫌いがあり、どちらが正解とは言い難い
のですが、私はストリーの中のいくつかの要素がミスマッチで納得出来ないの
で、私の評価は後者です。
またほとんどの人が、もう一つの重要な要素をネタバレしないことから伏せてい
ます。
これを表面に出せば、私はますます納得出来ないことに連がりますが、次の機
会に改めてこの要素について取り上げたいと思っています。
(6/3 TOHOシネマズソラリア 2日目 10:00の回 24人)
付けたりですが、
「トレド」はマドリードから約70kの所にある街で、人口は約85,000人、旧市街全
体が古都トレドとして世界遺産です。
ルネサンス期に画家エル・グレコが活躍した街としても有名です。
街の外観は実に古めかしく、街角から甲冑姿の騎士が出てきてもおかしくない
感じですが、内部は極めて近代的で映画館もありますよ。
古い歴史と建物が残っていて、ここで何が起ころうと不思議ではないという雰囲
気が充満しています。この映画のバックグランドとしては最適かも知れません。
↑去年スペイン旅行中のスナップで、私の後方に広がるのが古都トレドです。