日曜日のこと。
この日は以前からハードル練習会が実施される予定となっていました。跳躍練習会に入れてもらう形での実施でした。一時期「ハードルの基礎をもう少し徹底していきたい」という気持ちがありました。その時単独でやろうかなと話をしていたのですが跳躍練習会が先に実施され始めたので、そのまま私個人の考えは立ち消え。先日、「ハードルはやらないのか」という意見をいただきいろいろな葛藤の中でやっていくことにしました。
実際問題、ハードルに関しては「何もしなくても上手い選手」がいます。昨年度大活躍してくれたkrkくんなどは典型的な例です。元々ハードルを跳ぶのがうまい。センスは抜群でした。しかし、その手の選手にはできても「普通の選手」にはできないことが多い。リード脚にしても抜き足にしても「見様見真似」でやっていることが多い。さらには導入段階で「見た目の動き」を重視したドリルなどをやるので「良くない癖」が付いてしまってそれを修正することが困難になる。なかなかだと思います。そういう部分を本当は早い段階で修正しておく必要があります。女子のハードル過剰に「ディップ」をしてしまう選手が多いのも大きな問題点だと思っています。そんなことよりももっとやるべきことがあると思っています。
基本は「足が速い」というのが重要です。スプリント種目で活躍できないからハードルをするという選手もいます。ハードルインターバルが届かない状況でのレースをする。速い選手が多いチームではこのあたりの苦労はあまり感じないかもしれません。「普通の選手」であればハードルインターバルをどのように走るのかというのが重要になります。ここの「基礎」をどれだけ理解できるか。一般的に「ハードルインターバルを刻む」と指導する方もいます。実際の動きを見ていたら「刻む」意識で走れる選手はごく一部です。高校生の大半は「届かない」のです。そちらに意識をおいた指導ができるかどうか。ここは重要。krkくんレベルになると「戦略」を重視して「どのようにレースを作るか」という感じになりますが、「普通の選手」にどのようにレースに臨ませるかは全く別の話です。
今回は「抜き足」と「空中での移動」を中心にしました。ある程度走れる選手も参加していましたが「基礎的な動き」としては不足する部分があります。単純に「足が速い」から速いという感じがあります。持ちタイムだけではなく「基礎」をしっかりと身につけていくことは重要。これができてきてから「実践的な練習」に入るほうが良いと思います。ハードルを何本も飛ばしたりすればうまくなるというのは違うと思っています。あくまで私見です。それでも速くなるのかもしれません。スプリントもハードルも「基礎の徹底」ができなければ次の段階の積み上げはできない気がしています。この部分は私自身冷静に見ていかなければいけない部分かなと。「ひたすら走る」「ひたすら跳ぶ」というのは最終的に「非効率的」ではないかと思います。
基礎的なこと。最初に簡単なドリルをやりましたがなかなかできません。普段やらない動きをしているというのもあると思います。午前中は「ハードルドリル」をしました。これは「ハードル選手のために特化したドリル」です。通常学校でやる「スプリントに活かすためのハードルドリル」とは少し違います。やりたいことは同じなのですが。例えば「リード脚」のドリルであれば「リード脚の引き上げ」と「腰の移動」を一緒にします。膝を締めて上方向に引き上げる。これで同時に腰が移動します。スプリントであれば「上」ではなく「前」になります。また、リード脚を伸ばしてしまう選手も多くいます。これは「早く降りる」事を考えているのかもしれません。「現象」として「膝から下が伸びてくる」というのではなく「意図的に膝から下を降り出す」とい動きをしてしまう選手がいます。低いハードルやハードルインターバルが短い練習であれば有効かもしれません。が、実践的ではない。こういう「癖」をなくしていく必要性がある。
特に「抜き足」の動きが大きな課題になります。これができない。間違いなくどこかの段階で「抜き足」を教わっています。しかし、ここですでに「本来やりた動きではない」部分を身につけてしまっています。これはしんどい。ハードルを数台並べて一般的なドリルをする。ここで「抜き足を寝かしてしまう」のです。見た目の動きとしては「寝ている」かもしれません。しかし、これは間違いなく「実践的ではない」と思います。股関節が上手く使えていない中での抜き足です。実際には「立てる」という話をします。きちんと「股関節を詰める」という練習をしていく必要があります。動きながらそれができるとは思わないのでその「前段階」をやっていく必要があります。普段の練習の中でも使える動きだと思っています。ハードルドリルの中には間違いなくスプリントに活かせる動きが含まれています。
「抜き足」の運び方に加え、「どのように抜き足を接地するか」も重要だと思います。私はハードルを「4のリズム」で越えるほうが良いと思っています。ショートハードルであれば「3歩」という言い方をしますが、これは「抜き足を1」として数えます。「リード脚を1」として数えるとリズムが安定していくると思っています。この話を大学院で競技をしていた国体選手と話をしたときに「修士論文」は「4のリズム」で走ることについてやったというようなことを話していました。これも考え方です。「1」が接地しても「抜き足」の「2」がきちんと使えなければハードルインターバルでの走りがつながりません。特に高校生のレベルではこの「抜き足」で地面にどのように力を加えるのかが重要だと思います。大半の選手が抜き足が「寝てしまう」ので、前まで持ってくることができずに終わります。それによりハードル間が届かなくなる。考えれば当然の話しです。
踏切位置。人によっては「近くから踏み切る」と言われるようです。これに関しては私自身「理解できない」ので説明できません。物理的に考えて水平方向の移動を生み出したいのに近くから踏み切れば鉛直方向に動くことになります。高校生レベルでは「遠く」から「遠く」でいいと思っています。ある程度の水準になったら「走る」事が重要になるので「早く降りる」ことも必要になります。が、「ハードル上での移動」ができなければ「ハードルインターバルが届かない」という状況になる。「インターバルを走る」ほうが速いに決まっています。しかし、レース後半にバウンディングのようになるのであれば大きな失速は避けられません。私達が指導しているのは「普通の高校生」です。その選手に必要なことをやっていく。
うーん。かなり長くなりました。書きたいことを書けたかどうか。まだまだ書き足りない部分があります。参加した選手がこのblogをみて「課題の確認」をすることができれば良いのかなとは思います。機会があればこの手のことも書いておきたいなと思います。