思うこと。感じたことを。
水曜日。学校の練習が終わってからまた別の場所へ。親しい指導者から「時間があるときに少し教えてほしい」と言われたいたので。時間的にかなり厳しい状況でしたが少しだけでもと思って。専門外の指導をしなければいけないということでどうしたらいいのか悩んでおられました。GWに1度数人の指導をさせてもらいました。話がかみ合っていなくて練習開始時間が遅いのかと思っていたら、その方がグランドに行ける時間が少し遅くなるということでした。実際に到着した時にはすでに練習が終わっているときでした。申し訳ないなと。
それでも「少しだけでも」と残ってくれた選手が数人。何ができるかわかりませんが。県総体に向けて何ができるかということでした。10日間しかありません。それでも「リレーを」ということでした。10日間の中で「リレー」でできることは何かなと。とにかく「バトンを最後まで運ぼう」という話をしました。4人のうち2人が3年生です。バトンをフィニッシュ地点まで運んでこれたらいいなと思います。それがこの10日間でできることなのかなと。
バトンの「受け渡し」の部分の基礎。どのように渡すか。どのようにもらうか。小学生の運動会とは違います。ある程度のスピードで走ってくるのでそのなかでどうやってもらうのか。渡すのか。手の出し方から。さらには「利得距離」の部分の話も。原点に返るという感じがしました。これだけですが選手は目を輝かせている感じがしました。「自分たちの力を出してリレーをしたい」という気持ちが伝わってきます。
私が顧問になって1年目のことを思いだしました。私が顧問になって同時に1年生女子が1人だけ入ってきました。女子は4人しかいません。1人は3年生、ほとんど練習に参加したことがない。二人は長距離、これもジョグが中心でやっていた。「ジョギングクラブ」のような感じでした。それでも1年生に県総体を経験させてあげたい。が、個人では参加できないのでなんとかリレーだけでもというところから指導がスタートしました。何もないところから無理矢理組んだ4継。それが2年後に涙が止まらないマイルでの中国大会出場へとつながります。スタートはリレー。その部分を思い出しました。
どのチームにもそれぞれぞ事情があります。それまでの流れがあります。初任校では私が無理矢理流れを作りました。前任校では陸上部だった部分を陸上競技部に変えようとしてかなりの軋轢が生まれました。もっとゆっくり変化を待てば違ったのかもしれません。今考えるとですが。多分ゆっくり変化を求めていても最終的には同じだったかなと思います。「求めているもの」が違えばやはり最終的に元に戻るのだから。やはり「一生懸命にやる」という選手を大切にしたい。ここは変わらない。
話が飛びましたが元に戻します。
10日間で何ができるか。いや、それはなかなか難しいのです。が、本人達が「なんとかしたい」と思っているのであればそこに対して最善の流れを作りたいなと。バトンの基礎と「失敗しないための練習」をしっかりとやってもらいたい。これまでの流れでやっていた部分を少し変えてもらいました。たくさんやっても仕方ないのでメインになる部分に集中してもらう。「バトン合わせ」をメインにしてもらいました。2日に1回のレベルでやってもらう。
バトン練習は全力でやらなければ意味がなくなります。そうであれば短時間で「足が速くなる」可能性があります。渡す方ももらう方も最大スピードを出します。その部分の本数を絞ってでもやる。「失格しないため」にどうするかという話もしました。これまで聞いたことのない話だと思います。
「リレーゾーンは何メートルあるか知っている?」と聞くと苦笑いしていました。分かりません(笑)。話の流れの中でアップの話になったので「アップの目的は??」と聞くとこれも苦笑い。これまでは特に何かを考えてやっていたわけではないのです。これはこの子達が悪いわけでもなんでもない。もちろん顧問の先生が悪いという話でもない。「陸上競技をする」という部分が浸透していないだけなのです。その辺りのことを簡単に話をしました。
「雨が降ったらどんなことをすればいいか」や「ヨンパのレースペースはどうすればいいか」という質問もありました。試合に向けてできることを伝えました。軸作りをしたり、バトンの出のタイミングを取るという練習が雨の日にはできます。走るとか補強をやり続けるという感じではなく「今必要なことは何か」をするのです。
40分程度だったでしょうか。それでも残って話を聞いていました。まだ何もわかっていないのかもしれません。「知らない」から「知っている」に変化していく。それが「できる」になっていくと面白くなると思います。3年生にとっては最後の県総体です。残りの10日間の中で何をするのか。多くのことはできません。リレーを組むために必要なことに絞ってやっていければいいのかなと思います。
その場に副顧問の先生もいらっしゃいました。話をずっと聞かれていました。社交辞令かもしれませんが「面白い」と言われていました。色々な練習には理由があります。なぜやるのか。何の意味があるのか。そこを踏まえてやっていくことで楽しくなります。できなかったことができるようになるからです。その姿を見て「楽しい」と思ってもらえると私としても嬉しいですね。
こうやって話をしていて気付いたことが。やはり私は「陸上競技が好き」だなということ。別に指導をするのが好きなのではない。一生懸命にやろうとしている選手に対して何か力になれればいいなという部分です。日本一を目指そうとする選手であっても県総体でリレーで予選通過を目指す選手であっても、「一生懸命にやる」というのであれば何ら差はないのです。この日こうやって「何とかしたい」と思う選手や指導者を目の当たりにして強く思いました。ここが原点だなと。
私が関わったから強くなったなんていう気はサラサラありません。そんなことに楽しさは感じないから。それよりも「目を輝かせてやっている」選手に対して何ができるのか。上手くいかずに落ち込んでいる選手に対して何ができるのか。そこを考えることが最高に楽しい。私自身は陸上競技が好きなんだなと。そこが全てなんだと感じました。
上手く書けないですが。好きだから誰かの役に立てたら良いなと思います。「一生懸命にやる」というのが大前提ですが。頼られたらそれに応えたい。もちろん私にできないことも沢山あります。それでも何ができるのであれば。
率直に感じたことを書いておきます。