kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

基礎基本をやる

2022-07-12 | 陸上競技

月曜日の練習のことを。

 

kd先生指導で「短距離の基礎」をやることになっていました。重心移動がほぼない中での練習。タイムリーにネットニュースに「基礎的なことの徹底」の内容がありました。重心の移動がある動きをやると動きが崩れる部分があります。それをどれだけ徹底的にやれるか。

 

朝原3世 「地味練」が実を結び代表切符 陸上世界選手権

 

速く走ることを競う種目なのでどうしても「進む」ことが求められます。能力的に高い選手であればそれで進んでいくのだと思います。動きをあまりいじらないほうが良い選手もいるのは事実です。しかし、「普通の選手」であればやはり「効率よく走る」ために必要な動きを身に付けていく必要があります。これにはかなりの時間を要します。そして、「根気強さ」も求められる。ちょっとやってすぐに改善されるものではない。毎日毎日時間をかけて徹底的にやることで変化が生まれる。

 

中国大会以降は「重心移動がない」という中でひたすら基礎的な動きをやってきました。「足運び」がメインです。直線的に足を運ぶことを身に付ける。回らないようにする。膝が開かないようにする。イメージ的には「山縣選手」のような動きだと思います。もちろん選手によって「下腿」の動きが違ってきます。リラックスして膝から下が出る選手もいますが。力を加える方向は変わってはいけない。

 

これまでは「足の動き」のみでしたが、kbt先生の要望により「応用編」に進みたいと。重心の移動を伴うと膝が開いたり、接地がずれたりします。ここをどれだけ我慢強くできるか。崩れたらまた前段階に戻るという繰り返しだと思います。こういうスタンスなので時間がかかります。これは上述の記事にある坂井選手も同様なのではないかなと。やりたいことを丁寧にやる。正確にやり続けることで動きは変わっていく。

 

そういえば近畿の高校に練習見学に行ったときに「以前は100mのミニハードルをやっていた」という話を聞いたことがあります。100mをひたすら正確に走る。京都のrkn高校も長い距離でミニハードルを置いて練習をされます。正確な動きを徹底させること。ここが需要だと思います。今は「重心移動」がない状況で正確に動くというのをやっていく。数か月これができれば劇的に変化すると思っています。

 

この日は最初は壁に手をついての引き出し。これまでは直立した状況でやっていました。腰の移動が全くない中での足運び。この日は少し体を傾けて「膝の引き出し」と「腰の移動」を生み出します。膝が前に出ることで腰が進む。これが重心移動につながります。大きくではなく少しの移動だけ。これまでやってきた「直線的な運び」を繰り返します。少し前まで引き出すので意識が甘い選手は膝が開き始めます。更には戻すときに軌道が変わってしまう。直線的に動かして直線的に戻す。ピストン運動のような感じですね。正確にやるというのがどれだけできるか。飽きてくる選手も出てくると思います。地味ですから。それでもここでどれだけ正確にやるかは大きい。

 

かなりの時間やってから今度は「ハードル」を使っての練習。2台を使って少しだけ重心移動を生み出します。これまではハードル1台を使っての運びでしたが2台を背中合わせにおいて0.5足長くらい離す。それを足が越えていって接地する。ほんの少しですが重心移動が生まれます。この段階でまた崩れる。接地場所がずれたりします。空き時間に「その場での膝締め」をやらせながら何度も繰り返します。「雑」な選手はこのあたりから飽きてきます。他の練習と比べると圧倒的に地味なので。

 

指導としては「正確にやらせる」ことだと思っています。ポイントがどこにあってそれをどのように身に付けさせるか。崩れてしまう部分を見てまた前段階に戻す。派手な練習もありますが時間をかけて「正確な動き」を身に付けることは長い目で見たときに大きいと思っています。「この練習をやればいい」というのではなく「何が重要か」をこちら側が理解してそれを伝えていく。この作業がどれだけできるか。「徹底させる」のが私の役割だと思っているのでこの時間は選手の近くで小言を言い続けます。

 

かなりの時間やってから「ハードル連続歩行」を。これも前段階でやってきた「重心移動がないハードル歩行」から「少しだけ移動する」という流れの中でやっていきます。移動をすると膝が開いたり接地の方向がずれる。私も少しお手本を示しましたがkd先生に「開いている」と指摘を受けました(笑)。もう少し手本が示せるように練習しないといけないかもしれません。3種類くらいハードルを準備して段階に応じて実施。できなければ移動が少ないほうに移動してやり直し。できれば次の段階へ。とにかく繰り返します。

 

最後に重心移動がほぼない中での移動。半足長ずつ進んでいく感じでしょうか。5mを40歩とかになります。直線的に引き出して直線的に接地する。進むと開いたり回ったりする。これをどれだけ修正できるかです。スピードで誤魔化すのではななく丁寧にやり続ける。これが定着してくると最終的に「勝手に進む」ようになります。この日は本当にこれだけしかやりませんでした。徹底的です。これを夏休みが終わるくらいまで徹底できれば見違えるように動きが変わると思います。地味です。だからこそやり続ける必要がある。

 

「才能」とはなにか。何もしないでも走れるのも「才能」だと思います。が、「努力をし続ける」ことも他には負けない大きな「才能」です。大半の選手は途中であきらめてしまったり、集中力が切れてしまいます。できないのであればできるようになるまで徹底的にやる。時間があればそれを基礎の徹底に使う。それくらいの感覚がなければ「大きな逆転」はできないと思っています。

 

補強が強くなっていません。ここが大きな問題点かなと思います。「やっている」のは事実です。が、それが身になっていないのであればやはり考えるべきです。しつこくしつこく言い続けないとできないのであれば言い続けるしかない。結局は「その気になる」かどうかだだけです。ここができれば勝手に強くなる部分が出てくると思います

 

まだまだ。やっていることを信じて取り組んでいければと思いますね。

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ハードルインターバルの感じについて

2022-07-12 | 陸上競技

またもマニアックな感じの話になります。ひょっとしたら少し前に書いたかもしれませんが。

 

中国大会などを見ていると明らかにハードルインターバルが詰まっている選手がいます。練習不足というよりも「感覚」の問題ではないかなと思っています。あとは「距離感」かなと。ある程度意識づけをしなければ高校生はどうしても手前のハードルに目線がいきます。実際は踏み切る段階ではそのハードルは関係ない。踏み切るときには次のハードルを見る必要があります。自分とハードルの「距離感」をつかむためです。見ていると着地して何歩か走ってからハードルに目が向く選手がいますが、この段階ですでに進んでいるので距離の調整が難しくなります。

 

高校生にもある程度のレースパターンを決めておく必要があると思っています。行き当たりばったりの流れの中では安定感が生まれません。先日のネットの記事にkrk君のことが載っていました。「高校時代はパターンが決まっていなかった」と(笑)。kd先生とkrk君と話をする中で「4台目まで13歩」「8台目まで4歩」「残り2台15歩」にしようとなっていました。が、いつも安定しない。9台目まで14歩で行ってしまったり(笑)。その日の調子によって違ってくるとは思います。それでも「作戦」としてある程度事前に決めておくほうが安定してくると思っています。

 

例えば前半15歩で5台目まで行く。16歩で5台目まで行く。そのパターンを決めておいてから「状況」に応じてパターンを変更する。バックストレートの向かい風が強いのであれば4台目まで15歩にするとか3台目まで16歩にして切り替える。これはレース間に決めておくほうが安定すると思います。とっさの判断でハードルの手前で減速するというのは避けたい。「良いレースをする」という部分では直前のちょこちょこを避けたいからです。

 

その関係でハードルを早い段階で視界に入れておく。踏み切った瞬間に次のハードルをとらえておくことで、「距離感」が見えてきます。同じ15歩や16歩であっても向かい風が強ければ少しストライドを大きくしなければいけません。逆に追い風であればピッチが必要になります。それをハードル直前で判断するから「遠い」とか「詰まる」とかの話になります。15歩や16歩を使ってトータルで「調整」する必要があります。

 

分かり切ったことですが「届かない」からといって最後の数歩で大きくなって跳ぶようではきちんとした踏切ができません。最後の3歩くらいで調整をするからこのような状況が生まれます。15歩で走るのであれば真ん中の10歩くらいで「少しストライドを伸ばす」ことで調整ができます。1歩で「5センチ」伸ばすのと最後の3歩で「17センチ」ずつ伸ばすのでは全く踏切の感じが違ってきます。歩数が多い分1歩ずつでうまく調整すれば間延びしたりしません。「詰まる」場合も同様です。直前で一気にストライドを小さくして調整するのではなく途中の10歩で少しずつ小さくしておけば直前で無理やりピッチアップして減速することはありません。そのためには「ハードルとの距離感」を必要とします。この距離だったらどれくらいの歩数で走れるのかを判断する必要がある。

 

kd先生が好まれていたのは「ランダムハードル」です。決められた距離ではなく適当にハードルを置いてそれを越えていく。ハードルとの距離感をつかむことで次のハードルをどのように超えていくのかを判断します。とっさの逆足の練習にもなります。直前で判断ではなく早い段階で判断することがスムーズなハードルにつながると思います。

 

この部分は「レースパターンを決める」というのと矛盾するように思われるかもしれません。とっさに判断する必要はないのではないか。確かにその部分だけを見たらそうかもしれませんが、「ハードルとの距離感」をどのようにつかむかという中では重要だと思います。直前でピッチアップするというのではなく、ある程度の距離の中でストライド調整をする。踏み切った瞬間に次のハードルとの距離感を認識してどのように対応するかを判断する。

 

単純に走るだけではなくこのあたりの「感覚」が磨けるとレース中のロスがなくなっていきます。だから「走力だけ」ではない部分が出てくる。走力差を埋めることができるのです。もちろん、走力があるほうが間違いなく速い。しかし、前の記事に書いていたような「自分に合ったレース展開」を作ることで勝負することができる。同じ走力であれば「展開」によって大差をつけることができると思います。スプリントの2秒差くらいであればきちんとした展開ができれば勝負できるのではないかと思っています。相手もきちんとした展開になると無理ですが(笑)。

 

このあたりの練習が色々あると思っています。工夫次第で感覚を身に付けることができる。

 

結構真面目な記事。面白くはないですが(笑)。

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