酢豚のひとりごと

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『金閣寺』

2011-02-05 09:13:08 | 演劇
「金閣寺」  神奈川芸術劇場
原作:三島由紀夫  脚本:セルジュ・ラモット  演出:宮本亜門  
出演:森田剛・高岡蒼甫・大東俊介・中越典子他

神奈川芸術劇場のこけら落としの舞台である。

子供の頃、父から金閣寺の美しさをいつも聞かされていた溝口(森田剛)が、金閣寺の修行僧となる。
単調な繰り返しの毎日のなかで、同性愛を匂わすような同僚(大東俊介)との関係に唯一の安らぎを見い出していたが、その同僚も死んでしまう。
コンプレックスと強い自意識を抱える彼の心の中では、美しかったはずの金閣寺も、いつか乗り越えなければならない対象として立ちはだかる。金閣寺は消さなければならないと思いつめた彼は・・・。

シンプルなセットを機動的に動かし、山川冬樹のホーメイと呼ばれる声?や大駱駝艦の舞踏を使いながら、追い詰められていく彼の心理状態がうまく表現される。

ただ溝口のモノローグを他の役者さんが語るところが随所にあるが、三島の言葉の美しさを見せるという宮本亜門の狙いには効果的だが、芝居の流れを寸断する結果にもなる。

また終盤の金閣寺炎上シーンがもっと美しく、衝撃的であれば、ラストの溝口の「生きよう」という言葉がもっと立ち上がってきたのにと惜しまれる。

若者のどうしょうもない鬱積した気分が、一つの狂気を生むという点では、先日小栗旬が演じた、「時計仕掛けのオレンジ」のアレックスと共通のものを感じた。


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