「雨」 新国立劇場中ホール
作:井上ひさし 演出:栗山民也 出演:市川亀治郎・永作博美・梅沢昌代他
(ネタバレあります)
時代は江戸、場所は両国。金物拾いの徳(市川亀治郎)が、雨宿りをしていると、一人の老人から平畠の喜左衛門さんではないかと声をかけられる。最初は相手にしていなかったが、間違えられた相手が紅花問屋の旦那で美人の奥方おたか(永作博美)もいると聞いて・・・徳は羽前平畠へと向かう。
一世一代の大勝負と、財産と奥方を手に入れるため殺人まで犯して必死に喜左衛門になりきったつもりの徳。上手くいったはずが、気が付いたらお家の維持のために、まわりに騙されていたことを知るという悲しい男のお話。
亀治郎は歌舞伎そのままの演技だが、内容が歌舞伎にありそうな話なので上手くはまっている。目力でしっかり舞台を支配。
ribbon時代のかわいい面影を残す永作博美。どことなくあやしい女主人を好演する。たださばさばした感じがこの芝居に合っているかどうか。もう少し妖艶な雰囲気が欲しい気もする。ラストシーンで着る黒の羽織が似合わないことなど考えると、永作には軽やかな現代劇の方が向いてそう。
勝負をかけた一人の成り上がり者。一方で中央の権力から組織を守るため、地方の藩や紅花問屋がぐるになっての大勝負。勝負をかけたもの同士のせめぎ合い。
井上ひさしの時代ものはやっぱり面白い。
東京公演は明日6月29日まで