酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

四月大歌舞伎

2008-04-27 00:25:08 | 演劇
今回の昼の部の話題は、中村玉三郎・片岡仁左衛門の「湯野(ゆや)」と、先の二人に中村勘三郎が加わった「刺青奇偶(いれずみちょうはん)」であろう。

それぞれ見所はあるのだが、私には三人の出ない「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」が一番面白かった。近松半二ほかの原作で、通しで五番あるうちの今回は四番目の「十種香」が上演された。
時間的には短いが歌舞伎の面白さが、バランスよく組み込まれている。
衣装や舞台の色彩の美しさ、八重垣姫のクドキの場面での柱に振り袖を巻き付ける「柱巻き」、武田勝頼の追っ手となる白須賀六郎や原小文治の派手な演技などなど・・・悲劇のはずなのに結構楽しい。
また勝頼役の中村橋之介が凛々しくて良い。前は女優三田寛子の旦那としてしか見ていなかったが、最近舞台での存在感がすごい。

その他の演目
「刺青奇偶」の作者は「瞼の母」や「一本刀土俵入」の長谷川伸。私がもともと人情ものがきらいなせいもあるが、泣かせどころがいかにもという感じで入り込めなかった。加えて勘三郎の声がかすれて、いつもの精気が感じられないのも気になった。

「湯野」は朝顔役の中村七之介に注目。玉三郎と仁左衛門の名コンビの中で、見栄えでも、セリフの張りでも遜色ないのが頼もしく感じた。