読書気分(29年7月)
使える薬がなくなり、とうとう抗がん剤のない生活が始まりました。
頼るもののない不安はありますが、あとはがんと仲良く付き合っていくしかありません。
でもいままで攻撃してきたので、がんは仲良くなってくれるかな?
7月に読んだ本
近藤史恵『ときどき旅に出るカフェ』
三崎亜記『チエーン・ピープル』
佐藤勝明『俳諧の歴史と芭蕉』
金子敦句集『音符』
☆近藤史恵『ときどき旅に出るカフェ』
主人公は会社勤めの37歳の独身女性。舞台は会社で後輩だった女性が一人で経営するかわいいカフェ。10編の短編が並ぶ形式をとっているが、それぞれの話を進めていくなかで、カフェの若い女性店主の核心へとミステリー風に迫っていく。内容はドラマチックだが、外国のお菓子がふんだんに出てきて、イメージはソフト。
☆三崎亜記『チエーン・ピープル』
ルポルタージュという仕事を生業とする人物がちょっと変わった人物に取材した6編のお話。少し理屈っぽい文体だが、話は中々ユニークで面白い。現代社会の怖さがじわっと来る感じ。お薦めだがぼんやり本を読みたい人には向かないかも。
☆佐藤勝明『俳諧の歴史と芭蕉』
伊賀市が芭蕉生誕370年を記念して開いた五回の講座の講演録がまとめられたもの。
1章の貞門、談林の部分は少し退屈だが、芭蕉の話になると俄然面白くなる。例えば、五月雨の句を例にあげて、芭蕉の句とそれ以前の句の違いを述べているなど具体的でわかりやすいのもいいところ。芭蕉に関心のある人にはお薦め。
☆金子敦句集『音符』
浴槽にあひるの浮かぶ良夜かな
冬晴の渚までゆくクラス会
炎帝が雷門を跨ぎけり
半分に割り焼藷の湯気ふたつ
定員は妖精ふたり花筏