酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『偉大なる、しゅららぼん』

2014-03-28 21:54:19 | 映画


「偉大なる、しゅららぼん」

監督:水落豊、原作:万城目学、出演:濱田岳・岡田将生・深田恭子・渡辺大・貫地谷しほり・笹野高史他

琵琶湖湖畔に超能力者の一族「日出(ひので)家」と「棗(なつめ)家」があった。お互いに争いを繰り広げてきたのだが、日出家の跡取りであり、最強の“力”の持ち主とされる淡十郎(濱田岳)のもとに、分家から修行のため涼介(岡田将生)がやってきて、同じ高校に入学したことから違う騒動が巻き起こり、いつしか戦う敵は・・・・・。

インパクトがあるとは言えないが、よくまとまった映画でそれなりに面白い。
彦根城など滋賀県の景色も上手く生かされている。
ただ惜しむらくは、緊迫感、疾走感にかけ、全体的にウェットな印象である。

また「美しい」にこだわっているはずの、主人公の淡十郎自身が美しいのか美しくないのかはっきりしない点も爽快さを妨げているかもしれない。

『悪霊』

2014-03-18 12:13:59 | 演劇


「悪霊」 KAAT×地点 共同制作作品  於:神奈川芸術劇場 大スタジオ

原作:F.ドストエフスキー、演出・構成:三浦基、衣裳:コレット・ウシャール、美術:木津潤平
出演:安部聡子 石田大 小河原康二 岸本昌也、窪田史恵 河野早紀 小林洋平 永濱ゆう子 根本大介


百人程度の観客に大劇場なみの大きな舞台。始めから終わりまでのほとんどの時間、役者達は外周をぐるぐる走りながらセリフを言う。
鳴り続ける不安な音、絶え間なく降り続ける雪、役者の変わった動きと抑揚を変えたセリフなど、視覚、聴覚を刺激する構成にはなっている。ただそれが一つになって胸に響いてはこない。
これが軽い芝居であれば気楽に見られるのだが、内容はドストエフスキーの『悪霊』。見ている方も結構体力がいる。

劇団「維新派」のように言葉と動作に特化してしまえばまた違う魅力も出ると思うのだが、ドストエフスキーの哲学的で意味ある言葉がかえってさまたげになる。
小説『悪霊』の魅力・雰囲気が伝わってきたかというとそれも十分とは思えない。

『悪霊』を読んでいない受け手に問題ありかもしれないが、先進的で実験的な試みに、残念ながら私はついて行けなかった。
公演は2014年3月23日(日)まで

『小さいおうち』

2014-03-16 20:19:30 | 映画


「小さいおうち」
監督:山田洋次、原作:中島京子、脚本:山田洋次・平松恵美子
出演:松たか子・黒木華・吉岡秀隆・妻夫木聡・倍賞千恵子他

昭和11年、田舎から出てきた若い日のタキ(黒木華)は、東京の外れの赤い屋根のモダンな平井家の家でお手伝いさんとして働く。
そのタキ(倍賞千恵子)が晩年につづっていた大学ノートに書かれた自叙伝が残された。それを手にしたタキの親戚の健史(妻夫木聡)は、幸せに見えた平井家にあった意外な真実を知る。

愛の映画であり、戦争を見つめ直す映画であり、ちょっとミステリアスな面もある多面的なところが興味深い。

この映画のポイントは、自叙伝を書きながら、年老いたタキが「自分は長く生きすぎた」と大泣きしたシーン(写真)にあると思う。その原因は彼女がずっと一人で抱えてきた秘密にあるのだが、具体的なことは映画では語られず、鑑賞者の想像に委ねられる。
渡さなかった手紙のこと、平井家の奥さま(松たか子)に嘘を言ったこと、好きな人に自分の思いを伝えられなかったことなど、想像はいろいろできる。ただどのケースを当てはめてみても、タキのセリフと大泣きが私にはしっくりとはこないのである。
映画をもう一度見るか原作を読めば解決するのかもしれないが、今のところはもやもやを抱えたままである。

妻夫木聡が年寄り思いの爽やかな青年を好演。「表に出ろいっ!」などの舞台で注目していた黒木華(この映画でベルリン国際映画祭最優秀女優賞を取った)や松たか子も演技が自然でいい。


読書三昧(26年2月)

2014-03-01 11:32:54 | BOOK


読書三昧(26年2月)

抗がん剤が強くなったせいか、今度は白血球が大きく減って来た。中でも重要な成分である好中球が少しになってしまい、免疫力がなくなっているみたい。抗がん剤投与も延期になり回復を待っているところ。

2月に読んだ本
ダン・ブラウン『インフェルノ』
桜木紫乃『蛇行する月』
小山田浩子『穴』
乃南アサ『新釈にっぽん昔話』
「沖」玄海支部合同句集『石筍6』

☆ダン・ブラウン『インフェルノ』
『ダ・ヴィンチ・コード』の作者であるダン・ブラウンの作品。
フィレンツェ・ヴェネチア・イスタンブールの美術などの観光案内と、登場人物のめまぐるしい追っかけっこの二つが組み合わさった小説。
映像が目の前に広がってきて文句なく面白いのだが、主人公が何故そんなに飛びまわらなければならないのか、何故無理やり難しくしたような謎を解かなければならないのか、は今一つ納得できないでいる。

☆「沖」玄海支部合同句集『石筍 6』
コロッケの楕円は春のかたちかな  梅村すみお
少年のやうな少女の草の笛     大川ゆかり