八月納涼大歌舞伎『野田版 愛陀姫』 歌舞伎座。
オペラ「アイーダ」が原作。
「アイーダ」はエジプトの将軍とエチオピアの王女とエジプトの王女の三角関係のお話。といっても将軍とエチオピア王女(囚われの身)は相思相愛、エジプト王女は将軍への片思いだが。
これを日本に置き換えたのが、今回の野田秀樹作・演出の『野田版 愛陀姫』。前評判が高かったせいか、補助席も出る人気。
エジプトの将軍は斎藤道三の武将(橋之介)で木村駄目助左衛門、エジプト王女は濃姫(勘三郎)、エチオピア王女は織田信秀の娘で愛陀姫(七之助)という設定。
これにいんちき祈祷師の男女(扇雀と福助)がからむ。権力者道三に取り入ってしたたかに生きる祈祷師に存在感がある。特に福助が楽しそうに演じているのが、気持ちよく笑える。
将軍との愛を貫く愛陀姫(信秀の娘)を演じる七之助は仕草といい、声といい女性になりきっている。歌舞伎でこれほど女性になりきっていいのだろうかと心配になる程。セリフも明瞭で申し分のない演技である。
これに対して濃姫役の勘三郎がちょっと苦しい。『通し狂言 裏表先代萩』の政岡の時も感じたのだが、勘三郎の女形は熱演すればするほど、かすれ声で苦しそうに聞こえる。野田独特のたたみかけるようなセリフの流れに乗りきれていない感じ。
野田秀樹の芝居としては面白さにちょっと欠けるが、歌舞伎座の広い舞台をふんだんに使い、歯切れのよい演出を見せている。
オペラのアイーダでは本物の象が登場することもあるらしい。今回は、かわりに透明風船の象が出てきた。歌舞伎の若手が差し上げなから舞台上で動くのだが、役者がどこか照れ臭そうな表情をしているのが微笑ましかった。
歌舞伎をはみだした歌舞伎の一面を見た気がした。
オペラ「アイーダ」が原作。
「アイーダ」はエジプトの将軍とエチオピアの王女とエジプトの王女の三角関係のお話。といっても将軍とエチオピア王女(囚われの身)は相思相愛、エジプト王女は将軍への片思いだが。
これを日本に置き換えたのが、今回の野田秀樹作・演出の『野田版 愛陀姫』。前評判が高かったせいか、補助席も出る人気。
エジプトの将軍は斎藤道三の武将(橋之介)で木村駄目助左衛門、エジプト王女は濃姫(勘三郎)、エチオピア王女は織田信秀の娘で愛陀姫(七之助)という設定。
これにいんちき祈祷師の男女(扇雀と福助)がからむ。権力者道三に取り入ってしたたかに生きる祈祷師に存在感がある。特に福助が楽しそうに演じているのが、気持ちよく笑える。
将軍との愛を貫く愛陀姫(信秀の娘)を演じる七之助は仕草といい、声といい女性になりきっている。歌舞伎でこれほど女性になりきっていいのだろうかと心配になる程。セリフも明瞭で申し分のない演技である。
これに対して濃姫役の勘三郎がちょっと苦しい。『通し狂言 裏表先代萩』の政岡の時も感じたのだが、勘三郎の女形は熱演すればするほど、かすれ声で苦しそうに聞こえる。野田独特のたたみかけるようなセリフの流れに乗りきれていない感じ。
野田秀樹の芝居としては面白さにちょっと欠けるが、歌舞伎座の広い舞台をふんだんに使い、歯切れのよい演出を見せている。
オペラのアイーダでは本物の象が登場することもあるらしい。今回は、かわりに透明風船の象が出てきた。歌舞伎の若手が差し上げなから舞台上で動くのだが、役者がどこか照れ臭そうな表情をしているのが微笑ましかった。
歌舞伎をはみだした歌舞伎の一面を見た気がした。