酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(28年6月)

2016-06-30 20:20:10 | BOOK



読書三昧(28年6月)

CT検査があり癌は少し大きくなった。ただ先生が思ったほどではなかったらしく、今の薬を続けることに。今の薬はお腹の調子が悪くなるので結構つらいのだが、新しい薬になるとまた新しい副作用と闘わなければならなくなる。
どっちもどっちなので、ここは先生の判断に任せることにしよう。

6月に読んだ本
金原ひとみ『軽薄』
西尾維新『掟上今日子の挑戦状』
桐野夏生『バラカ』
澤村伊智『ぼぎわんが来る』
折原一『死仮面』
蜷川幸雄・山口宏子『蜷川幸雄の仕事』
関森勝夫『近江蕉門俳句の鑑賞』


☆金原ひとみ『軽薄』
若くして綿矢りさと一緒に芥川賞を取って話題になった作者の最新作。
知的になったというのが適当かどうかはわからないが、ともかく随分成長した感じ。ただ彼女が芥川賞後の結婚やフランス生活などの経験すべてを盛り込み過ぎたため、前半は理屈っぽく感じる。自立する女性の一つの生き方を示すものとして深いと言えば深いのだが、小説としての面白さはいまいちかな。最後の急展開は面白い。

☆西尾維新『掟上今日子の挑戦状』
またまた掟上今日子。私にとっては4作目であるが、5月に読んだ『掟上今日子の遺言書』より前の作品。中編3編を収録。中では第一章の「掟上今日子のアリバイ証言」がいい。
完全犯罪を狙う元水泳選手の鯨岡が、アリバイ工作の相手になんと偶然掟上を選んでしまうという設定。一晩寝れば彼女はすべて忘れてしまい・・・。
全体の雰囲気はいつもと変わらず。びっくりするほどではないが、なんとなく読まされてしまうのだ。

☆桐野夏生『バラカ』
面白いけれど登場人物があまりに都合よく出てきて死んでしまう。原発問題という重い問題を背景に置いているが、人物の描き方が軽いためそれが十分響いてこない。

☆澤村伊智『ぼぎわんが来る』
第22回(2015年)日本ホラー小説大賞受賞作。確かにホラーではあるが、怖いというより楽しい小説。映像化すれば結構恐ろしいものになりそうだが、この作者の文章にはお笑い的なとぼけた味わいがあり、小説としてはそこが魅力。

☆折原一『死仮面』
夢・作中の小説の中のこと・現実それぞれが入り組み過ぎて、私にはこの作品のつじつまがあっているのかどうかわからないほど複雑。多分時系列の表でも作って解読しないと理解不能かも。ただ、はらはらどきどきの江戸川乱歩風の世界の面白さには引き込まれる。
この作家は過去に『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞を受賞している。

☆蜷川幸雄・山口宏子『蜷川幸雄の仕事』
蜷川幸雄が亡くなる前、2015年12月の発行。蜷川の業績や魅力を余すところなく伝えている。写真も多いので気軽に読める。
多分朝日新聞でずっと適格な劇評を書いてきた共著者山口宏子(現朝日新聞論説委員)の力であろうと感じられる見事な出来上がり。私もこの10年ぐらい蜷川の芝居を多数見てきたので、読んでいていろんな感慨がわいてくる。蜷川ファンにはたまらない一冊。

☆関森勝夫『近江蕉門俳句の鑑賞』
近江蕉門10名の俳句を細かく鑑賞することにより、その人物も浮かび上がらせようとする試み。芭蕉の弟子として名前を知っていても、句を読んだことのない人物もいて興味深い。

『ACT ART COM – アート&デザインフェアー2016 -』

2016-06-17 18:38:27 | 美術
「ACT ART COM – アート&デザインフェアー2016 -」
会場:The Artcomplex Center of Tokyo (ACT)

ご家族とのつながりで知り合いになった、若いイラストレーター「石川なお子」さんの作品を見に四谷三丁目のACTへ行って来ました。




写真のとおり中々風情のあるビル。一部屋に四・五人の共同展示で、それが同じ階にいくつかあります。石川なお子さんは女性をテーマにした部門の一人。大学卒業後も制作意欲は衰えていないようです。





他の階には外国人留学生の作品もありました。同じようなテーマでも、微妙に味わいが違うのを興味深く感じました。1時間ほどでしたが、若い人の作品を見るのは刺激になります。

会期は6月19日(日)まで

『川端康成コレクション 伝統とモダニズム』

2016-06-01 23:58:02 | 美術



『川端康成コレクション 伝統とモダニズム』  (於)東京ステーションギャラリー

川端康成のコレクションの美術品に加え、川端が文学者たちと交わした手紙などの文学資料が展示されている。

美術品特に絵画は全般的に暗い印象のものが多い。川端の好みであろうか。
中では東山魁夷の作品に魅かれる。ノーベル文学賞のお祝いという『北山初雪』も目をひくが、『雪降る』や外国の街を題材にした『ストックホルムグランドホテルより』など小品にもひかれた。

資料関係では川端の失恋相手である伊藤初代の手紙や太宰治が芥川賞を熱望して川端に懇請している手紙など生々しく興味深いものがたくさんある。
川端康成ファンには見逃せない展示か。

本展示には東洋大学の通信の授業で『雪国』などの講義を聞いた平山三男先生も監修として参画されている。スクーリングが懐かしい。

2016年6月19日(日)まで