酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(26年11月)

2014-11-30 18:24:11 | BOOK


読書三昧(26年11月)
月の後半「腫瘍マーカー」が悪い方に急上昇。急遽薬の一つが変更になった。今度の薬の副作用は、顔にニキビのような吹き出物が出ること。最近つるつるになっていた頭に黒い毛がはえてきたし、加えてニキビが出たら若返るかも。そんな呑気なこと言ってられないんだけど・・・。


11月に読んだ本
柚月裕子『蟻の菜園』
村上春樹『羊をめぐる冒険』
平岩弓枝『私家本椿説弓張月』
湊かなえ『Nのために』
野田秀樹『20世紀最後の戯曲集』
森岡正作句集『風騒』

☆柚月裕子『蟻の菜園』
ミステリーとしては、にぶい私でも途中で結論がわかってしまう程度。ただ小さい頃父親からDVを受けた姉妹が、手段を選ばない方法で助け合いながら生きていく話としての迫力は凄い。

☆平岩弓枝『私家本椿説弓張月』
滝沢馬琴の原作『椿説弓張月』を平岩弓枝が現代文で書き直し手を加えたものであるが、これがびっくりするほど面白い。鎮西八郎為朝が京都・肥後・筑紫・八丈島・琉球まで駆け回り活躍する話。
スケールが大きくおおらかさが半端でない。あらためて江戸時代の作家の凄さを感じる。

☆湊かなえ『Nのために』
テレビのドラマが終わるまで本は開けないと決めていたが、テレビが第三話に来た時点で誘惑に負けて読んでしまった。面白い。本が先だったら少しわかりにくいかもしれないが、ドラマで概略の筋が見えていたのでするする読めた。
ドラマは12月まで続く。テレビではどういうラストになるか楽しみ。

☆野田秀樹『20世紀最後の戯曲集』
「Right Eye」「パンドラの鐘」「カノン」の三篇を所収。
舞台で見る野田芝居は動きや言葉遊びに目を取られてしまうが、戯曲に見る野田はもう少しシリアスな面が見える。比較が面白い。

☆森岡正作句集『風騒』
畳拭く始終を萩の風通し
弁慶のやうに煤竹振り回す
園児らのはるばる蝌蚪の国に着く
ゐのこづち付けて世継ぎの帰りけり
白神の風騒風狂雪来るか

『ドラキュラZERO』

2014-11-17 16:36:43 | 映画


「ドラキュラZERO」

監督:ゲイリー・ショア、主演:ルーク・エバンス

国や家族を守るためヴァンパイアになった男の愛と苦悩の物語。
戦いのシーンは迫力あるが、息子や妻への思いの描き方は類型的であまり魅力はない。
今ひとつスカッとしないのはドラキュラがいい人として描かれているためだろう。
基本的には悪の方が物語は面白い。

ラストで現代へ移る「落ち」は悪くない。

『生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 ~ムーミンと生きる~』

2014-11-14 16:40:40 | 美術


「生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 ~ムーミンと生きる~」  於:そごう美術館

「トーベ・ヤンソン展」に行ってきました。自画像・静物画・風景画・抽象画などその多彩さがわかる展覧会です。中にはゴーギャンを思わせるような絵もあります。
と言ってもやはりみんなのお目当ては「ム-ミン」。挿絵の原画などが多数展示されています。描かれている黒の線の美しさ、カラーの絵のほのかな色合いも魅力的です。女性の「かわいい」「かわいい」という声があちこちから聞こえ、おばさん達が幸せそうに見ているのが印象的でした。

会期は11月30日まで。


『デスノート・THE MUSICAL』

2014-11-10 23:20:19 | 演劇


「デスノート・THE MUSICAL」

ミュージカル「デスノート」の製作発表に行ってきました。ホリプロと日本テレビの共催。会場は帝国ホテルの宴会場。かなり力入ってます。
見たところマスコミ50人、一般客150人といったところでしょうか。

まず舞台で使われるミュージカルナンバー三曲を初披露。夜神月役の浦井健治と柿澤勇人(ダブルキャスト)が一曲。弥海砂役の唯月ふうかとL役の小池徹平がそれぞれ一曲です。中では夜神月の歌が心に残りました。浦井・柿澤の歌声も非常に伸びやかで素晴らしいです。本番(2015年4月6日~29日:日生劇場)が楽しみ。

ホリプロの社長の挨拶では、日本発の第一号ミュージカルとして韓国はじめ海外でも上演を目指すとのこと。
後は音楽担当のフランク・ワイルドホーン、演出の栗山民也と出演者が舞台に並び挨拶と質問への回答。最近はテレビでも活躍が目覚ましい死神リューク役の吉田鋼太郎がミュージカルメンバーの中で、すっかりアウェー気分だとか、笑いを取って観客を喜ばせていました。

最後はメンバーの撮影。テレビや新聞でどの程度取り上げられるのか。明日が楽しみです。

『チューリヒ美術館展』

2014-11-06 18:22:55 | 美術館


「チューリヒ美術館展」 於:国立新美術館 
 
日本とスイスの国交樹立150年を記念して開催。

印象派以降の有名画家の作品とスイスにゆかりの画家の作品など74点を展示。
数の多い中ではマルク・シャガールの作品6点に見どころがあり、エドヴァルド・ムンクには今まで持っていたイメージとちょっと違った作品が見られる。
ピカソは2点だが、パワーのある作品が来ているし、アンリ・ルソーの「X氏の肖像(ピエール・ロティ)」やルネ・マグリットの「9月16日」などが私には魅力的だった。
他にスイスを代表する彫刻家アルベルト・ジャコメッティの作品も見られる。

展示数もほどよく、ゆったり見られるのがうれしい。
会期は12月15日まで。


『あなたに会ったことがある・3   ~チェーホフの短編小説より~』

2014-11-04 11:07:35 | 演劇


「あなたに会ったことがある・3 ~チェーホフの短編小説より~」MODE公演
(於)上野ストアハウス

出演:石井ひとみ、山田美佳、力徳 朋、斉藤千夏、斎藤由衣
榎本純朗、森 優太、江藤修平、高橋洋介、松本 修 

「失踪者」、「城」、「変身」、「審判」などカフカの小説で魅力的な舞台を作ってきた松本修の構成・演出。
今回はチェーホフの短篇小説の舞台化と聞いていたので、いくつかの作品を一つの物語にして演じるのかと思っていたが、8編の作品をそれぞれに上演。間に松本修の解説が入るレクチャー的な要素もありユニークな舞台。
短いのであっさりした感じだが、洒落ていて面白かった。中でも『劇作家』や『男爵』が好み。
どれもチェーホフがチェホンテというペンネームを使っていた早い時期のものだそう。『かもめ』や『桜の園』などと違い都会が舞台のものもあった。
チェーホフの短編集さがして読んでみよう~っと!

公演は11月3日で終了

☆8月に書き忘れた舞台
「ハエのように舞い 牛は笑う」はえぎわ公演 (於)東京芸術劇場シアターイースト
作・演出:ノゾエ征爾  出演:井内ミワク、町田水城、鈴真紀史、滝寛式、竹口龍茶、笠木泉 他


読書三昧(26年10月)

2014-11-03 09:51:54 | BOOK


読書三昧(26年10月)
抗がん剤の副作用で、歯がぼろぼろになってきた。食事ができなくなると困るんだけど・・・。

10月に読んだ本
岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿3―心を乱すブレンドは』
横山悠太『吾輩ハ猫ニナル』
内田康夫『風葬の城』
下村敦史『闇に香る嘘』
吉武千束 句集『太古のこゑ』

☆岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿3―心を乱すブレンドは』
この小説を読むとつい比較してしまうのが、三上 延の『ビブリア古書堂の事件手帖』のシリーズ。私は文章の流れや主人公のもつ雰囲気から、『ビブリア』の方が数段上回ると思ってきた。しかし『ビブリア』の巻5が多少息切れを感じたのに対し、今回の『珈琲店タレーラン』の巻3は充実した作品になっている。
パリスタ(珈琲を淹れる知識や技術を持つ人)大会に参加した「珈琲店タレーラン」の切間美星が競技中に起きた異物混入事件を推理し解決していく話。事件が続いて起きるのに大会が順調に進んでいくことに違和感はあるが、推理のための新しい事実がどんどん出て来ることで引き込まれる。
私の中で二つの作品の評価はかなり接近してきた。

☆横山悠太『吾輩ハ猫ニナル』
第57回群像新人文学賞受賞作。
ともかくとぼけた味わいの小説である。
中国で暮らす日本人の「わたくし」が、「日本語を学ぶ中国人を読者に想定した小説を書く」ことを思い立つ。
主人公は日本人の父と中国人の母をもつ青年。ビザの関係で一人で日本に行くことになるのだが、秋葉原で猫ニナルというお話。これでは何の話かわからないが、とりあえず読んでもらうことにして、この小説のいいのは夏目漱石との小説の絶妙の距離感にあると思う。

☆下村敦史『闇に香る嘘』
第6回江戸川乱歩受賞作
中国残留孤児問題をしっかり描きながら、ミステリーとしても面白く読ませる。ただすべてに緻密に描かれている上、主人公が盲目であることなどから全体に印象は重い。
現代の小説としては異質で、好みは分かれるだろう。作中に出てくる点字の暗号文は江戸川乱歩の『二銭銅貨』を思わせ興味深いが、凝りすぎていて現実には相手にうまく伝わるのが難しい気がするが・・・。

☆吉武千束 句集『太古のこゑ』
春や子の棒持てば土叩きけり
落椿あなたでしたかあの音は
霜柱踏めばはきはき応へけり
亡き夫の月日も遺品盆支度