酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

東洋大学スクーリング

2008-05-27 15:23:47 | 東洋大学
一昨日までの日曜日3回、「近現代文学演習」のスクーリング授業でした。

テーマは江戸川乱歩の「緑衣の鬼」。翻案の原作であるイーデン・フィルポッツの「赤毛のレドメイン家」も読みました。
指導は百瀬久先生。受講者は27名でした。

二回の講義のあと、「緑衣の鬼」の各章の分担を与えられ、一人一人研究発表しました。
「緑衣の鬼」が連載された年は、二・二六事件の年。当時の世相と絡めて発表する人や乱歩の文体に焦点を当てる人、「赤毛のレドメイン家」の相違を深く追及する人もあり面白い時間を過ごすことができました。

『失われた時間を求めて』

2008-05-11 22:35:14 | 演劇
作・演出 長塚圭史
出演 中山祐一朗・伊達 暁・長塚圭史・奥菜 恵
ベニサン・ピット

補助椅子を通路までならべて超満席。阿佐ヶ谷スパイダースと長塚圭史への期待の大きさが感じられたが、残念ながら現時点では失敗作と言わざるを得ない。

落葉降る公園のベンチ。そこに集まる三人の男(中山、伊達、長塚)と一人の女(奥菜恵)。
男二人と女は探しものをしている。それは猫であったり、出口であったり、時間であったりするのだが、それぞれが確かだと思えるものを求めている。
いつまでも消えない心の不安を、不条理劇風のセリフのやりとりで、浮きたたせたいようだが、成功していない。
不条理劇のセリフは話しているうちにどんどん違う方向にいってしまう怖さがあるのだが、この芝居ではセリフが堂々巡りしてしまっている。

メンバーが脚本段階から参加する、阿佐ヶ谷スパイダースとしては新しい試みだそうだが、長塚のロマンチストの部分だけが残ったような芝居になってしまった。
舞台にはやはりメリハリが必要だろう。冗長なセリフを理解しようとするだけで、肩がこる。

離婚や自伝出版で話題の、奥菜恵も起爆済にはならなかった。

ラストの拍手の小ささが、客席の戸惑いを感じさせた。


『黒蜥蜴』

2008-05-03 10:10:46 | 演劇
江戸川乱歩な一日。

まず、ル・テアトル銀座で芝居『黒蜥蜴』を見る。
原作が江戸川乱歩で、脚本は三島由紀夫。演出・主演は美輪明宏。他に高嶋政宏、木村彰吾などが出演。

女盗賊の黒蜥蜴(美輪明宏)と名探偵明智小五郎(高嶋政宏)の、〈愛〉と〈ロマン〉の物語というのがキャッチフレーズ。究極の退廃的耽美世界ともある。

江戸川乱歩・三島由紀夫・美輪明宏がそろえば期待も大きくなるのだが、残念なことにテンポが遅く、盗賊・探偵の物語としては緊迫感がない。演技のレベルにもばらつきがあり、美しいはずのセリフも十分伝わったとは言いがたい。
主演の美輪明宏が丸山明宏の名前で、舞台や映画に黒蜥蜴役で主演したのが1968年で、40年前。時代の経緯を考えれば間延びした雰囲気になるのもやむをえないか・・・。

ただカーテンコールでの美輪明宏の存在感にはびっくり。笑顔で客席に目をやりながら、胸の前で手を交叉したり、手を合わせたりするのだが、どんなポーズもオーラがすごかった。

芝居の行き帰りの電車で読んだのは江戸川乱歩の『緑衣の鬼』。フィルポッツの『赤毛のレドメイン家』を乱歩風に書き替えた小説である。
5月の大学のスクーリングで、両小説の比較がテーマになりそうなので、あわてて読んでいるところ。
とにかく好きなことをやって過ごす一日は楽しい。