酢豚のひとりごと

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「恐れを知らぬ川上音二郎一座」

2007-12-12 00:27:31 | 演劇
「恐れを知らぬ川上音二郎一座」 三谷幸喜作・演出
新装なったシアター・クリエの柿落し公演です。

ボストンに行った川上音二郎が、前日一日だけの稽古で「ヴェニスの商人」を日本
流で演じてしまうという破天荒なお話。
上演にいたるまでの一晩のドタバタと当日の「ヴェニスの商人」が劇中劇として演じられます。

出だしの講釈師役の堺正章は、声がかすれて聞き取りにくい上に、歯切れがいま
一つで、出だしはちょっと不安。

しかし脇役の女優陣が圧倒的な迫力でそれをカバーします。
緊張すると体が固まる戸田恵子(助川タエ)、津軽弁を立て板に水のように話す堀口敬子(伊東カメ)、そして怪しいアメリカ女性瀬戸カトリーヌ(ホイットモア夫人)。それぞれ張り合うように個性を主張、笑いをとっていました。

主演の二人ユースケ・サンタマリア(川上音二郎)と常盤貴子(川上貞)は淡白に見えますが、周りが芸達者だからちょうどバランスがとれていいのかも。
他に堺雅人さん(伊達実)もいつものニコヤカな表情で頑張ってました。

全体に笑いどころ、泣かせどころが上手く散らしてあります。観客まで音二郎芝
居の客として巻き込んでしまうのも三谷さんらしい演出。
いつもながら三谷幸喜さんの話づくりのうまさには感心させられます。

過去の芝居「決闘!高田馬場」の爽快感、「コンフィダント・絆」の内容の深さ、「社長放浪記」の笑いには、少しずつ負けていますが、それでも楽しいことには変わりはありません。

三谷さんの芝居にハズレはないとあらためて感じさせてくれました。
幸せな気分で劇場を出たことは言うまでもありません。