酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

カサノバ

2006-06-26 23:39:35 | 映画
監督は「ショコラ」のラッセ・ハルストレム。主演は「ブロークバック・マウンテン」のヒース・レジャー。
ポスターの怪しさやプレイボーイ「カサノバ」のイメージとは全く違い、びっくりするほど健全な映画。
深みはないが、ともかく楽しい。歌のないオペレッタという感じか。
宗教や女性の地位のセリフにスパイスを利かせているのだろうが、残念ながら、字幕では十分に読み取れない。
ベネツィアの美しい風景と、カサノバの純愛を素直に楽しめばよいのだろう。
母親の終幕での再登場と本当のカサノバは誰かという、ささやかなサプライズが用意されている。

DEATH NOTE(デスノート)

2006-06-24 00:48:54 | 映画
「週刊少年ジャンプ」に連載され、単行本で1500万部を売り上げたという漫画の実写映画化。
金子修介監督
デスノートに名前を書かれた人間は死ぬ。ノートを手に入れた夜神月(やがみライト/藤原竜也)は、犯罪者を次々に殺し、キラの名で世間に有名になる。対抗する謎の天才L(松山ケンイチ)は知能戦でキラに対抗。FBIを捜査に投入するが、キラに全員殺される。キラとLとの知能戦が続くが・・・。
警察の捜査本部長は、夜神月の父夜神総一郎(鹿賀丈史)。
ドライなタッチと、緊迫感がうまく溶け合い、意外な結末まで一気に進展する。漫画を読んでいなくても十分楽しめる。
CGの死神リュークがなんの違和感もなく、一人の役者として映像化されているのはお見事。
穏やかな世なら、絵空事の話として思いきり楽しめたのに、優等生が引き起こす最近の殺伐とした事件が鑑賞の邪魔をするのがつらいところ。
藤原竜也と松山ケンイチが、それぞれ個性的で好演。「初恋」で好演の藤村俊二が、Lの連絡役として、ここでもいい味を出している。



初恋

2006-06-21 19:24:08 | 映画
「初恋」・「3億円事件」・「ジャズ喫茶」など昭和40年代が青春だった者にとって、魅力的な言葉が並ぶ。
疎外感を持ちながら、ジャズ喫茶に入り浸る高校生みすず(宮崎あおい)。
その喫茶店の常連の東大生岸(小出恵介)から、ある日3億円強奪の計画を打ち明けられる。岸に淡い思いを寄せるみすずは、初めて自分が必要だといってくれた男の頼みに応じ、計画を実行へと移す。
宮崎あおいのものうい表情と、けだるい時の流れが印象的な映画と言えようか。
高校生が3億円事件の犯人という設定は面白いが、淡い恋心だけで強盗をやってしまうというのは、余りに安易。主人公みすずの意思はどこにあるのという感じ。
演技派宮崎あおいをもっと個性のある女性として使って欲しかった。
とりまく若者たちも当時のエネルギーが全く感じられず、昭和四十年代という時代背景の中に、現代の無気力な若者が動いている風で、最後までその違和感が解消しなかった。
バイク屋の親父をやった藤村俊二の演技が光った。


メタルマクベス

2006-06-14 22:04:57 | 演劇
青山劇場で「メタルマクベス」を見た。
脚色はいま最高に乗っている宮藤官九郎、演出はいのうえひでのり という注目作。
西暦2206年のESP王国の将軍ランダムスター(マクベス)の話と1980年代のヘビメタバンド「メタルマクベス」の話が同時進行。これに製作が「劇団☆新感線」とくれば、どうなるの??となるのだが、意外にもシェークスピアの原作「マクベス」に忠実に進行する。
3人の魔女の予言から、王を殺し自分が王になるのだが、暗殺をけしかけた妻とともに、狂気の末に破滅するという話。
見ものはヘビメタバンドの生演奏と主役の内野聖陽・松たか子のはじけっぷり。
特にマクベス夫人役の松たか子の、暗殺をけしかける悪女から罪の意識に狂っていく心弱くなった女への転換が出色。面白い舞台になっている。
ただ残念だったのは開始早々の魔女たちのセリフがはっきりしないのと、内野聖陽のラストの決めぜりふがマイクのエコーで聞きとれなかったこと。
もう千秋楽も近いのに今まで何故修正しなかったのか不思議である。


ダ・ヴィンチ・コード

2006-06-07 20:30:29 | 映画
長くて込み入った原作を、非常にコンパクトにわかりやすくまとめている。
ルーブル美術館・パリの街・イギリスの教会などの映像も美しく、映画全体の印象がさらっとしているのが好ましい。
カンヌ映画祭をはじめ、評判がいまいちと聞いていたが、意外に面白かった。
私が注目したのは、オドレイ・トトゥ。5年前「アメリ」で夢見る少女を演じた時、いたずらっぽい目に魅了され、3回も見てしまった。
その後、「ロング・エンゲージメント」では、恋人の戦死が信じられず一途に捜し求める足の悪い女性を演じ、「ダ・ヴィンチ・コード」では、キリストの血をひく女性という役柄である。
もう27歳だからしようがないけど、今回もシリアスな役で、ほとんど笑顔を見せないのが残念。やっとラスト近くでトム・ハンクスとのシーンの微笑に、また「アメリ」を思い出してしまった。

デイジー

2006-06-04 00:02:38 | 映画
おすぎさんお勧めの「デイジー」を見た。
オランダの景色とデイジーの花を上手く使って、しゃれた感じの映画に仕上がっている。
女性画家ヘレン(チョン・ビヒョン)は、デイジーの花を贈りつづけてくれる謎の男に憧れている。彼女の前に現われたのは、その男なのか。
ゆったりとすすむ前半から一転、後半はミステリーとアクション仕立ての激しい展開を見せる。銃に撃たれて、一度目は言葉を失い、二度目には死んでしまうヒロインはあまりに悲しい。
ラストシーンの、雨宿りで「どんな未来も変えられる」という刑事の上司の言葉は、悲劇性を和らげようとしたのだろうか。死んだはずの人達が出てくる、このシーンの必要性には賛否が分かれるところだろう。
後半のアクションに懐かしさを感じると思ったら、香港映画「インファナル・アフェア」のアンドリュー・ラウ監督であることに気がついた。
韓国映画はあんまり見なくて、「猟奇的な彼女」「気まぐれな唇」に続いて、実は生まれてから3本目だけど、今回のが一番インパクトは薄いかな。
上映館の「キネカ大森」の手作り風上映スケジュールに、いつも面白いコメントが書いてある。「デイジー」については「美しい風景の中、恋愛あり、アクションありの豪華幕の内弁当のような娯楽作」とあった。

太田記念美術館

2006-06-03 09:55:36 | 美術館
浮世絵の美術館(JR 原宿駅徒歩5分・地下鉄千代田線 明治神宮前駅徒歩3分)。
6月・7月は 歌川広重の「東海道五十三次のいろいろ」と名づけ、広重の9種の東海道シリーズ(行書東海道・隷書東海道・美人東海道・狂歌入東海道など)の版画の中から、宿駅ごとに二・三点ずつを展示。
シリーズの違いを比較出来、また当時の旅の様子もわかり興味深い。
ただ、同じ広重の「名所江戸百景」と比べ印象は地味で、原宿ついでに寄る若者や外人には物足りないかもしれない。
私が興味を持ったのは、丸子と岡部の作品。芭蕉の俳句「うめ若菜丸子の宿のとろろ汁」の「とろろ汁」や、森川許六の「十団子も小粒になりぬ秋の風」の「十団子」を食べさせる茶店が描かれている。そこにはきびしい旅の中での、くつろぎがある。
浮世絵・俳句・歌舞伎・小説など、江戸時代への興味がどんどん広がる。