酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(27年8月)

2015-08-31 17:51:50 | BOOK


読書三昧(27年8月)

薬を変えるか変えないか判断するためCT検査をした。癌は少し大きくなっていた。抗がん剤が一時、癌細胞に攻め込み優勢だったのだが、癌が反撃し今は押されている。一度押され始めると、もう抗がん剤には押し返す力はない。あとはどれだけ耐えられるか・・・。まだ少しは頑張っているので、薬は同じものを続けることになった。

8月に読んだ本
中山可穂『男役』
太宰治『女生徒』
芥川龍之介『舞踏会』『或阿呆の一生』
馳星周 『アンタッチャブル』
小手鞠るい『思春期』
加藤シゲアキ『ピンクとグレー』
岩瀬江美子句集『大合唱』

☆中山可穂『男役』
宝塚の「男役」を描いた美しい小説である。美しさが魅力であり、また物足りない部分でもある。宝塚フアンならメロメロになりそうかと思ったが、意外にもフアンからは辛口の評が目立つ。
あとがきで作者は宝塚一筋ではなく、小劇場演劇にのめりこんでいた時期があると書いている。作者は美しい世界を意図的にもっと美しく描くことで、男役の魅力と苦悩を際立たせようとしたのかもしれない。

☆太宰治『女生徒』
☆芥川龍之介『舞踏会』『或阿呆の一生』
これらは先月読んだ北村薫の『太宰治の辞書』に出てきた小説。読み合わせてみると楽しい。

☆馳星周 『アンタッチャブル』
最近はやりのパターンであるが、警察組織からはみ出した公安部所属の警視と巡査部長のコンビが主人公の小説。
本筋を追っていると、どこかで梯子をはずされるのではないかと絶えず不安がつきまとう。結局梯子をはずされたような、予想通りであったような不思議な感覚のまま終る。ただ文章の切れ味や登場人物のキャラクターが秀逸で、時間を忘れるほど面白いことは保証する。

☆小手鞠るい『思春期』
主人公の女の子が中学1年生から3年生まで成長していく過程のお話。毎日の生活の中でのとまどいや悩みが9章に分けて書かれている。難しい漢字に振り仮名が付けられているということは、同世代の女の子への生きる指針として書かれたものなのだろう。普通の小説だと思って読んだのだが、違ったみたい。娘でもいればもう少し近いものとして感じられたかも。

☆加藤シゲアキ『ピンクとグレー』
作者がジャニーズ事務所のアイドルであるNEWSのメンバーと聞いて、余り期待せずに読んだけどなかなか面白い。時期を前後させるわりには、表現が滑らかでない前半は多少まだるっこく感じたが、後半はテンポよく読める。作者がアイドルとして日常感じていることがうまく織り込まれているためか、デビュー作でも内容に無理がない。単なる友情小説に終わらせず、耽美的な匂いも感じさせるのが最大の魅力。芥川賞の又吉直樹の『火花』より好きかも。映画化も決定とのこと。

☆岩瀬江美子句集『大合唱』
風薫る若先生の診察日
飛行機雲春の山より立ち上る
モノクロに収めし八月十五日


『金子國義 in Wonderland』

2015-08-30 09:42:48 | 美術
『金子國義 in Wonderland~ 優雅な条件 ~ 金子國義を偲ぶ七日間』



「にっぽんだぁいすきてん vol.2 in 八芳園」の中の一つの展示です。
知人のブログでこの展覧会のことを知り、昨日あわてて白金の八芳園に行ってきました。最終日でしたが、混んでなくてゆっくり見られました。
金子國義の絵は文庫本のカバーや芝居のチラシで見たことはありましたが、まとめて作品を見るのは初めてです。個性的でそのパワーに圧倒されました。



一緒に開催されていた『井上文太 in Wonderland~ アナーキースイートドリーム ~』も見ました。



井上文太は金子國義の弟子であったこともあるようですが、また違った繊細な才能を持っているように感じました。NHKの『連続人形活劇 新・三銃士』のキャラクターデザインがよく知られていますが、本業は日本画や油絵とのことです。

体調が良かったので八芳園の日本庭園も散策しました。あちこちで結婚式の集合写真をとっているのも見られ楽しい気分になりました。

ミュージカル『100万回生きたねこ』

2015-08-27 20:38:04 | 演劇


ミュージカル「100万回生きたねこ」  (於)東京芸術劇場プレイハウス

原作:佐野洋子、脚本:糸井幸之介、戌井昭人、中屋敷法仁 
演出・振付・美術:インバル・ピント、アブシャロム・ポラック、
出演:成河(ソンハ)、深田恭子、近藤芳正、田口浩正、石井正則、 銀粉蝶、藤木孝 他

有名な絵本『100万回生きたねこ』をミュージカル化。100万回生まれかわったことをずっと自慢してきた、ひねくれもののとら猫(成河)が、ある時白い猫(深田恭子)に恋をして・・・。

カラフルでかわいい舞台装置や音楽は子どもたちにも十分楽しめそう。言葉遊びを自在に使い、涙をいろんな形で表現するのもユニークで面白い。ただ死がテーマになっているので内容は軽くない。主人公の猫はラストで本当に大事なことは何かということを知らされる。

ただ本公演がミュージカルであることを考えると、歌、ダンス、パントマイム的動きなどは、どれも切れ味の面で物足りさが残る。たまたま座席が後ろの方で、演技者の表情や小道具がよく見えないなど条件も悪かったが。

心に残る作品ではあるが、このスケールで一万円を超える値段設定は高すぎるのでは、ホリプロさん。
東京公演は2015年8月30日まで

『この国の空』

2015-08-19 15:27:06 | 映画


『この国の空』  原作:高井有一、脚本・監督:荒井晴彦
         出演:二階堂ふみ・長谷川博己・工藤夕貴・富田靖子・利重剛・上田耕一
         ・石橋蓮司・奥田瑛二

高井有一原作の谷崎潤一郎賞受賞作品の映画化。

平日の昼に新宿テアトルでこの映画を見た。観客は80~90%が男性でそのほとんどが60歳代か70歳代でまずまずの入り。
この人たちはこの映画に何を求めてきたのだろう。泣けるシーンも笑えるシーンもあるわけでない、戦時下という非常時の設定ではあるが、はらはらどきどきする場面もなく、住人達に悲愴感もそれほど感じない。強く反戦が訴えられているわけでもない。主演の二階堂ふみや長谷川博己は演技派ではあるが人を呼べるほどのスターではない。(私は長谷川博己フアンに無理やり連れてこられたのだけれど)不倫が特に強調されるわけでもなく、話はあっけないほど淡々と進む。
何故これほどの人が集まるのか、映画を見ながらずっとそんなことを考えていた。

といっても映画の出来が悪いわけではない。自分に正直に生きている19歳の里子を演じる二階堂ふみには目の力のすごさで引き込まれるし、一見さわやか風な銀行員市毛を演じる長谷川博己は徐々に中年のいやらしさが見えてくる演技が絶妙である。
焼け出され無理やり里子の家に居座る叔母役の富田靖子の執念、娘の嫁ぎ先へ疎開しようと思うが、娘に断られそれを淡々と受け入れる近隣住民役の石橋蓮司の無念。脇役それぞれの演技も素晴らしい。

ラストの二階堂ふみが読む、茨木のり子の詩を聞きながら、厳しい時代を力まず一途に生きている姿を見ることで、人は心の癒やしを感じるのだろうかと一応結論を出して映画館を出た。

『ピンクとグレー』

2015-08-16 21:33:47 | BOOK


『ピンクとグレー』  加藤シゲアキ著

作者がジャニーズ事務所のアイドルであるNEWSのメンバーと聞いて、余り期待せずに読んだけどなかなか面白い。

時期を前後させるという手法を使っているにしては、表現が滑らかでない前半は多少まだるっこく感じた。しかし一転して中盤以降はテンポよく読める。

作者がアイドルとして日常感じていることがうまく織り込まれているためか、デビュー作でも内容に無理がない。単なる友情小説に終わらせず耽美的な匂いも感じさせるのが最大の魅力。
芥川賞の又吉直樹の『火花』より好きかも。映画化も決定とのこと。

『浮世絵師  歌川国芳展』

2015-08-13 16:58:01 | 美術


「浮世絵師 歌川国芳展」  (於)そごう美術館(そごう横浜店内)

江戸末期に活躍した浮世絵師・歌川国芳の作品約200点を9つのテーマに分けて展示。
『水滸伝』を題材にした武者絵、役者絵、西洋画法を取り入れた風景画、遊び心ふんだんの戯画もあります。美人画も姐御肌のものが多く、どちらかと言えば全体的に力で押す作品が多いように思います。
数は少ないけれど肉筆画は力を抜いて書かれており中々味わいがあります。

版画の中で一番面白かったのは『八犬伝之内芳流閣』。 屋根の上の構図が魅力的です。

ただ国芳だけで200点はさすがにくたびれます。
「そごう」さん!! ぐったりして買い物する気力がなくなってしまうのですが、大丈夫なのでしょうか。

誰がこれだけの作品を所蔵しているのだろうとチラシやリストなどを見たのですが、どこにも書かれていませんでした。これも不思議!

会期は8月30日(日)まで(途中一部展示替えあり)

『デスノート』

2015-08-09 23:51:28 | テレビ


今期のテレビドラマは日本テレビの『デスノート』見てます。
映画(藤原竜也・松山ケンイチ主演)やミュージカル(浦井健治/柿澤勇人・小池徹平主演)を見て、今度はテレビドラマ。
その映画や舞台と違った展開になってきて、先が見えない分余計に面白くなってきました。なんといっても主演の夜神月役の 窪田正孝の迫真の演技が光ります。

他のドラマではNHKの『美女と男子』
『美女と男子』は相方がずっと見ているので、なんとなく続けて見てますが、面白い時とそうでない時の落差が激しいのが残念。


『フランス絵画の贈物 -とっておいた名画-』 展

2015-08-02 18:09:50 | 美術


「フランス絵画の贈物 -とっておいた名画-」展  (於)泉屋博古館分館(六本木一丁目)

財閥の住友家が収集した作品の内、今回は第3回展として近代フランス絵画史上に名を残した画家たちの絵画を集めたとのこと。
展示作品は約40点と少ないが素人目にも水準の高い作品が揃っているように思う。ミレー・モネ・ルノアール・ユトリロ・シャガール・ミロなど有名画家の作品も多い。

私の好きなルオーも赤い服が可愛い「クラウン」他三点あり大満足。
またビュフェの「ホテルカフェ」「花」「サン・エロディ・シュル・メール」は同じ作者の作品なのだけれど、それぞれ違った味わいがあり面白い。
他には入口の最初で目を引くエンネルの「赤いマントの女」、マロニエが描かれたモネの「モンソー公園」、色使いでそれとわかるルノワールの「静物」などが印象に残った。

すべてにほど良い展覧会でお薦めしたいところだが、残念なことに今日8月2日(日)で終了。