酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『遭難』

2012-10-27 11:43:04 | 演劇


「遭難」 (劇団、本谷有希子第16回公演)  東京芸術劇場シアターイースト 
作・演出:本谷有希子
出演:菅原永二、美波、佐津川愛美、松井 周、片桐はいり

2006年の初演で鶴屋南北戯曲賞を受賞した本谷有希子の舞台の再演を、10月23日(火)千秋楽に見た。

パンフレットは未読だが、この芝居の題は何故「遭難」なのだろう。みんながあたふたしているから?それとも「道」を踏み間違うということ??

生徒の自殺未遂で4人の教師が教員室を出され、校内の別室に。そこへ毎日訪ねて来て教師を追及するモンスター化した自殺生徒の母親が加わり事態は泥沼化。5人のバトルの中から徐々に自殺の真相が明らかになるのだが・・・・・。

今回の舞台は主演予定の黒沢あすかが病気になったため急遽菅原永二が代役で上演。
女教師(里見)の役を男性がやることになったのだが、意外に違和感はない。すべてを「トラウマ」のせいにして逃げようとする女教師を菅原が好演。前作を見ていないので比較は出来ないが、これはこれで完成の域に達している。かえって男性がやることで、怪しさが出て面白かったかも。
女教師(里見)については殺人こそないものの、その身勝手さは最近読んだ貴志祐介の『悪の教典』の主人公高校教師蓮実の考え方に近いものを感じた。

ところでリニューアルしたはずの東京芸術劇場、遅刻した人が入って来るたびに床がぎしぎし大きな音。どうなってるの???

『エッグ』

2012-10-09 18:34:07 | 演劇


『エッグ』NODA・MAP公演  東京芸術劇場 プレイハウス(中ホール)

作・演出:野田秀樹 音楽=椎名林檎
出演:妻夫木聡・深津絵里・仲村トオル・秋山菜津子・大倉孝二・藤井隆・野田秀樹・橋爪勲

主人公は、「エッグ」というスポーツの選手、粒来幸吉(仲村トオル)と阿部比羅夫(妻夫木聡)、それにシンガー・ソングライターの苺イチエ(深津絵里)の三人。「エッグ」の試合が主に語られる前半と、スポーツや音楽の裏に隠された真実が描かれる後半。

前半は軽いタッチで笑いをとり、後半は重いテーマを表面に出すというパターンが野田芝居に定着したようだ。「エッグ」という新しいスポーツを考えるのもすごいが、それを細菌兵器製造へと結びつける野田秀樹の発想がすごい。

全体としては話がわかりやすく面白い舞台だが、しいて言えば、前半の笑いが弱い。東京オリンピックなどのネタが観客の世代には古いこともあるが、言葉で笑わせられる役者がいないこともある。前半の笑いの中心は大倉俊二にあるが、身体の動きに頼る役者さんであり、もう一人セリフで笑える役者さんが欲しいところだ。前半の笑いが大きいほど、後半のインパクトも強くなると思うのだが・・・。

役者さんでは、最近舞台づいている仲村トオルがそのマッチョな体を全面的に生かしていい味を出しているし、深津絵里のアイドルっぽい歌いぶりも見もの。


野田秀樹芸術監督を迎えた池袋の東京芸術劇場は、今回一年以上かけ大改修をした。
残念なのは、トイレがウォッシュレットになっていないこと。ケチらないで、一緒に変えて欲しかったなぁ~。

公演は10月28日(日)まで


読書三昧(9月)

2012-10-03 16:11:35 | BOOK


9月も、べッドでとりあえず寝ころびながら出来るということで、また本を読んだ。

池井戸潤『ルーズヴェルト・ゲーム』
貴志祐介『鍵のかかった部屋』
湊かなえ『サファイア』
湊かなえ『白ゆき姫殺人事件』
豊田利晃原作『アイム・フラッシュ!』
川瀬七緒『よろずのことに気をつけよ』
村上春樹『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』
吉田修一『太陽は動かない』
林昭太郎句集『あまねく』

9月に読んだ中で意外に面白かったのが豊田利晃原作の『アイム・フラッシュ!』。
映画の脚本をノベライズしたものだ。映画『I'M FLASH!』を見てから読んだからよけいに面白かったのかもしれない。

映画では、新興宗教の教祖吉野ルイ(藤原竜也)のモノローグが観念的で心に響かなかったのだが、活字で読むと結構伝わってくる。ボディガードの新野(松田龍平)や謎の美女の流美(水原希子)の心の動きも小説だと良く分かる。

映画でルイが殺し屋から至近距離で撃たれても弾が当たらない不思議は、小説でも結局わからなかったが・・・。