酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(27年5月)

2015-05-31 10:42:20 | BOOK


読書三昧(27年5月)

俳句でお世話になった先輩が亡くなった。同じ時期に大腸癌が見つかり、手術も殆ど同じ頃だった。抗がん剤治療の情報交換をしていたが、お互い病状が落ち着いたので安心していたのに、突然の訃報だった。
しばらく落ち込みそう・・・。

5月に読んだ本

井上ひさし『言語小説集』
岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿4― ブレイクは五種類のフレーバーで』
桐野夏生『奴隷小説』
伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』
小室善弘『俳句入門 芭蕉に聴く―「去来抄」に学ぶ作句法』


☆井上ひさし『言語小説集』
言葉やその使い方にこだわりが凄い井上ひさしの、言語を題材にした短篇が7作。それぞれのアイディアには感心するのだが、あまりに理詰めでくるのがちょっと息苦しい。うまいなあと感心はするのだが、もう少しふんわりした余韻のある小説の方が私は好きだ。
7作の中では「極刑」が面白い。

☆岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿4― ブレイクは五種類のフレーバーで』
主人公の「切間美星(きりまみほし)」という名前にはいまだになじめないけれど、小説が巻を重ねるごとに好きになってきた。今回は短篇5編とショートショート1編の寄せ集めとわかり、がっかりしたのだが、読んでみると結構充実している。読者に勘違いさせておいて、最後に謎を解き明かすという手法がうまくはまっている「午後三時までの退屈な風景」や「パリェッタの恋」。
他の作品も登場人物に対する作者の目がやさしくて心地よい。お薦めの文庫本。

☆桐野夏生『奴隷小説』
奴隷らしき立場にいる人物が描かれる短篇7編が収められている。娘がアイドルになった母親の話の「神様男」だけ少し異色であるが。
主人公達は絶望の中に希望を見いだすのだが、結局その希望は現実にはならない。ただその結末をどう考えるかは読者次第で、最後の余白を埋められる感性があるかどうかが試される。

☆伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』
ストーリーは荒唐無稽とも言えるが、内容には現実社会の流れへの危機感や個人の心の闇みたいなものが散りばめられているので緊迫感がある。特にラストの処刑のシーンなどはハラハラさせられ盛り上がる。相変わらずつかみのうまい伊坂光太郎である。

☆小室善弘『俳句入門 芭蕉に聴く―「去来抄」に学ぶ作句法』
単なる評釈ではなく、著者自身の言葉でわかりやすく解説されているのがありがたい。読み終えると芭蕉の教えが身についたような気分になる。

『ひとよ』

2015-05-24 22:51:53 | 演劇


『ひとよ』  (於)ザ・スズナリ

作・演出:桑原裕子
出演:岡まゆみ・若狭勝也・桑原裕子・成清正紀・高山奈央子・佐賀野雅和・四浦麻希・異儀田夏葉・伊達暁・磯西真喜・久保貫太郎・松本亮・まいど豊

久しぶりに下北沢の「ザ・スズナリ」で舞台を見た。劇団KAKUTAの『ひとよ』。

舞台は田舎のタクシー会社。15年前のある夜にそこで起こった事件が、家族・親せき・勤務する運転手達の人生を狂わせることになるのだが・・・。

衝撃の告白で始まる出だしはいい。ただ後はストーリーも笑いも想定の枠を超えない感じ。
刑務所に入った母親と3人の子供、離婚して長く会ってない父と息子など、親子の話が中心になるためどうしても全体がウエットになり重い。

作・演出の桑原裕子は、すでに文化庁芸術祭新人賞や鶴屋南北戯曲賞を受賞している若手の実力派である。見るのは今回初めてでかなり期待したのだが、この作品に関してはインパクト不足で私には物足りない思いが残った。

役者では伊達暁を久しぶりに見た。多分同じザ・スズナリで見た『少女とガソリン』以来か。もう8年もたつのだが、意外に若々しい。何歳になったのだろう。

公演 下北沢 ザ・スズナリ  5月27日(水)まで
   横浜 神奈川芸術劇場  6月6日(土)・7日(日)

『エロール・ル・カインの魔術展』

2015-05-21 12:20:45 | 美術



「エロール・ル・カインの魔術展」  於:そごう美術館

展覧会はもう終わってしまったのですが、先週、イメージの魔術師と呼ばれた絵本作家 「エロール・ル・カインの魔術展」を見に行ってきました。絵本原画をはじめ150点以上の展示があり見ごたえがありました。

前に見た「ム-ミン」のトーベ・ヤンソンと同様、線がすごくきれいで色彩も自在で素敵でした。




『聖地 X(エックス)』  

2015-05-14 14:48:08 | 演劇


『聖地 X(エックス)』  劇団「イキウメ」  於:シアタートラム

 作・演出:前川知大
 出演:浜田信也/安井順平/伊勢佳世/盛隆二/岩本幸子/森下創/大窪人衛/橋本ゆりか/揮也

劇場に着くと作・演出の前川知大がお出迎え。 と言っても入口で立っているだけだが・・・(笑)

2010年初演の『プランクトンの踊り場』の改訂版ということだったが、既視感はあまりなかったので随分手が加えられているのだろう。

同じ人物 が同時に複数の場所に姿を現すドッペルゲンガーと思われる現象が発生し、まわりの人間を混乱させていく。その人物の一人東滋(浜田信也)の妻(伊勢佳世)と妻の兄(安井順平)が調べていくと、会社生活と家庭生活それぞれの記憶をもつ二人にわかれていることが分かる。元の一人に戻すためには分離してからの記憶が邪魔になる。そのため第三の夫を作るのだが・・・。

ともかくすごく面白かった。ユニークな視点を持つストーリーは良くできているし、出演者の演技の完成度も高い。程良い笑いもある。ありえない現象も安井の演じる兄のセリフでいつか納得させられてしまう。申し分のない出来である。
SF的な物語の中で、安井と伊勢の兄妹愛も いい味付けになっている。

シアタートラムでの公演は5月31日(日)まで。


『小瓶と大瓶』

2015-05-10 17:31:54 | 食べ物


小瓶と大瓶

最近、調味料などは小さいものを買うようにしている。大きいのは割安だけれど、賞味期限を過ぎてもずるずる使い、最後は残したまま捨てることが多くもやもや感が残る。その点小さいものは使いきれて、爽快な気分になることがわかったからである。
でもそれが病気のせいで、長い時間が信じられなくなったためだとしたらちょっと悲しいが・・・。


九品仏(淨眞寺)

2015-05-06 16:31:41 | 風景

九品仏(淨眞寺)に行ってきました。ほとんど花は咲いていないし、前にいたオタマジャクシもいませんでした。でも楓の緑がすごくきれいです。





帰りは門前のお蕎麦屋さん「庵(いおり)」で田舎そばを食べました。





今まで体調が悪かったので、ゴールデンウイークになって初めての外出です。