世の中まだまだ不安でいっぱいだけど、チケットが買ってあったので、渋谷パルコで芝居を見た。三谷幸喜作・演出の「国民の映画」。
出演は小日向文世・段田安則・白井晃・石田ゆり子・シルビアグラブ・新妻聖子・今井朋彦・風間杜夫など
種を絶やすため、ユダヤ人全員の収容所送りをこともなげに命令するゲッペルズ。その同じ人間が総合芸術とも言える映画に異常な愛情をもち、「風と共に去りぬ」を上回る最高の映画を作りたいと情熱をそそぐ。
芸術を愛する人は心優しいと思いこんでしまいがちだが、人間はそう単純なものではないよとの、三谷独特の皮肉な目を感じた。
主役のゲッペルズを演じたのは小日向文世。とらえどころのないゲッペルズの多面性を上手く表現。すべてを押し殺して執事として、淡々と仕事をこなすフリッツ役の小林隆との対比が面白い。石田ゆり子がゲッペルズの妻マグダをしなやかに演じた他、個性的な俳優がそれぞれの役柄をうまくこなしている。
ただ白井晃の道化的な味付けのゲーリングには、評価が分かれそう。
15分の休憩をはさみ3時間の長丁場であるが、引き込まれて時間は感じない。
東京公演は4月3日まで。あと大阪・横浜公演がある。