酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『国民の映画』

2011-03-30 22:32:02 | 演劇

世の中まだまだ不安でいっぱいだけど、チケットが買ってあったので、渋谷パルコで芝居を見た。三谷幸喜作・演出の「国民の映画」。
出演は小日向文世・段田安則・白井晃・石田ゆり子・シルビアグラブ・新妻聖子・今井朋彦・風間杜夫など

種を絶やすため、ユダヤ人全員の収容所送りをこともなげに命令するゲッペルズ。その同じ人間が総合芸術とも言える映画に異常な愛情をもち、「風と共に去りぬ」を上回る最高の映画を作りたいと情熱をそそぐ。

芸術を愛する人は心優しいと思いこんでしまいがちだが、人間はそう単純なものではないよとの、三谷独特の皮肉な目を感じた。

主役のゲッペルズを演じたのは小日向文世。とらえどころのないゲッペルズの多面性を上手く表現。すべてを押し殺して執事として、淡々と仕事をこなすフリッツ役の小林隆との対比が面白い。石田ゆり子がゲッペルズの妻マグダをしなやかに演じた他、個性的な俳優がそれぞれの役柄をうまくこなしている。
ただ白井晃の道化的な味付けのゲーリングには、評価が分かれそう。

15分の休憩をはさみ3時間の長丁場であるが、引き込まれて時間は感じない。

東京公演は4月3日まで。あと大阪・横浜公演がある。

『ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代~清長、歌麿、写楽』

2011-03-22 13:47:03 | 美術館
まだまだ余震や原発不安に落ち着かない毎日です。
被災の皆さまが、一日も早く安心した生活に戻れるようお祈りしています。

大地震の何日か前に行った「ボストン美術館浮世絵名品展」のご報告




「ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代~清長、歌麿、写楽」  山種美術館

有名な浮世絵師三人、鳥居清長・喜多川歌麿・東洲斎写楽の作品をずらっと並べて、これでどうだっ!という感じの展示。

ボストン美術館の保存状態の良い名品を見られるのだから、何の文句もないのだけれど・・。でも他の作者の浮世絵を最後に少しずつ並べるのはやめて、三人だけに絞った方が潔い感じになったかも。

三人の作品をじっくり見た感想はやっぱり歌麿かな。歌麿ってそんなに好きでなかったけど、何度も見ていると味わいが他のものより深いような気がする。

展示物が多いせいか休憩の椅子が少ないとか、地下の展示場所にトイレがなく、一階のトイレも小さいとか、美術館そのものへの不満が残った。
新しくなった山種美術館に期待が大きかったのでちょっと残念。

山種美術館での展示は4月17日(日)まで


地震お見舞い

2011-03-12 08:16:59 | Weblog
地震被害にあわれた方に、心よりお見舞い申し上げます。

私の地域は地震発生から夜9時ごろまでずっと停電でした。
すべて電気につながっている生活なので、何も出来ず。
ただ寒さの中毛布にくるまって寝ているしかありませんでした。

長野でも地震とか、まだまだ要注意ですね。

『南へ』

2011-03-04 08:57:43 | 演劇


「南へ」 NODA・MAP  東京芸術劇場中ホール
作・演出 野田秀樹  出演 妻夫木聡・蒼井優・渡辺いっけい・高田聖子・チョウソンハ・黒木華・太田緑ロランス・銀粉蝶・山崎清介・藤木孝・野田秀樹

話の舞台は無事山の火山観測所。南のり平と名乗る男(妻夫木聡)の、火山の噴火があるという言葉は嘘なのか。

北朝鮮問題、天皇制の問題などを「嘘」を媒介にしてあぶり出し、何も考えてこなかった戦後の日本人への警鐘とも受け取れる舞台である。
ただ問題を深く掘り下げていないだけに、もやもや感が残る。
ベトナム戦争をとりあげた「ロープ」のように前半と後半の見事な転換も今回は見られない。
全体的には多少ごたごたした印象。

椅子や紐を使って一瞬での時代のワープ、集団の動きで表す火山の爆発、シンプルな舞台装置でありながら表現はゆたかである。主役たちの演技よりも、そちらの見事さの方に目を奪われた。

あまね役の蒼井優は熱演だが、小悪魔的魅力に欠け、妻夫木聡は淡々と役柄をこなしているが、妻夫木ならではの個性が見えない。
「表に出ろいっ!」のオーディション組では黒木華が蒼井の影役としてしっかり存在感を見せているのに対し、太田緑ロランスは野田の喜劇的な部分に乗りきれていない。
あとチョウソンハ(高音で叫ぶセリフには相変わらず難あるが)と山崎清介が好演。懐かしい藤木孝の怪しげな個性も目立った。

3月31日まで。