酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(27年12月)

2015-12-31 15:56:33 | BOOK


読書三昧(27年12月)
今年も終りました。病気になってから一日一日を大切に思うようになりましたが、大晦日にはまた特別の感慨があります。来年もいい年になりますように。

12月に読んだ本
木内一裕『不愉快犯』
月村了衛『影の中の影』
辻村深月『きのうの影踏み』
雫井脩介『仮面同窓会』
中野京子『怖い絵』
堀切実『現代俳句に生きる芭蕉』
増成栗人句集『遍歴』
鳥羽田重直句集『蘇州行』

☆木内一裕『不愉快犯』
法律まで味方につけて完全犯罪をもくろむミステリー作家とそれを打ち破ろうとする警察の争い。一度は作家の勝利となったのだが・・・。
なれない法律用語も出て来るので理屈っぽい部分もあるが、作家と刑事のせめぎ合いは読み応えがある。主人公である刑事二人のキャラがもう少しはっきり出れば、もっと面白くなりそう。
著者紹介を見たら、前に映画で見た『藁の盾』の作者だった。

☆月村了衛『影の中の影』
少数民族であるウイグル問題や政治や警察の隠蔽体質など社会的な題材も取り入れられてはいるが、基本的には「カーガ―(影法師)」と呼ばれる元警察官の男が。不死身のヒーローとして大活躍するお話。これがハラハラドキドキとてつもなく面白い。筋立ても、登場人物(女性ジャーナリスト・ヤクザの子分たち・ウイグル亡命者など)も丁寧に描かれていて破たんがない。安心して楽しめる大おススメ作品。

☆辻村深月『きのうの影踏み』
ホラーの味付けのある13の短篇を収録。ただ作者の日常がエッセイ風に織り込まれていたりして、本格的なホラーを期待すると物足りないかも。

☆雫井脩介『仮面同窓会』
かなり強引な筋に見えるが、一気に読まされる。ラストの意外な展開にびっくりすると共に、突然登場する兄のキャラクターが笑える。

☆中野京子『怖い絵』
西洋絵画から「怖い絵」を20点選びその怖さを解説している。見るからに怖い絵や、表面上は見えない所に怖さが隠れている絵など、種類はいろいろである。怖い理由の解説を読みながら絵の背景を知ることも出来る貴重な本である。この本ではブリューゲルの『絞首台の上のかささぎ』やラ・トゥールの『いかさま師』などが取り上げられている。好評だったようで、『怖い絵2』『怖い絵3』の出版もされているようだ。

☆堀切実『現代俳句に生きる芭蕉』
近現代俳人の俳句への考え方を取り上げながら、それらが芭蕉の考えの枠内にあることが詳細に語られる。元が俳句誌という俳句作者を対象に書かれたものだけに、わかりやすいが舌鋒するどい部分がないので物足りない面も。

☆増成栗人句集『遍歴』
青によし奈良もはづれの粥柱
大海鼠つつけば海の荒れてくる
遍歴の始まる前の花筏
きちきちの跳びたる草の匂ひけり
雀来て雀隠れにあと少し

☆鳥羽田重直句集『蘇州行』
うなづきが眠りに変はる夜学生
日中韓の三人がゐて冷奴
二丁目のはずが五丁目街薄暑
さはやかな笑みや乗せられてはならず
梅見酒梅のことなど忘れけり


郷さくら美術館特別展 『彩図鑑 中島千波の世界』

2015-12-27 17:22:19 | 美術


『彩図鑑 中島千波の世界』を見るために、中目黒の郷さくら美術館に行ってきました。
約50点の程良い展示。1Fが有名な桜を始めとするお花の絵。2Fは宗教的な雰囲気を持つ人物画。3Fはメルヘンチックな「おもちゃ」シリーズ。それぞれに独特の個性があり面白く見られます。

来場者もまばらで好きな絵をゆっくり見られました。中で一番好きな絵は、黒の背景にアマリリスを描いた『華』。パワーを貰いました。

中島千波の桜の絵は過去に何度か見たことがあります。その繊細さから、最近まで女性の画家だと思ってました。実際は男性で70歳。現在横浜美術館で開催されている『横浜発 おもしろい画家:中島清之ー日本画の迷宮』の中島清之(きよし)の三男だそうです。

会期は来年2016年2月28日(日)まで。お薦めです。



帰りは目黒川沿いの「アロハテーブル」のオリジナル・ロコモコで遅いランチ。

渡辺えり還暦特別公演 『ガーデン~空の海、風の国~』

2015-12-25 00:11:25 | 演劇


渡辺えり還暦特別公演 『ガーデン~空の海、風の国~』  (於)スズナリ

作・演出:渡辺えり 
出演:渡辺えり・中嶋朋子・大沢健・谷川昭一朗・奥山隆・谷口幸穂・石田恭子・小出奈央・川口龍・土屋良太・山崎清介他

クリスマスイブは下北沢の「スズナリ」で芝居を見た。この芝居は18年前が初演で今回は渡辺えりが還暦を迎えたので再演したとのこと。

主演はNHKの朝ドラ『あまちゃん』で活躍した渡辺えりと、『北の国から』の蛍ちゃんの中嶋朋子。二人がすぐ目の前で演技するのだから、イブにふさわしい中々贅沢な時間。

舞台は看護師姿の光子(中嶋朋子)がじょうろで庭に水を撒くシーンで始まる。それがいつか夢の世界へ・・・。現実から夢へそしてラストはもとの現実へ。小劇場では一つのパターンになっているが、この芝居では時代が錯綜し、途中から誰の夢かわからなくなる複雑さも。テーマの一つに死もあるが、全体にはファンタジックで楽しい芝居になっている。

何役もこなす中嶋朋子と渡辺えりの早変りも楽しいが、中嶋がシリアスな演技を期待されない分のびのびと演じているのが微笑ましい。


渡辺えりが渡辺えり子と言っていた「劇団3○○」(げきだんさんじゅうまる)時代、もたいまさこなどの主婦の井戸端会議のシーンが無性に面白かった記憶もよみがえり、久しぶりに小劇場の楽しさを満喫した。

公演は12月29日(火)まで

『消失』 ナイロン100℃

2015-12-19 10:34:07 | 演劇


『消失』 ナイロン100℃ 43rd SESSION  (於)本多劇場

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:大倉孝二・みのすけ・犬山イヌコ・三宅弘城・松永玲子 八嶋智人

2004〜2005年に上演されたものの再演。

クリスマスのパーティーの準備に忙しい兄チャズ(大倉孝二)と弟スタンリー(みのすけ)。弟が好きなスワンレイク(犬山イヌコ)さんも来て盛り上がるはずだったが・・・。

ずっと不安感がただようそれなりに面白い芝居なのだが、見ていて何となく「ふに落ちない」点が多い。
近未来という設定にしては、ガスも電気も水道も進歩していないし、リビングにレコードプレーヤーがあり、ラジカセも出て来るなど舞台のセットは現代よりも昔っぽい。宇宙ステーションに人が住んでいたといいながら、42歳という弟が防空壕の話をするし、火葬場の煙が見える(現代でも見えないと思う)とも言う。他にもいろいろ時代が混在している感じ。再演のせいか、それとも意図的なものかはわからないが、どうも落ち着かないのである。

私が「ナイロン100℃」を初めて見たのが同じ本多劇場で1993年8月公演の『予定外』。この時出演していたのが、みのすけ、犬山犬子(現犬山イヌコ)、三宅弘城。
さすがにみなさん少しお疲れかなというのが、こちらも感受性が薄くなってしまった私の感想。

公演は12月27日(日)まで


「てんや」の天丼

2015-12-05 21:44:03 | 食べ物



久しぶりに「てんや」の天丼。東洋大学のスクーリングに通った頃、よく食べたのが懐かしい。

いつ食べても、全く胸にもたれないのがうれしい。味噌汁も前より味がよくなっていた。

シンプルなものがおいしいと思う今日この頃である。


写真は一口食べてから写したもの。インゲンがもう一本入っていたような・・・。

劇場版『MOZU』

2015-12-02 19:56:20 | 映画


劇場版『MOZU』

監督:羽住英一郎、 原作:逢坂剛
キャスト:西島秀俊・香川照之・真木よう子・ビートたけし・伊勢谷友介・松坂桃李・池松壮亮・他

WOWOWとTBSでドラマをやっていたと思ったら、もう映画化。テレビドラマは第一回を見て面白かったのだけれど、タイミングが悪くそれっきり見られずに終わった。

映画は心理戦と言うよりアクション中心。はでな爆破シーンやカーチェイスに加え、娘の誘拐などはらはらさせるシーンは多い。ただドラマを見ていないので池松壮亮扮する二役の位置づけなど、人間関係が今一つ理解できなくて相対的に未消化。

俳優では松坂桃李の悪役ぶりがはまり役で目立ち、長谷川博己は『進撃の巨人』と同様ちょっと異色のキャラで存在感あり。ビートたけしもさすがの大物ぶりを見せるが予告編で期待させたほどの活躍がないのが残念。

テレビドラマにはまっていた人には面白いかもしれない。