酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『獣の柱 まとめ*図書館的人生下』

2013-05-31 20:02:02 | 演劇


「獣の柱 まとめ*図書館的人生下」  劇団イキウメ     於:シアタートラム

作・演出: 前川知大   出演: 浜田信也・盛隆二・岩本幸子・伊勢佳世・森下創・大窪人衛・加茂杏子 ・安井順平・池田成志

隕石らしきものが降った一年後、世界の大都市に巨大な柱が降ってくる。それを見た人は気分が良くなるが、思考は停止し体は固まってしまう。過ぎる時間の中で人間はそれに対応できるすべを身につけたのだが・・・。

SF的なお話であるが、現代人が考えさせられる何かを訴えているように見える。

ただ今回は途中から話についていけなくなった。時代の転換が良く分からなくなったり、ラストシーンも何故みんなが村から出て行くのか理解できないまま終わってしまった。  イキウメさんごめんなさい!
でも主演の浜田信也の変な踊りというか、動きに気を取られてしまったことにも原因があるのだから謝ることもないか・・・。

好きな「イキウメ」の舞台だからもう一度見ればいいのだけど、東京公演は6月2日まででちょっと無理。

『印象派とその時代』展

2013-05-26 10:47:21 | 美術館


「印象派とその時代」展   於:松岡美術館(都営三田線「白金台駅」徒歩6分)

松岡コレクションから印象派の作品を中心に選んだ展覧会。

一応、モネ・シスレー・ピサロ・ルノアールなど印象派の有名どころはそろっているのだが、全体的に地味でインパクトのある作品は少ない。
個別展示で目立つはずのピサロの「丸太作りの植木鉢と花」も照明が悪いせいか光って見にくい。

かえって別の部屋に展示してある、同時代に活躍したイギリスやフランスの画家の作品に魅力的なものがある。
C・E・ぺルジーニの「束の間の喜び」やJ・E・ミレイの「聖テレジアの少女時代」などである。

松岡美術館は程良い大きさで、彫刻・陶磁器・オリエント美術など他にも見ごたえのある作品がありお薦めの美術館。
ただ今回の特別展は、印象派にこだわる人にはちょっと物足りないかもしれないが。

       (特別展は9月23日まで)

『藁の楯』

2013-05-22 10:27:00 | 映画


『藁の楯』

抗がん剤のだるさが弱まってきたので、昨日は映画にお出かけ。目的は『探偵はBARにいる2』だったのだが、『藁の楯』がカンヌ映画祭の上映日と聞いて急遽変更。

監督:三池崇史 原作:きうちかずひろ 出演:大沢たかお、松嶋菜々子、永山絢斗、藤原竜也 他

幼女惨殺犯人の清丸国秀(藤原竜也)を東京の警視庁まで身柄を護送する5人のSPたち(大沢たかお、松嶋菜々子他)の話。
清丸を殺せば10億円支払うとの一面広告が新聞に載ったために、護送犯人を守るSPたちの命も狙われる羽目に。
何故死刑になるような犯人のため自分たちの命をかけなければならないのか。メンバーそれぞれの葛藤の中でお互いが疑心暗鬼に・・・。

題材としてはユニークで面白いのだが、似たような重いエピソードが続くことや、前半のスピード感が後半まで続かないことなどに不満が残る。お涙的味付けをそぎ落とし、乾燥したアクション映画にした方が面白くなったのではないか。

俳優では『デスノート』や『パレード』以来すっかり悪が板についてきた藤原竜也が、今回もとらえどころのない若者役にぴったりはまっていて好演。また永山絢斗や余貴美子などの脇役が、主演の大沢たかお、松嶋菜々子を上回る個性的な演技を見せている。

退屈しない映画ではあるが、カンヌのパルムドールには遠そう。


『医者に殺されない47の心得』

2013-05-15 09:36:11 | BOOK


近藤誠『医者に殺されない47の心得』を読んだ。

現在の医療実態をことごとく否定する痛快な本。「がんは手術をするな」「抗がん剤は効かないし、命を縮めるだけだから止めよ」など明快である。

しかし実際にがんの手術をし、抗がん剤治療を受けているものにとって読後感は複雑である。これからどうしたらいいか悩むばかり。自分で考えよと書いてはあるが、判断する資料が何もない。

‘抗がん剤推進派,のお医者さん達は、患者のことを考えるなら是非データーをもとに近藤医師に真っ向から反論して欲しいものである。

淵上熊太郎詩集 『清潔で、満腹で、悲しくて、』

2013-05-12 23:29:54 | BOOK


淵上熊太郎詩集「清潔で、満腹で、悲しくて、」

あまり詩集は開いたことがないのだけど、いつか淵上熊太郎の詩に魅かれたことがあり読んでみた。

感想もどう書いていいのかわからないけど、日常と非日常が入り交った世界が描かれていると言ったらいいのだろうか。表現はあくまでやさしくて、心地よい。

詩集の中で一番短い詩。

痕跡

海の上を歩く男を見かけた
もうじき夏だから
そんなことも
あるかもしれない
深く考えることもなく
私は海岸を離れ
虹の終わりの痕跡を探す作業を
続けることにした

『貴婦人と一角獣展』

2013-05-09 23:53:30 | 美術館


六本木の国立新美術館の「貴婦人と一角獣展」に行ってきました。

フランス国立クリュニー中世美術館所蔵の約40点のコレクションの展示です。

中でも西暦1500年頃制作されたという、6面連作のタピスリー「貴婦人と一角獣」が魅力的。
昔パリに行ったときクリュニー中世美術館で一度見たことがあり、今回は2度目の出会いです。
クリュニーでは照明が暗くて、部屋も狭かった記憶がありますが、国立は照明も程良くて部屋も広いのでゆったり見られます。

タピスリーの評価はよくわかりませんが、これを見ていると違う世界に引き込まれた気分になります。空想の動物である一角獣がいるせいでしょうか、それとも独特の色彩のせいでしょうか。
童話作家でもあったジョルジュ・サンドが絶賛したというのも、わかるような気がします。

連休のあとの平日で、すいていてゆっくり見られました。
貴婦人・兎などの小動物・鳥・様々な草花なども登場して、心もゆったりしていい気持ちになれます。
大おすすめです。

東京展示は7月15日まで。ただNHKの日曜美術館が5月26日に特集を組むことから、早目の方がすいているかもしれません。



『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

2013-05-06 13:03:12 | 演劇


「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」  (於:神奈川芸術劇場)

作:スティーヴン・ソンドハイム、演出:宮本亜門、出演:市村正親・大竹しのぶ・柿澤勇人・高畑充希・武田真治・芳本美代子他

ミュージカルは音楽中心で内容が平板なものが多いので避けているのだが、「スウィ二―・トッド」はブラックな部分もありそうで、見に行った。

無実の罪で島流しに合い、愛する妻を奪われた理髪師スウィ二―トッド(市村正親)が、自分を陥れた判事に復讐する物語である。カミソリによる殺人、殺した人の肉をパイにしてしまうなどかなり強烈な内容もあるが、スウィ二―トッドの娘ジョアンナ(高畑充希)の純愛場面もあり、ほどよくバランスがとれている。

俳優では市村正親やパイ屋の女主人ミセス・ラヴェット役の大竹しのぶが、再再演ということもあり安定した演技を見せ、トバイアス役の武田真治の歌声も聴きごたえがある。
注目は最近活躍が目立つアンソニー役の柿澤勇人。「スリルミ-」の演技で注目されたと思ったら、「アリス・イン・ワンダーランド」と「スウィーニー・トッド」と続けて出演。秋には「ロミオ&ジュリエット」のロミオ役もやるという。今回もジョアンナの恋人役でみずみずしい演技を見せている。

ただ全体で気になるのは肝心の音楽部分がいま一つなこと。
歌ではソロ部分が少なく、聞かせどころが少ないのは原作のせいで仕方がないにしても、演奏の音色がどうも心に響かない。これは前から気になっているのだが、神奈川芸術劇場自体の音響効果が他の劇場に比べ劣っていると思うのは私の気のせいか。

(東京公演は2013年5月16日~6月2日  青山劇場)

読書三昧(25年4月)

2013-05-02 08:32:21 | BOOK



昨日も病院の点滴の日だった。休日の合い間ということもあり、癌治療の待合室は坐る場所がないほどいっぱい。
今回も家を出て帰るまで約11時間。治療より待ってる方が辛いんだけど・・・。

4月に読んだ本

 カフカ『城』
 岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿』
 鈴木鷹夫『風騒の人―若き日の宝井其角』
 本谷有希子『嵐のピクニック』
 飯島耕一『「虚栗」の時代 芭蕉と其角と西鶴と』

○鈴木鷹夫『風騒の人―若き日の宝井其角』

江戸時代の俳人宝井其角を主人公に、師匠の松尾芭蕉を初めその周辺の人々を描いた小説である。史実に作者の想像を加えて、生き生きと人物が躍動している。後半少し流れが悪くなるが、俳句に興味がある人には面白く読めると思う。
たまたまこの本を読んでいる時、作者の鈴木鷹夫氏の訃報が届いた。俳句結社「門」の主宰で、句集「千年」で俳人協会賞も受賞している。
ご冥福をお祈りしたい。

○本谷有希子『嵐のピクニック』

劇団主宰者として、作・演出も手掛ける作者の短編小説集。相変わらず奇想天外な発想をする人である。よくこんなことを思いつくものだと驚かされる。脳に刺激をくれるので、平凡な日常に退屈している人にお薦め。