酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(27年7月)

2015-07-31 11:23:56 | BOOK


読書三昧(27年7月)

体調は特に悪いわけではないが、癌の治療薬はだんだん効かなくなって二度と使えなくなるのが普通。いままで3種類は変わったと思うが、あと使える薬はいくつあるのだろうか。医者がはっきり言ってくれないので余計不安。

7月に読んだ本
原田マハ『モダン』
T・ハミルトン&D・コイル『シークレット・レース』
降田天『女王は帰らない』
又吉直樹『火花』
北村薫『太宰治の辞書』
藤野律子句集『風の章』

☆原田マハ『モダン』
5篇の短篇からなる作品集。中では最初の『中断された展覧会の記憶』が素晴らしい。
東北大地震と原発事故が起きた時、「ふくしま近代美術館」では『アンドリュー・ワイエスの世界』展を開催中だった。目玉は「ニューヨーク近代美術館」から借りた『クリスティーナの世界』。是非展示を続けたい日本側と早く作品を戻したいニューヨーク側。作品撤収までの一部始終や二つの美術館の館員のやりとりとその背景は、フィクションとわかっていながらもその緊迫感は感動もの。著者のキュレーター(美術学芸員)としての経験が生かされた最高の作品になっている。
この作品があまりにいいので、他の4篇は印象が薄くなった。

☆降田天『女王は帰らない』
第13回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
内容は多少テクニックに溺れた感じはするが、一気に読まされてしまう面白さはある。ただ私が気になったのは、主人公たちが小学4年生だということ。どこか違和感が拭えない。といっても5年生ならどうか、6年生ならいいのかと言われても判断は出来ないのだが。

☆又吉直樹『火花』
今年の芥川賞受賞作品。
先輩漫才師神谷と売れない若手漫才師徳永の心あたたまる懐かしい関係を描く。飲みながらの二人のばかばかしい会話が笑いを誘う。ところどころに出てくる作者の気取った文体に多少の違和感はあったが、読み心地は良い。
海外でも話題になっていて翻訳されるというが、ストーリーはともかく会話の部分はうまくいくのだろうか??

☆北村薫『太宰治の辞書』
小さい出版社に勤める女性が、芥川の『舞踏会』や太宰の『女生徒』の背景を調べ解決していくお話なのだが、関わって登場する人物がすべてあたたかくやさしい。文学話と登場人物のバランスが絶妙で良質の読後感が得られる。ただこの本の書名にもなっている書下ろしの三篇目「太宰治の辞書」は話題が太宰の辞書探しだけでなく、萩原朔太郎にまで及び説明が長い分だけ小説としての面白さには欠ける。
この本の最初の「花火」で知ったのだけれど、芥川龍之介の小説『ある阿呆の一生』には「火花」という章があり、同人誌へ発表する原稿を持った主人公が出て来る。とすると『火花』を書いた又吉直樹は最初から芥川賞を意識して小説を書いていたと想像できる。まあ出版社も絡んでのことだろうけど、凄すぎる・・・。

☆藤野律子句集『風の章』
ピノキオの鼻のするする春岬
みほとけの世へ蛤の水飛ばす
遠足の尾をしまひたる蜜柑山

『ツール・ド・フランス 2015』

2015-07-27 22:35:19 | 自転車




「ツール・ド・フランス2015」

2015年のツール・ド・フランスが昨日のパリ・シャンゼリゼで終りました。

残念ながら今年は今一つ盛り上がりませんでした。
個人総合優勝のクリス・フルーム(チーム スカイ)が強すぎたせいか、後半の山岳でメイン集団の有力選手のアタックが中々決まらずいらいらしたせいかもしれません。また私が期間中に『シークレット・レース ツール・ド・フランスの知られざる内幕』のドーピングの話を読んでしまったことにも原因があります。

いろいろ不満も残りましたが、フランスの美しい景色と一緒に見られるレースが終わってしまったのはやっぱりさびしいことです。




『高校野球予選』

2015-07-26 18:28:58 | スポーツ


今年は高校野球がおもしろそうですね。予選から白熱しています。今日もテレビで「西東京大会」と「千葉大会」を見てました。両方とも後半にびっくりの逆転あり。

特に大物一年生清宮一塁手で話題のチーム早稲田実業は0-5からの大逆転。満員の球場は大盛り上がりでした。
でも相手の東海大菅生のピッチャーは完全アウェー状態で四球連発。気の毒でした。

(写真は千葉大会優勝の専大松戸)

『シークレット・レース ツール・ド・フランスの知られざる内幕』

2015-07-17 21:33:33 | BOOK


『シークレット・レース ツール・ド・フランスの知られざる内幕』   T・ハミルトン&D・コイル著

今ツール・ド・フランスが開催中である。今日が第13ステージで、全21レースの半分を過ぎたところ。

そんな時この本を読み終えたのだが、ツールを見る目が一転してしまった。それほどドーピングに関わる選手やチームそしてこの世界の暗い裏面があからさまに暴きだされる。ノンフィクションだけれど、そこらへんの小説と比べて格段に面白い。作家ダニエル・コイルと元プロ自転車選手タイラー・ハミルトンとの共著ではあるが、完成度は高い。

アメリカ人の選手ハミルトンが自転車競技を始め、徐々に力をつけ、ツール・ド・フランスでも活躍出来るところまで上り詰めるのだが、その過程で使用せざる得なくなった薬物や自分の血液の注入などがドーピング検査で見つかり、一挙に転落していく物語である。そこにツール・ド・フランスで七連覇したランス・アームストロングの裏側やプロ自転車競技界の腐敗も暴かれる。

ハミルトンが語り、コイルが文章化したのであろうが、文章の流れが良くドーピングにかかわる選手たちの心の動きが細やかに表現されている。ただ暴露的な印象を薄めるため選手やチームへの攻撃的な内容は出来るだけ抑え、ハミルトンの心の動きを中心に描いている。それが読後感の良い理由ではあるのだが、背後にはもっと生々しくどろどろした現実があることを、読者に感じさせる。




私の目の前のテレビでは昨日と同じように、ツールが淡々と展開されているのだが、全く違うレースに見えてしまうのが悲しい。


「孤高の新聞『日本』―羯南、子規らの格闘」

2015-07-14 22:14:37 | その他


「孤高の新聞『日本』―羯南、子規らの格闘」
(於)日本新聞博物館2階(みなとみらい線「日本大通り」駅下車、3番情文センター口直結)

日本の進路を独自の視点で主張した新聞『日本』を創刊した陸羯南(くが・かつなん)を中心の展示。正岡子規らその周囲で活躍した人々のことも紹介されます。

展示品は約200点で、当時の熱気の伝わってくる興味深いものが多々ありますが、ただ新聞のことなので、文字が中心でちょっとくたびれました。同じ階にある「カフェドゥラプレス」でおいしいコーヒーを飲み、一休みしました。
 
会期は8月9日(日)まで

『ゴーヤ』をもらった!

2015-07-12 20:19:30 | 食べ物


都内のマンションに住む友人から、ゴーヤを二本もらった。ベランダで育てたとのこと。
店で売っているのと遜色ないぐらい立派な出来にびっくり。

私も以前挑戦したことがあったが、小さい段階で黄色くなってしまいすぐあきらめてしまった。

今夜は久しぶりにゴーヤチャンプルーが食べられそう。

『ラブ&ピース』

2015-07-02 18:54:13 | 映画


「ラブ&ピース」

監督・脚本:園子温
出演:長谷川博己/麻生久美子/渋川清彦/奥野瑛太/マキタスポーツ/深水元基/手塚とおる/松田美由紀
【声の出演】星野源/中川翔子/犬山イヌコ/大谷育江/西田敏行

宣伝で誰かが園子温の最高傑作なんて書いたけど、残念ながらそれはない。
主演は長谷川博己で『地獄でなぜ悪い』でも一緒だった。想像だが、鬼才・園監督と映画大好き人間でマニアックな長谷川博己がこんな映画も撮れるよ、こんなことも出来るよといった軽いノリで出来上がったという感じ。恋愛、いじめ、バンド、怪獣、人形や小動物を使ったファンタジーなどなんでもある。
監督は家族で安心して見られると言っていたようだがそのとおり。でも全く毒がないのはやはりさびしい。

世間からも会社からも疎外されていた主人公・鈴木良一(長谷川博己)は、ある日デパートの屋上で売られていた小さなミドリガメを買う。しかし会社でのいじめに耐えられずカメをトイレに流してしまう。離れ離れになったが、主人公の夢がふくらむと、手放したカメも一緒に巨大化。そして大きくなりすぎたカメが消えた時、夢も・・・。

楽曲はそれぞれ耳に残る。『地獄でなぜ悪い』のハミガキCMの歌が流れたのは笑えた。

俳優では主役の長谷川博己はもちろんだが、ちょい役でも存在感のある手塚とおる、声だけの出演だが、猫の声の犬山イヌコが印象に残った。

園監督の作品であり観客は大人ばかりだった。でもこの映画、小学生高学年ぐらいが見たら大受けしそう。封切り直後で30~40人しか入っていないことを考えると、観客のターゲットを転換してみた方がよさそうだが・・・。

園子温監督作品は現在ヒットしている『新宿スワン』が上映中。また長谷川博己も近日公開の映画『この国の空』と『進撃の巨人』に出演。二人とも大活躍である。