酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『お気に召すまま』

2007-07-25 00:28:16 | 演劇
『お気に召すまま』於:シアターコクーン

原作 W・シェークスピア  演出 蜷川幸雄 
出演 成宮寛貴・小栗旬・月川悠貴・高橋洋  

兄から不等な扱いを受けていた青年オーランド(小栗旬)と、公爵の娘でありながら父の失脚により不遇な身の上のロザリンド(成宮寛貴)との恋物語。

ロザリンドが身を守るため男の姿に変装したから、話がややこしくなる。
羊飼や道化の恋もからんで、アーデンの森は大騒ぎになるが、恋はすべて成就してめでたしめでたしで終わるシェークスピアらしい喜劇。

女の役をすべて男の俳優が演じるのと、本物の羊が登場するのが見もの。

成宮寛貴や月川悠貴の女装はびっくりするほど美しい。
特に成宮は生き生きと演じて楽しそうであるが、唯一ラストシーンのエピローグが今ひとつ滑らかでなかったのが残念。(再演なのにどうして??)

一方若い女性に人気の小栗旬は、『タイタス・アンドロニカス』のエアロンの時に比べ明らかに精彩がない。演技に疲れが見える。最近の出演作を見ているとどうみてもハードスケジュールである。

それは次々と演出を続けている蜷川幸雄も同じ。
この芝居も人気の若手が出て、内容もそれなりに面白いので興業的には成功かもしれないが、私達の期待する蜷川芝居の新鮮さが徐々に薄れつつあるのが心配だ。


『図鑑に載ってない虫』

2007-07-14 22:47:11 | 映画
監督・脚本 三木聡  出演 伊勢谷友介・松尾スズキ・菊地凛子・岩松了・ふせえり
テアトル新宿

しばらくの間だけ死ねるという「死にモドキ」というものを、雑誌の記事のために探すというお話。
ジュリエットが何時間後に生き返るために飲む薬みたいなもの。
探す伊勢谷友介と松尾スズキのコンビが生き生きして楽しい。会話も小道具も馬鹿らしいといえば馬鹿らしいけど笑える。
特に終盤はドキドキ、はらはら、さらに仲間を思う気持ちにホロリとさせられたり、中々良くできた映画である。
結局、生きてることも死んでることも、たいして変わらないという一応の決着になるのだが、そのわりには生き帰った伊勢谷友介は大喜びしてたけど。

監督は『時効警察』『イン・ザ・プール』の三木聡。相変わらず好調で独特の世界を作り上げている。
アカデミー賞候補の菊地凛子は、「イン・ザ・プール」で松尾スズキの前回の相手役市川実和子の面白さには残念ながら及ばない。

映画の評価は好みで分かれると思うが、突飛な発想と楽しさで、私は◎。

結構変な人達の出る映画だったが、終わって出た夜の新宿にはもっと変な人が歩いているように見えた。


『舞妓Haaaan!!!』

2007-07-08 00:24:02 | 映画
『舞妓Haaaan!!!』

脚本:宮藤官九郎 監督:水田伸生
出演:阿部サダオ・堤 真一・柴咲コウ・生瀬勝久・伊東四朗

見終わっての評価は、疲れた時の息抜きにどうぞという程度でしょうか。

宮藤官九郎のストーリーもそれなりに出来ているし、舞妓の世界や京都への興味も満たしてくれるけど、ほとんど笑えないんです。
観客が11人しかいなかったことも影響あるかもしれませんが、いかんせんパンチ力不足です。

先日亡くなった植木等が出てきて、かえってしんみりしてしまいました。
そういえば植木等の無責任シリーズもこんな風な映画でしたが、見終わったあともっと爽快感があったような気がします。

狙いの笑いより、大沢富士子(柴咲コウ)が、舞妓狂いの鬼塚公彦(阿部サダオ)に寄せる恋心の方がうまく描けていました。
キーワードの「一見さんお断り」へのこだわりが、映画のスケールを小さくしてしまった気がします。

出演の堤真一は、最近見た舞台「写楽考」よりはまり役。プロ野球選手としてなかなかのマッチョで、かっこいいです。

阿部サダヲは、尊敬するという西田敏行を真似て、裸になりすぎ。「朧の森に棲む鬼」の役の方が魅力ありました。

柴咲コウは舞妓姿は今一つですが、捨てられた男への複雑な気持ちをうまく演じています。

魅力的な役者さんをそろえた割には、喜劇としては物足りない映画でした

『THE BEE(日本バージョン)』

2007-07-06 00:58:07 | 演劇
『THE BEE(日本バージョン)』 シアタートラム(三軒茶屋) 
演出 野田秀樹 出演 野田秀樹・秋山菜津子・近藤良平・浅野和之

なかなか衝撃的な舞台でした。
実直だけであったはずのサラリーマンが、脱獄したばかりの男に妻子を人質に取られたことで狂暴な男に変身するという話。
筒井康隆の小説「毟りあい」が原作です。

一枚のクラフト紙の見事な利用、何役も寸時に演じ分ける役者など見応えがあります。

最後のシーンはどう考えればいいのかとか、蜂(Bee)が何を暗示していたのかとか、肝心なところはわかっていない私ですが、暴力の行き着くところの怖さみたいなものは十分感じとれました。

楽しいだけの芝居ではいけないという野田さんの意欲が見えました。

惜しいのは主役の井戸を演じる野田秀樹さんのセリフがところどころ聞き取れなかったこと。緊迫した舞台でのセリフは命とりです。
でも一緒に見た仲間は聞こえたといいますから私の耳に問題ありかもです。

ロンドンバージョンも見たいです。