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「現代能楽集V〈春独丸〉〈俊寛さん〉〈愛の鼓動〉」会場:シアタートラム
作:川村毅 演出:倉持裕 出演:久世星佳・岡本健一・ベンガル・西田尚美など
舞台は三話で構成。それぞれ能の謡曲〈弱法師〉〈俊寛〉〈綾の鼓〉から、想を起こして川村毅が創作したもの。
第一話は〈春独丸〉。育ての母に盲にされ捨てられた春独丸。人の心を読む能力で政治家にまで成り上がるが、結局、思いが断ちきれない母の元へ。母子の情愛のせつなさは伝わってくるのだが、春独丸の岡本健一が年齢不詳の雰囲気なのと、春独丸の最後のセリフ「母さんはここにいるんだね」がぴんとこないことが私には引っかかった。
二番目の〈俊寛さん〉は狂言の味付け。三人の流人が落ちこぼれのサラリーマンであったりするのが面白い。元々は俊寛一人が島に残される悲劇なのだが軽い喜劇仕立てになっている。
三番目の〈愛の鼓動〉は死刑執行人である男の物語。交通事故で意識の戻らない娘の父親でもある。女死刑囚との心の交流でつかの間のやすらぎを得るのだが・・・。ちょっと悲しく情感豊かな作品になっている。
女囚に娘の面影を見る父親をベンガルが好演。(でも東京乾電池時代の面白いベンガルも見てみたかったなぁ~)
演出の倉持裕は、独特の軽いタッチとホラーっぽさのまざりあった個性を存分に発揮、いい舞台になっている。
11月28日までだが、席は空いている様子。お勧め!