酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『裏切りの街』

2010-05-28 16:31:51 | 演劇
「裏切りの街」パルコ劇場

作・演出は最近話題の劇団ポツドール主宰・三浦大輔。チラシには「新世代の類稀な才能」とある。
出演:秋山菜津子・田中圭・松尾スズキ他
   
家で一日ゴロゴロとしている若者(田中圭)と、夫と微妙にすれ違っている人妻(秋山菜津子)がテレクラで知り合いになる。
二人は出会い、次第に親密になるのだが、なんとなく生きている二人に展望はない。そんな時、女の妊娠がわかり・・。

つぶやきのように交わされる会話、気だるい舞台上の動き。セックスシーン以外はまったりとした時間が流れる。
不倫も不貞も友達の裏切りもみんな「お互い様」で許され、かわされる約束も当然のように反古になる。これも現代社会の一面であることに妙に納得。ときおり見せる主人公の若者のやさしさにも、リアリティがある。

ラストまで流れは非常にいいのだが、甘くてじれったいラストシーンは疑問。
すぱっと終わって余韻を残すか、長くするならもう一ひねりが必要だろう。

東京公演は5月30日まで


『市川市東山魁夷記念館』

2010-05-23 14:05:12 | 美術館
5月21日に「市川市東山魁夷記念館」に行って来ました。
魁夷の大作が見られるかと期待したのですが、その点ではハズレ。美術館ではなく記念館なのですね。

平日でしたが、さすが魁夷。おばさん中心に結構賑わっていました。
一階は魁夷の生涯を説明する資料、パネル、映像など。二階に作品二十四点が展示されていました。ほとんどが40×50程度のリトグラフ。何か一つ大きい目玉作品が欲しいところです。

記念館と空地をはさんだ隣が魁夷の住居。東山の表札をしっかり見て帰って来ました。

JR下総中山駅より京成バス「市営霊園・保険医療福祉センター」行き「北方」下車すぐ
(月曜日休館)


『プランクトンの踊り場』

2010-05-16 11:37:10 | 演劇
最近の東洋大学は元気だ。野球や箱根駅伝などが目を引くが、演劇界にも大活躍の若手(といっても36歳?)の演出家がいる。
劇団「イキウメ」の前川知大。東洋大学では文学部哲学科を卒業。

その前川知大の作・演出「プランクトンの踊り場」を赤坂レッドシアターで見た。
出演 伊勢佳世・浜田信也・盛隆二・加茂杏子・安井順平他

別れるつもりで家を出た妻が、彼女の記憶だけの夫を作り出してしまう。元の夫はその部分だけ抜き取られて、彼女の知らない夫になる。一人の人間が二人に。この現象をドッペルゲンガーと言うらしい。
仕事もしないでぶらぶらしていた妻の兄が、妹のため解明にのりだす。二人の夫を合体させようとするが、分離してからの記憶が邪魔になる。その部分だけの第三の夫を作ることに成功するのだが・・・。

前川は不思議な世界を作れる人である。ナンセンスな笑いと、一見それにそぐわない理屈っぽいセリフが、変わった世界を生みだす。
乾いた芝居かと思えば、最後は兄妹愛というウェットな味付けもある。

役者では、資産をくいつぶしているだけの兄役の安井順平が笑わせる。元々お笑い芸人だと聞いて納得。

前川知大の世界に、病み付きになりそうである。


『夢の泪』

2010-05-14 09:49:00 | 演劇
東京裁判三部作の第二部「夢の泪」を見に新国立劇場へ出かけた。友達が行けなくなって急遽参戦。
作は先日亡くなった井上ひさし、演出:栗山民也、出演:辻萬長、三田和代、大和田美帆、木場勝己など。

昭和21年。とある新橋の法律事務所。夫婦でやっているのだが、夫の女性関係がもとで、二人の関係は冷えきっている。腕利きの妻に突然東京裁判のA級戦犯・松岡洋右被告の弁護依頼が・・。
町の弁護士一家とそこに出入りする人々の目を通じて、東京裁判の内実が描かれる。軽やかな音楽とコミックなやり取りの中に「戦争責任をもう一度、一人一人が真剣に考えようという」井上ひさしの重いメッセージがこめられる。
それはそれでもっともなのだが、へそ曲がりにはテーマが居座っている作品はどうも落ち着かない。「天保十二年のシェークスピア」「薮原検校」など時代ものでは好きな井上ひさしなのだが、戦後ものに今一つのれないのはそのためだ。

大和田美帆が、世の中に疑問の目を向ける若い娘を好演。しっかり目線でのセリフは松たか子に似た魅力を感じた。三田和代の敏腕弁護士には、違和感あり。前回の「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」のちょっと狂った女性役の方が魅力的だった。

終演後は中井美穂司会で、鵜山仁・木場勝己・土井裕子・石井一孝のトーク。
作者、演出家、役者それぞれの立場での執念のぶつかりあいで、芝居が成り立っているのを感じた。

最後に会場でのこと。案内女性が「ご来場の記念にパンフレットをお求め下さい」とさかんにアナウンスしていたが、パンフレットって記念に買うものなの。
一生懸命内容を考えて、パンフレットを作っている人を思うとちょっと気の毒な気がするのだが、私だけ??


『アリス・イン・ワンダーランド』

2010-05-08 21:49:44 | 映画
「アリス・イン・ワンダーランド」
3D初体験でしたが、こんなものかという感じで驚きはなし。
でも映画本体は、思ってた以上に楽しかったです。

猫も兎も芋虫もそして双子の兄弟も、登場するキャラクターの可愛いこと。特にアリスの敵の赤の女王がお気に入り。大竹しのぶ似で、ちょっと哀愁があって悪役にするには惜しい。

強さ第一という、アメリカのいやな部分も垣間見えますが、さすがディズニー映画。客を楽しませる方法を知っています。ジョニー・デップも魅力的。
どの世代にもお勧めの映画です。


『Sign』

2010-05-05 19:17:01 | 演劇
「Sign」 劇団NICHICA
作:下垣有加 / 演出:仲光和樹    日暮里d-倉庫にて

会場は座席まで急階段を降り、その先が舞台になっている。案内の女性が、階段大丈夫ですかと手を取ってくれそうだったのにはちょっとショック。まあ年だからしようがないか。

劇団NICHICAは東洋大学の劇団「白芸」のOB・OGで構成されている。
今回は「芭蕉会議」の仲間の福次郎さんが出演するというので見に行った。

東京で地震が起こった一週間後、ブライダルプランナー秋吉のもとに明後日に結婚式を挙げたいという女性が訪ねてくる。それは秋吉の大学時代のサークルの先輩だった。
地震直後で、挙式を引き受ける業者はいない。困った秋吉は大学時代の友人の協力を得て、何とか結婚式をと奔走するが、当の結婚相手の男性はといえば・・・。
地震で恋人を失った二人の女性の心の動きを対比させながら、困っている秋吉のために一肌脱ぐ大学時代の仲間達の友情を描く。

怪しい系の芝居が好きな私には、ストーリーが余りに美し過ぎるのが気になる。若い劇団には少なからず毒が欲しい。
また前半笑いを取りたい部分をほとんど外していた。無理な笑いより、真面目に演じた方が面白いこともある。後半のシリアスな演技が良かっただけに惜しい。

今日の私の目玉の福次郎さんは、ちょっと気の強い新聞記者役。命令口調のセリフを気持ち良さそうに相手役にぶつけていた。日頃の福次郎さんから、お嬢様役でもやるのかと思っていたので意外だった。
終演後ロビーで会った福次郎さんは、はつらつとして見えた。


『ポンペイ展』

2010-05-04 20:46:06 | 美術館
「ポンペイ展・世界遺産古代ローマ文明の奇跡」を見に行ってきました。 
横浜美術館にしては珍しく見応えのある展示。ゴールデンウィークで、入場制限もしてました。まあそんなに待たなかったけど。

紀元一世紀(2000年前)という時代なのに、今と変わらない見事な壁画、彫刻、装身具、食器などがあったということが、まず驚き。
庭に置かれていたであろう大理石の装飾品は特にすごい。

そんな豊かな生活が一瞬の内に火山灰や溶岩流の下に埋もれたという悲劇が、よけいに現代人の心をうつのでしょう。

他に常設展でダリの大きな絵や上村松園の魅力的な軸も展示されており、一見の価値あります。
「ポンペイ展」は6月13日(日)まで (木曜日休館)