酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『モネ、風景をみる眼~19世紀フランス風景画の革新~』展

2013-10-30 11:31:37 | 美術館


「モネ、風景をみる眼~19世紀フランス風景画の革新」展 於:ポーラ美術館(箱根 仙石原)

ポーラ美術館と国立西洋美術館のモネ作品が展示。今回二つの美術館を合わせて35点ものモネ作品があるということは、日本全国では何点ぐらいあるのでしょうか。日本人の印象派好き、モネ好きがわかります。
加えてマネ、ピカソ、スーラなどの作品を合わせ全部で約100点の充実した展覧会です。

今回の目玉はチラシ写真上のモネの「舟遊び」(国立西洋美術館所蔵)と写真下の「バラ色のボート」(ポーラ美術館所蔵)でしょうか。入ってすぐのところに二点並べて展示されています。ボートに乗る二人の女性のモデルはモネの後妻の連れ子ブランシュとシュザンヌのようです。
ゆっくり見ているうちに気がついたのですが、真正面からより少し斜めから見た方が水のきらめきが美しく見えます。

他にも「睡蓮」「ジヴェルニーの積みわら」「サン=ラザール駅の線路」「ルーアン大聖堂」「花咲く堤、アルジャントゥイユ」などモネの魅力的な作品が並び、見ごたえ十分。
レオナール・フジタの世界初公開という作品も二点あり、文句なくお薦めです。
会期は11月24日(日)まで

『安堂ロイド〜A.I. knows LOVE?〜』

2013-10-22 10:00:02 | テレビ
TBSのドラマ『安堂ロイド〜A.I. knows LOVE?〜』を見ているというか、見さされています。

わが家に熱烈な柿澤勇人フアンがいて、その柿澤くんが第二話に出演したのです。
役は安堂麻陽(柴咲コウ)を狙う敵方のアンドロイドのバルスとキュリーの二役。
どれだけ活躍するのかと思ったら、どちらもあっと言う間に、キムタク(安堂ロイド)にやられてしまいました。
「スリル・ミ-」や「ロミオ&ジュリエット」のミュージカルで主役もつとめ大活躍しているにしては、物足りない出番でした。

始まる十五分も前からテレビの前に陣取っていたわが家の柿澤フアンも、あっけない退陣にいささか不満そうでしたが、それでも大興奮でまずはめでたしめでたし。

このドラマ、ツイッタ―などの評判はいまいちのようですが、話題性はいろいろありそうで、それなりに楽しみです。

『イーハトーボの劇列車』

2013-10-11 22:52:32 | 演劇


こまつ座第101回公演「イーハトーボの劇列車」   於: 紀伊國屋サザンシアター 
作: 井上ひさし  演出: 鵜山仁  出演:井上芳雄、辻萬長、大和田美帆、木野花他 演奏:荻野清子

理想郷を求め挫折を繰り返した宮沢賢治の評伝劇。チラシのコピーでは、〈井上ひさし版『銀河鉄道の夜』〉とある。

挫折を繰り返しながらも、前向きに自分の道を探す宮沢賢治(井上芳雄)の生きざまが描かれるのだが、芝居の印象は淡い。
思想・宗教・天皇制なども語られるが、井上ひさし独特の皮肉なオブラートに包まれていてインパクトはない。(日蓮宗の賢治と浄土真宗の父親の宗教論争は面白いが)

一番致命的なのは、主人公である宮沢賢治像が定かに浮かんでこないことである。いろいろな経歴は織り込まれてはいるのだが、単なる説明に流れている。
前回見た、こまつ座『組曲虐殺』の主人公小林多喜二(同じ井上芳雄が演じている)の方が人物像は明確であった。

赤い帽子の車掌がどこからともなく現れ、手渡してゆく「思い残し切符」がファンタジー的で、宮沢賢治の童話の味わいを感じさせてくれるぐらいである。

こまつ座の客層は圧倒的に中高年が多いので、ゆったりして刺激の薄い芝居の方が好まれるのかもしれないが、私には物足りない。

(東京公演は11月17日まで)

読書三昧(25年9月)

2013-10-03 14:28:11 | BOOK


読書三昧(25年9月)

抗がん剤の使用には副作用はつきもの。
体のだるさなどは日がたつにつれやわらぐが、手・足のしびれはなおらない。
冷たい水もお湯も手は痛くてつけられないし、足はといえばしびれの球体が足裏に入っている感じで走れない。
階段では踏み外さないよう手すりを持って歩いている。
すっかり老人らしい老人かな。

9月に読んだ本

松岡圭祐『催眠 完全版』
岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿2―彼女はカフェオレの夢を見る』
藤野可織『爪と目』
瀬尾まいこ『強運の持ち主』
大島雄作 句集『春風』
佐藤勝明『芭蕉と京都俳壇―蕉風胎動の延宝・天和期を考えるー』

☆岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿2―彼女はカフェオレの夢を見る』
巻1を読んだ時は、文章のテンポが合わず、まどろっこしく感じたが、この巻2はスムーズに読めた。特にパリスタの美星の妹美空が登場するあたりから快調になった。どんでん返しを狙い話しが複雑になりすぎたきらいもあるが、雰囲気のある終わり方で読後感はさわやか。
ただ美星の推理の決め言葉である「この謎、たいへんよく挽けました」は好きになれないが・・・。

☆藤野可織『爪と目』・瀬尾まいこ『強運の持ち主』
全く違う二人の女流作家の作品を読んだ。
芥川賞の『爪と目』はホラーとも見えるラストが鮮烈。小さな子どもの目で語られる独特の文体が、最後の怖さへ誘う。
坊っちゃん文学賞大賞や吉川英治文学新人賞作家である瀬尾まいこの『強運の持ち主』は占い師になった主婦の日常を描くが、視点はあくまでやさしい。ユーモアもあり、ほのぼのした読後感が幸せな気分にさせる。
読者の好みやその時の気分で二人の評価は分かれるだろうが、ホラー好きの私は『爪と目』を選ぶ。