酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(26年5月)

2014-05-31 18:28:00 | BOOK


読書三昧(26年5月)

変更になった抗がん剤が、あまり効いていないということで、また変わりそう。変わるのはいいけど、違う副作用が出るので慣れるまでが大変。ただ今度のは髪の毛が抜けないので、少し頭髪は戻るかもしれない。

5月に読んだ本
伊坂幸太郎 『首折り男のための協奏曲』
梶永正史『警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官』
小川洋子・クラフト・エヴィング商會『注文の多い注文書』
車浮代『蔦重の教え』
文暁『花屋日記』

☆伊坂幸太郎 『首折り男のための協奏曲』
いろんなテーストの七つの物語を収める連作集。と言ってもなんとなく全体がつながっている。登場人物の脱力系の会話や話がどちらに進むか分からないもやもや感などいかにも伊坂幸太郎。
ミステリーと思って読んでいたら、いつのまにかラブストリーになった感じで、ほんわかした、いい気分の読後感が残る。

☆梶永正史『警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官』
女性警察官と言うと誉田哲也の小説に出てくる姫川玲子を思う。この小説も警視庁捜査二課主任代理郷間彩香という女性が活躍する。似たようなキャラクターも登場するが、誉田の小説の印象が暗に対し、この小説はどこか底抜けに明るい。多分筋立てが現実とかなりかい離した飛んだ発想であるからであろう。第十二回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。

☆小川洋子・クラフト・エヴィング商會『注文の多い注文書』
小川洋子とクラフト・エヴィング商會(吉田浩美・吉田篤弘)の共作の短編が5編。
各編の主人公がとてもこの世にないと思われるものを、クラフト・エヴィング商會へ注文するお話。そして話はそれぞれ有名な作家の小説からイマジネーションを得ている。各編が注文書、納品書、受領書で構成されており、「注文書」「受領書」を小川洋子、「納品書」はクラフト・エヴィング商會が書いている。
ともかく不思議な小説である。
内容の意外性、作家達のコラボレーションの絶妙さ、挟み込まれる上質の写真など、興味はつきない。
ただ小説の面白さに限って考えると、形が完ぺきな分少し物足りなさも感じる。
イマジネーションのもとになったという小説を読んでみると、また違う味わいが出るかもしれない。

☆車浮代『蔦重の教え』
「教え」を主題にした仕立ては好みではないが、江戸にタイムスリップした主人公と版元蔦屋重三郎の交流の話しは心温まる。

『テルマエ・ロマエⅡ』

2014-05-15 23:19:20 | 映画


「テルマエ・ロマエⅡ」

監督:武内英樹、脚本:橋本裕志、原作(漫画):ヤマザキマリ
出演:阿部寛・上戸彩・北村一輝・市村正親・竹内力・宍戸開・笹野高史

2012年の『テルマエ・ロマエ』の続編。
古代ローマで皇帝から戦争のない世界を作るため心を癒やすテルマエ〈浴場 〉建設を命じられた浴場設計技師ルシウスが、斬新な発想を求め現代日本に再度タイムスリップしてくる話。

どうも映画というのは、お金をかければかけるほど内容が大味になり物足りなくなるようだ。
この映画も大規模なローマのコロッセオや温泉のセット、大人数のエキストラなどそれはそれで凄いとは思うが、残念ながら映画の面白さにはつながらない。

今回は続編で、見る方に意外性がないから当然評価は厳しくなるが、それにしても日本の温泉や風呂の紹介の部分が多く、期待した笑いも少ない。
曙や琴欧州の加わった関取達や懐かしい浪越徳治郎・白木みのる・松島トモ子などの登場で目先をかえようとしているが、それもインパクトはない。

なんとか主人公の阿部寛(古代ローマ浴場技師ルシウス)の愛すべきキャラクターでもっている映画と言えるかもしれない。

個人的には前回見た『クローズEXPLODE』の方が面白かったかな。

『クローズEXPLODE』

2014-05-08 17:07:36 | 映画


「クローズEXPLODE」

監督:豊田利晃、原作(漫画):橋ヒロシ、出演:東出昌大・早乙女太一・勝地涼・岩田剛典・永山絢斗・柳楽優弥他

先月、相方から好きな俳優の柿澤勇人が出ているというので、無理やり連れていかれたのが、この映画。
高校生同士がけんかをして、「てつぺん」を取り合うという単純な話なのだが、意外に面白い。付いて行っただけのつもりだったが、のめり込んでしまった。病人にはスカッとするこんな映画の方が体には有効かも。

NHKドラマ『ごちそうさん』で主演の東出昌大がけんかは強いが、他の喧嘩仲間とはちよっと違う雰囲気を持つ高校生を好演。

相方の好きな柿澤勇人は、最初の方で、相手の一発のパンチで簡単にダウン。これはまずいと思っていたら、最後の乱闘シーンではまずまず活躍。相方もそれなりに満足したようで、とりあえずめでたしめでたし。


読書三昧(26年4月)

2014-05-04 13:33:26 | BOOK


読書三昧(26年4月)

新しく使いはじめた抗がん剤(イリノテカン)はお腹をこわすので、ゆっくり外出することがままならなくなった。それでも映画2本(「サンブンノイチ」「クローズEXPLODE」)・芝居1本(「酒と涙とジキルとハイド」)には出かけたのだから、われながらしぶとい。

4月に読んだ本
吉田修一『怒り』
原田マハ『翔ぶ少女』
芹沢央『悪いものが、来ませんように』
イプセン『幽霊』
芥川龍之介『枯野抄』
橋雅世句集『月光の街』

☆吉田修一『怒り』
上巻では八王子で起こった殺人事件で犯人と疑われる3人とその事件を追う1人の刑事の日常が描かれ、下巻で徐々に犯人がしぼられてゆく。とはいっても単なる犯人探しのミステリーではない。人をどうしたら信じられるか、信じるとはどういうことかなどがテーマとして根底に流れてをり、深みのある小説となっている。
ただそれぞれの生活が繰り返し描かれる上巻の部分は、多少冗長な感じはするが。

☆原田マハ『翔ぶ少女』
『楽園のカンヴァス』『ジヴェルニ―の食卓』など、美術を題材に魅力的な小説を書いた原田マハが、今度は神戸の震災を題材にした。震災で生き残った心療内科の医者「ゼロ先生」と、先生に震災の時助けられた三人の幼い子供達「逸騎・丹華・燦空」が一緒に明るく生き抜いていく心あたたまる物語。
幸せな気分になれるのだが、悲惨な震災をこんなに優しく描いていいのかと、ちょっと思ってしまうのは、ひねくれものの見方か。

☆橋雅世句集『月光の街』
梅ひらく波の中からなみがしら
蜻蛉の顔がかちりと回りけり