酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『探偵はBARにいる』

2011-09-26 09:55:40 | 演劇

「探偵はBARにいる」
東直己のススキノ探偵シリーズ『バーにかかってきた電話』を原作に、橋本一監督が映画化。

筋に特に目新しさがあるわけではない。東映らしい血がどばっと出る残酷なシーンもある。
それでも後味がいいのは、主役の大泉洋の演じる探偵のひょうひょうとしたキャラクターと背景にある札幌の街であろう。

俺 (大泉洋) は私立探偵。依頼はすすき野の行きつけのバーで待つ。行動は、いつも眠そうな高田(松田龍平)と一緒。ある晩、バーに女性から依頼電話がかかる。最初は半信半疑だか、女性の声や雰囲気にひかれ、事件にのめりこんでゆく。

ヤクザ役には個性的な俳優が揃い、顔を見ているだけで飽きない。
結婚・妊娠と忙しい小雪が重要な役どころで活躍。

バックに流れる久しぶりに聞くカルメンマキの歌も心地よい。

血を見るのが嫌でない方にはおすすめ。


『新・幕末純情伝』

2011-09-23 09:28:08 | 演劇


「新・幕末純情伝」パルコ劇場で、つかこうへい追悼公演を見た。
演出は「北の国から」などで有名な杉田成道。

つか芝居と言えば昔、新宿の紀伊国屋ホールでの「蒲田行進曲」を見ながらワクワクしたことを思い出す。芝居の面白さを教えてくれた舞台だ。

今回の「新・幕末純情伝」は、沖田総司が実は女だったという意表をついたお話。つか芝居の懐かしい雰囲気や「恋」「裏切り」「忠誠」「コンプレックス」など人間関係の微妙さの面白さには堪能した。ただ訴える形での言葉の洪水にはいささか辟易。「女は~」「男は~」「何々は~」との口調にうるさいと感じることも。時代とともにこちらの意識が大きく変化していることに原因がありそうだ。

見ていて思ったのだが、メッセージを削除し、ビジュアルをパワーアップしたら「新感線」の舞台になるのではと。押し付けのない「新感線」の方が、今の時代には合っていることは間違いなさそうだ。

主演は鈴木杏。以前下北沢の本多劇場の喫煙場所で、ニアミスした時は黒系の服装でスリムに見えたのだが、今回は赤のジャージでちょっと太め。沖田荘司というにはなんとなく重い。この重さが舞台の疾走感にはマイナス。杏ファンとしては少し残念。

馬場徹や加藤雅也など男性陣のしまった演技で、全般的には安定感のある舞台にしあがっている。
東京公演は9月25日(日)まで。


『かもめ』

2011-09-12 20:02:05 | 演劇


「かもめ」第七劇場    シアター トラム
原作:A.チェーホフ
構成・演出・美術:鳴海康平
出演:佐直由佳子・小菅紘史・伊吹卓光他

チェーホフの「かもめ」の原作は、若い作家コースチャが銃で自殺するシーンで終る。今日見た第七劇場の芝居は残されたニーナのその後を、チェーホフの他の作品を加えながら描く意欲的な作品。

場所は精神病院。医者のドールンが入院中のニーナの見舞いに訪れる。入院中の患者たちとの会話の中で、ドールンがニーナの過去について話しはじめ、いつか舞台では原作の「かもめ」が回想シーンとして演じられる。現実と回想のあわいが曖昧となってゆく。
ラストシーンでは患者の一人が町のこと、向こう側のことを教えて欲しいと言う。ドールンの「町はうんざりするほど退屈だ」というセリフで幕となる。
精神病棟の中と外。どちらが正常でどちらが異常かとの問いかけとともに、病棟の中の方が、いい場所ではないかと匂わせる。
ラストシーンはアフタートークによるとチェーホフの「6号室」という作品にあるのだという。

料金が1000円(初めて第七劇場の舞台を見るもの・世田谷パブリック会員)という安さだったので正直期待していなかったのだが、演技はよく訓練されており、白を基調にした舞台も美しく、内容も刺激的だった。
チェーホフの「かもめ」を知らないと内容についていけない気はするが、小劇場では実験的な要素もあるので、許されるだろう。

ただ唯一、ニーナ(佐直由佳子)の演技が、精神を病んでいるというより痴呆的な感じに見えてしまうのが気にかかった。左手の指先を鼻の近くにもっていく動作を繰り返すことに原因があるように思う。

この芝居は2007年に初演され、日本各地やフランスで上演され好評を博したという。
東京公演は11日で終了。広島公演が11月にある。


『義経千本桜 下市村茶店の場・同釣瓶鮨屋の場』

2011-09-04 09:30:44 | Weblog


8月31日に横須賀芸術劇場で歌舞伎を見た。演目は片岡愛之助の舞踊「雨の五郎」と片岡仁左衛門、愛之助、孝太郎他の「義経千本桜 下市村茶店の場・同釣瓶鮨屋の場」

席が後ろの方だったせいもあり、セリフや長唄が聞こえにくいのでいらいら。横須賀は音響が悪いのか。花道も短いので迫力も今ひとつ。
ただ歌舞伎座で見る三分の一程度の料金で、人気の仁左衛門や愛之助が見られるのだから我慢、我慢。

自分の身内を犠牲にして、主君を助けるという話は歌舞伎によくあるが、さすが歌舞伎の三大名作の一つの「義経千本桜」だけに泣かせどころがうまく出来ている。
仁左衛門の「いがみの権太」は粋な感じで、前に見た勘三郎とは全く別の味わい。

この公演は横須賀をスタートに西日本中心に18ヶ所を回るとのこと。 今日は神戸文化ホールらしい。