酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『容疑者Ⅹの献身』

2008-10-31 10:05:39 | 映画
『容疑者Ⅹの献身』はテレビの月9ドラマ「ガリレオ」の映画化。新鮮味はないが、大外れもないのが安心。福山雅治と柴咲コウが主演。

私がこの映画で注目したのは舞台でも活躍する長塚圭史と堤真一。
長塚圭史は素性が悪い松雪泰子(花岡靖子役)の元亭主に見事になりきっている。舞台では見たことのない迫真の演技で、すぐ殺されるのが惜しいほど。(本人はいま演劇の勉強でイギリスにいるらしい)
堤真一はどこかに狂気を秘めた天才数学者(石神哲哉役)にぴったり。こちらもはまり役と言える。

殺人に加担した娘がのんびりカレーライスを作っているシーンや急に主人公と容疑者が唐突に山に行くこととか、多少違和感を感じるところもあったが、全体的に上手に出来ている。
推理も伏線がうまくはってあり、容疑者の献身的な愛にも納得させられる。

もう少しドキドキ感があれば、高得点をつけられたのだが・・。


「横浜トリエンナーレ2008」

2008-10-28 22:56:03 | 美術館
天気がいいので、「横浜トリエンナーレ2008」へ出かけた。

気分良く出かけたはずが、腹が立ったことが二つ。
一つは馬車道駅を出てからの会場案内が見当たらないこと。チケットの小さな地図だけで行けということか。トリエンナーレ用の案内は雰囲気を盛り上げる意味でも必要だと思うのだが。

二つ目はスタッフのこと。ある展示の前のガラスに二つ窓があって、なんだろうと疑問のまま帰ろうとしたら、外人のアベックが入ってきた。それまでぼんやり椅子に座っていたスタッフの女性が「ユー キャン タッチ」と声をかけた。窓は展示物に手を触れるためにあったのだ。躊躇している外人に笑顔で「ノープロブレン」などと言っている。外人に親切にするのはいいが、日本人にも教えてくれるとうれしいけど。

もやもやのせいか日本郵船海岸通倉庫会場には、心ひかれる展示が少なかった。特に映像にはグロなものも多く、今頃こんなもので目を引くなよという感じ。

ただ勅使川原三郎の多数のガラスの破片を使った展示は美しいと思った。ガラスの破片そのものが心を刺激するし、光のかげんでいろいろ雰囲気の変わるのも魅力的だった。
 
写真は、夕日の赤レンガ倉庫(トリエンナーレの③会場)

『から騒ぎ』

2008-10-26 10:53:09 | 演劇
シェークスピア原作、蜷川幸雄演出の『から騒ぎ』を21日さいたま芸術劇場で見た。東京は23日が千秋楽。

観客の大部分が若い女性。帰りの人ごみでは「面白かったね」という感想が圧倒的だった。
蜷川幸雄の演出の力もあるとはいえ、18世紀のシェークスピアのお話が今の二十代にこれだけ受け入れられるのが、まずびっくり。あらためてシェークスピアはすごいと思う。いつの時代にも共通な人間の愚かさや優しさをうまく戯曲に取りこんでいるからだろう。

『から騒ぎ』は善意のたくらみ、悪意のたくらみに恋の駆け引きが交錯する賑やかで楽しい舞台。
シェークスピアの作品には多い時は四組のカップルが登場することもあるが、この芝居は主なカップルは二組ですっきりした作品である。
シェークスピアで翻訳が難しい、格言的なものや言葉遊び的なセリフも今回は違和感なくおさまっている。

役者では女性役の二人の雰囲気が対象的でいい。特に高橋一生のビアトリス役はセリフ、所作ともに無理がなく絶品。
初舞台の小出恵介(べネディック役)は素人臭さが生かされ、舞台を軽やかにするのに貢献している。長谷川博己(クローディオ役)は無難にこなしているが、セリフにいつもの切れがなかったのが気になった。
道化グループの演技もちょっと重い気はしたが、舞台の華やかさやカラフルさがそれを十分補っている。


『THE DIVER|ザ・ダイバー』

2008-10-15 19:01:12 | 演劇
三軒茶屋のシアタートラムで『THE DIVER|ザ・ダイバー』の千秋楽を見た。
作・演出 野田秀樹  出演 野田秀樹、キャサリン・ハンター他

字幕つきの英語での上演なので、微妙な部分が分かっていない不安はある。ただどう好意的にみてもほぼ同じメンバーだった前作の『THE BEE』には遠く及ばない。
題材とした、能の「海人」や「源氏物語」がかえって邪魔になっている。筋を追うあまり、野田の一番の魅力である飛躍の幅を狭めてしまった。

また「海人」や「源氏物語」が俗っぽくしか描かれていないのにも不満が残る。筋だけが取り込まれて、美的なものが切捨てられているからである。パンフレットに野田は「源氏物語」の男の描写に異議をとなえており、意識的にムード的な部分を排除したことはわかるが・・・。

またイギリスでどう見られたかは知らないが、扇子をいろんなものに見立てるやり方は日本では陳腐にしか見えないし、野田が今後目指すと言っていた社会性も、女性の多重人格への着目にとどまっている。

『THE BEE』の男役での演技の光ったキャサリン・ハンターも、残念ながら源氏の女性を演じるには魅力にかけた。仮面をかぶっている時の方が魅力的だったのはちょっと皮肉。

期待が大きかっただけに失望も大きかったが、囃子・笛などの音楽効果は迫力があった。


休暇明け

2008-10-04 20:45:02 | 東洋大学
1日から大学の秋学期の授業が始まりました。
東洋大学は通信教育でも昼の授業の一部をとることができます。
私も漢文の授業に出席。

授業の再開で心が高ぶることがあります。
学生達が仲間と久しぶりに会った時の笑顔が見られること。
声をかけあいながら、近寄って行く時の表情が、どれ程魅力的なことか
キャンパスのあちこちでの再会を、若さへの嫉妬も感じながら見とれています。