酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

「ロープ」

2006-12-23 23:10:20 | 演劇
「ロープ」見ました。
作・演出/野田秀樹 出演/宮沢りえ・藤原竜也・渡辺えり子・宇梶剛士
シアターコクーン

プロレスのロープの中の虚の世界がいつか鉄条網に囲まれたベトナム戦争に。
レスラーのヘラクレス・ノブナガの引きこもりは、ベトナム戦争の逃亡兵へとつながっていきます。この辺の展開はおなじみの野田ワールドです。

しかしいつもの野田マップの舞台より、動きもセリフのスピードも遅くなった分、メッセージ性が強くなりました。
暴力がいつのまにか正当化され、拡大していく怖さが伝わってきます。

藤原竜也は引きこもりのプロレスラーという、彼のキャラでは考えられない役柄をうまくこなし、宮沢りえの透明感も舞台を引きたてます。
二人の息もぴったりで気持ちよさそうに演じています。

ラストシーンの過剰とも思えるベトナム戦争のライブ中継や、藤原竜也の去った後の舞台の長めの余白などに、野田秀樹の新しい挑戦を感じました。

見ごたえのある舞台でした。


映画「NANA2」

2006-12-16 19:19:32 | 映画
「NANA2」見ました。
大谷健太郎監督 出演 中島美嘉・市川由衣・成宮寛貴・玉山鉄二

前回の主演クラスの宮崎あおいと松田龍平が降りてしまい、ちょっと心配でしたが、とりあえずうまくまとまっていました。
女性同士の友情を軸に、バンド仲間の人間関係、ハチの妊娠、メジャー進出などが描かれます。

バンド「BLACK STORNS」の俳優達が、前回より個性的で楽しげに演じているのが目につきました。

ナナの中島美嘉は、棒読み風のセリフに意外に現実味があり今回も好演。

ハチの市川由衣も頑張ってるのですが、ちょっとやさしいミーハーな女の子の役には、目の力が強すぎる気がします。やはり宮崎あおいの方が、適役だと私は思いますが、どうでしょうか。

最後はもう少しカットして、余韻の残るラストシーンであれば、もっと良かったと惜しまれます。


「フラガール」

2006-12-11 19:42:17 | 映画
今頃「フラガール」見ました。
先日の日刊スポーツ映画大賞で、主演女優賞など4部門を「フラガール」が獲得し、今年の映画賞の目玉になりそうな勢いなのであわてて行ったというわけ。
上映2ヶ月以上になるのに、席は結構うまってます。

常磐ハワイアンセンター誕生の物語。町のため家族のため、炭鉱の娘たちがフラダンスを練習し、ついにオープンの日の舞台に立つ。
その指導者としてやってきたのは、いわくありげな東京からのダンサー(松雪泰子)。
最初、町の反応は冷たいのですが、少女たちの熱意に徐々に雰囲気は変わっていきます。

フラダンスをメインに、涙あり笑いあり、落盤事故や炭鉱閉鎖による解雇の問題も出てきます。主人公の少女(蒼井優)の兄(豊川悦司)とダンサーとの淡い恋も感じさせます。
主役から脇役まで、個性的で魅力的な役者をそろえているので、非常に完璧に出来上がっています。しかしどの部分も類型的なのです。

素人が一生懸命練習して晴れの舞台に立つ映画は過去にもいろいろありました。そこから一歩も出ていないのです。
唯一新鮮さを感じるのは、東京に帰ろうとして汽車に乗ったダンサーに、少女たちがフラダンスの手の動きで熱い思いを伝えるところぐらいでしょうか。

はやりのノスタルジーの面でも、去年人気だった「ALWAYS三丁目の夕日」に及びません。

映画フアンの裾野を広げるには、間違いなくいい映画だと思います。
でも今後の映画賞で、これが今年一番の映画となるようなら、日本映画もちょっと寂しいとしか言いようがありません。