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読書三昧(27年11月)
寒さがきびしくなってきた。ベッドでごろごろしている時間がますます長くなっている。薬の副作用で足がしびれているせいか、外へ出て歩かないとたった一日でも足が退化する感じ。頑張って外へ出なくては!
11月に読んだ本
加藤シゲアキ『傘をもたない蟻たちは』
米澤 穂信『王とサーカス 』
羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』
岩城けい『MASATO』
三谷幸喜・松野大介『三谷幸喜創作を語る』
橋睦郎『百人一句』
能村研三句集『催花の雷』
☆加藤シゲアキ『傘をもたない蟻たちは』
この作者に「ジャニーズ事務所のNEWSのメンバー」という紹介はもう不要のようだ。この作品は六篇の短篇からなるが、小説家としての才能を十分しめしている。主人公が男であったり女であったり、職業が学生だったりサラリーマンだったり作家だったり、シチュエーションはいろいろだが、それぞれの発想に意外性がありとてつもなく面白い。中で私は『Undress』や『インターセプト』のようなどんでん返しのある作品が好き。今後もベストセラー作家として大活躍しそうな予感がある。お薦め!
この作品はフジテレビ・2016年1月放送の「土ドラ」でドラマ化が決定している。
☆米澤 穂信『王とサーカス 』
非常に丁寧に書かれたという印象。女性のフリーライターがネパールで偶然国王などの王族殺害事件に出くわす。主人公・太刀洗万智は報道とはどうあるべきかを絶えず問いかけながら取材を続ける。ジャーナリストのあり方を問いかけながら、一方ミステリーとしても一級品。最後まで飽きさせない。米澤 穂信の作品は過去に『インシテミル』や『満願』を読んでいるが、今回の作品が一番面白いと思った。これもお薦め!!
☆羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』
今年の芥川賞受賞作品。死にたい死にたいと毎日言う87歳の祖父と暮らす孫・健斗。祖父の希望をかなえるために、何か出来ることはないかと考えた健斗は・・・。
老人介護の問題をとりあげているが、この小説にしめっぽさは微塵もない。弱っているようでしたたかな面も持つ祖父とドライな考えの健斗とのやりとりを、私は面白いと思ったが評価は分かれるかもしれない。
☆岩城けい『MASATO』
父親の転勤でオーストラリアの現地校の5年生に転校した男の子が小学校を卒業するまでの話。苦労しながら現地生活に馴染んでいく中で、自立していく姿は心温まるが、日本を離れられない母親との葛藤は生々しい。両親の意見の食い違いの部分はもう少し整理して短くても良かったかな。
☆三谷幸喜・松野大介『三谷幸喜創作を語る』
インタビュー形式で三谷が過去の自分の仕事(舞台・テレビ・映画)について語る。朝日新聞夕刊の連載記事「三谷幸喜のありふれた生活」と重なる部分もあるが、三谷の映画や舞台作品はほとんど見ているので、すごく興味深い。この本に書かれている作品の中で私が一番好きなのは、2007年の舞台でゴッホなど画家を題材にした『コンフィダント・絆』。
☆橋睦郎『百人一句』
短歌に「百人一首」があるなら、俳句に「百人一句」があっていいだろうという作者の発想から生まれたという。前連歌時代から近年までの百人の一句を取り上げ、句を楽しみながら俳諧の流れがわかるよう構成。全生涯をかけて俳諧・俳句に取り組んだ人達がいかに多くいたかを教えられる。
☆能村研三句集『催花の雷』
新涼や家霊棲みたる書架の奥
三脚をさす夏草の香を宥め
義士の日の妥協許さぬ会議あり
後ずさりして見る実梅あるわあるわ
木の家に木の節あまたあたたかし