2月19日に渋谷のシアターコクーンでNODA・MAP『パイパー』を見た。
作・演出 野田秀樹 出演 松たか子・宮沢りえ・橋爪功・大倉孝二・北村有起哉・野田秀樹・田中哲司・小松和重・佐藤江梨子他
最近、演出家としての野田秀樹は、問題意識のない芝居はつまらないと言い続けている。そして人間が目を背けてきた問題に意識的に切り込もうとしているように見える。『ロープ』におけるベトナムの虐殺、『THE BEE』の際限のない報復。そして今回はガニバリズム。
火星に到達した人間。その生活は、初めこそ希望に満ちていたが、争いがおこり、仲間であったはずのパイパー(不思議な生物?)もいつか敵に変わり、地球からの援助も途絶える。食べる物のなくなった人間は・・・。
野田は「自滅する幸せ」がテーマだと言う。宇宙を舞台に、スケールの大きい人間のドラマになっている。特にラストシーンで希望が生まれ、さわやかな印象を与える。
宮沢りえは妊娠6ヶ月の体で大奮闘しているが、さすがに顔に疲れが見える。しっかりした姉(フォボス)という役柄のせいもあるが、いつもの透明感はない。
目立つのは妹(ダイモス)役の松たか子。セリフのめりはり、目の輝きなど、すべてに素晴らしい。そしてこの人が話しだすと芝居の筋とは関係なく感動してしまう何かを持っている。ますます凄い女優さんになっていく。
若い人中心のグループ(アンサンブル)演技も中々迫力ある。テレビで野田のワークショップの様子も見ていたので面白かった。ただ一人一人がグループをはみだし、頑張り過ぎの感じもした。席が前のせいで、全体を俯瞰できる席なら印象は違ったかもしれない。
ここニ回の野田演出の『野田版 愛陀姫』と『The Diver(英語版)』は、物足りなさが残ったが、今回は期待に十分こたえてくれた。(2月28日まで)
作・演出 野田秀樹 出演 松たか子・宮沢りえ・橋爪功・大倉孝二・北村有起哉・野田秀樹・田中哲司・小松和重・佐藤江梨子他
最近、演出家としての野田秀樹は、問題意識のない芝居はつまらないと言い続けている。そして人間が目を背けてきた問題に意識的に切り込もうとしているように見える。『ロープ』におけるベトナムの虐殺、『THE BEE』の際限のない報復。そして今回はガニバリズム。
火星に到達した人間。その生活は、初めこそ希望に満ちていたが、争いがおこり、仲間であったはずのパイパー(不思議な生物?)もいつか敵に変わり、地球からの援助も途絶える。食べる物のなくなった人間は・・・。
野田は「自滅する幸せ」がテーマだと言う。宇宙を舞台に、スケールの大きい人間のドラマになっている。特にラストシーンで希望が生まれ、さわやかな印象を与える。
宮沢りえは妊娠6ヶ月の体で大奮闘しているが、さすがに顔に疲れが見える。しっかりした姉(フォボス)という役柄のせいもあるが、いつもの透明感はない。
目立つのは妹(ダイモス)役の松たか子。セリフのめりはり、目の輝きなど、すべてに素晴らしい。そしてこの人が話しだすと芝居の筋とは関係なく感動してしまう何かを持っている。ますます凄い女優さんになっていく。
若い人中心のグループ(アンサンブル)演技も中々迫力ある。テレビで野田のワークショップの様子も見ていたので面白かった。ただ一人一人がグループをはみだし、頑張り過ぎの感じもした。席が前のせいで、全体を俯瞰できる席なら印象は違ったかもしれない。
ここニ回の野田演出の『野田版 愛陀姫』と『The Diver(英語版)』は、物足りなさが残ったが、今回は期待に十分こたえてくれた。(2月28日まで)