酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『パイパー』

2009-02-21 14:50:03 | 演劇
2月19日に渋谷のシアターコクーンでNODA・MAP『パイパー』を見た。

作・演出 野田秀樹  出演 松たか子・宮沢りえ・橋爪功・大倉孝二・北村有起哉・野田秀樹・田中哲司・小松和重・佐藤江梨子他

最近、演出家としての野田秀樹は、問題意識のない芝居はつまらないと言い続けている。そして人間が目を背けてきた問題に意識的に切り込もうとしているように見える。『ロープ』におけるベトナムの虐殺、『THE BEE』の際限のない報復。そして今回はガニバリズム。

火星に到達した人間。その生活は、初めこそ希望に満ちていたが、争いがおこり、仲間であったはずのパイパー(不思議な生物?)もいつか敵に変わり、地球からの援助も途絶える。食べる物のなくなった人間は・・・。

野田は「自滅する幸せ」がテーマだと言う。宇宙を舞台に、スケールの大きい人間のドラマになっている。特にラストシーンで希望が生まれ、さわやかな印象を与える。

宮沢りえは妊娠6ヶ月の体で大奮闘しているが、さすがに顔に疲れが見える。しっかりした姉(フォボス)という役柄のせいもあるが、いつもの透明感はない。
目立つのは妹(ダイモス)役の松たか子。セリフのめりはり、目の輝きなど、すべてに素晴らしい。そしてこの人が話しだすと芝居の筋とは関係なく感動してしまう何かを持っている。ますます凄い女優さんになっていく。

若い人中心のグループ(アンサンブル)演技も中々迫力ある。テレビで野田のワークショップの様子も見ていたので面白かった。ただ一人一人がグループをはみだし、頑張り過ぎの感じもした。席が前のせいで、全体を俯瞰できる席なら印象は違ったかもしれない。

ここニ回の野田演出の『野田版 愛陀姫』と『The Diver(英語版)』は、物足りなさが残ったが、今回は期待に十分こたえてくれた。(2月28日まで)


『ちっちゃなエイヨルフ』

2009-02-12 19:12:18 | 演劇
『ちっちゃなエイヨルフ』 池袋 あうるすぽっと

原作:イプセン、演出:タニノクロウ、出演:勝村政信・とよた真帆・馬渕英俚可・野間口徹 他

イプセンのこの芝居は、どんな穏やかで良好な人間関係も、一つ事件が起きると簡単に崩れてしまう微妙なバランスの上に成り立っていることを教えてくれる。

足の不自由な子供エイヨルフの水死という事件がきっかけで、その親である夫婦と夫の妹の間に、今まで隠れていたことが、見えはじめる。
観客は登場人物それぞれの不安な気持ちを共有しながら芝居に引き込まれてゆく。精神科医でもあるタニノクロウが微妙な心のずれをピアノの音を加えながら、上手く演出している。

夫の妹アスタ役の馬渕英俚可の演技が自然で素晴らしい。
男性陣もそれぞれの役柄を無難にこなしているが、少し不満を言えば妻リタ役のとよた真帆の演技。全体的におとなしすぎないだろうか。資産家のごう慢さ、性格の激しさ、一方で一人では生きていけない心の弱さ。もう少し振幅があっても良かったのではないか。

なかなか見ごたえのある芝居であるが、2月15日まで。

『ハイスクールミュージカル』

2009-02-10 13:18:20 | 映画
「ハイスクールミュージカル」
ただただ明るく楽しく、歌って踊って、これがディズニー映画だという映画。

アメリカの、ませた高校生がこんなに単純だとは思えないが、おとぎ話みたいなもの。
卒業後の進路と恋に悩むのも、ほんの付け足し。

大音量の音楽がずっと流れっぱなしで、元気にはなれるが、封切り直後なのにたった7人の客では盛り上がりようもなかったのは残念!