酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(26年7月)

2014-07-31 13:10:58 | BOOK


読書三昧(26年7月)

体調はそう悪くないのだけど、腫瘍マーカーの数値だけは着実に悪くなっている。打つ手もないので、知人からもらったロイヤルゼリーの錠剤なんかを飲んで気を紛らわせている。


7月に読んだ本

三上 延『ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~』
黒川博行『破門』
東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』短篇5編
鈴木勝秀『上演台本・錬金術師』(原作:ベン・ジョンソン)
三田完『草の花―俳風三麗花』
内田康夫『浅見光彦殺人事件』
山東京伝『先開梅赤本』



☆黒川博行『破門』

『破門』は「疫病神」シリーズの第5弾だそうだが、黒川博行の小説を読むのははじめて。今年の直木賞候補作というので読んだ。
筋もおもしろいのだが、ともかくヤクザの桑原と堅気の建設コンサルタント二宮の会話が抜群に面白い。普段本を読んで笑うことはないのだが、この本ばかりには顔の筋肉がゆるんでしまう。たださすがに終盤には、大阪のおばちゃんの会話をずっと聞かされていた気分でちょっと疲れた。
読んだ後に今年の「直木賞」に決定した。

☆三田完『草の花―俳風三麗花』

『俳風三麗花―草の花』は先月読んだ『俳風三麗花』の続編である。前巻が句会という小さな世界からのびのびと巣立っていく三人の女性が情感豊かに描かれたのに対し、続編は戦争に向かう時代の社会情勢に翻弄され苦闘する女性俳人の姿をダイナミックに描いている。
登場人物も川島壽美子、甘粕正彦、永井荷風、高浜虚子など多彩で楽しい。ただ小説とは言え、人と人の出会いが余りに都合よく行くのには多少違和感も感じるが・・・。
小説の中で六代目菊五郎の食べる「桃屋の花らっきょう」が、余りにおいしそうに書かれているので、何十年ぶりかで買ってしまった。

『ピーターパン』

2014-07-28 11:46:13 | 演劇


「ピーターパン」   於:東京国際フォーラム ホールC

出演:唯月ふうか(ピーターパン)、大貫勇輔(フック船長/ダーリング氏)、福田沙紀(ウェンディ)、白羽ゆり(ダーリング夫人/タイガー・リリー/ジェーン) 他

ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』を見てきました。

ダーリング家の長女ウエンディとその弟二人は、ピーターパンに連れられ空を飛んで、美しい島ネバーランドへ行きます。そこで待っていたものは海賊やインデアン。ウエンディ達はその争いに巻き込まれて・・・、というお話。

夏休みに入り会場は小さい子供で一杯。笑い声があちこちでおこったり、海賊やワニの登場に泣きだす子もいて、いつもと違った雰囲気で楽しい観劇でした。

「ピーターパン」 は日本では34年も続いているとのこと。第一回ではピーターパンを榊原郁恵、ウェンディを香坂みゆきが演じていたというのですから、凄い時代の流れです。

今回見に行った理由は、相方がフアンである大貫勇輔がフック船長を演じていること。最近では『ロミオとジュリエット』の死のダンサー役で圧倒的な存在感を見せた大貫ですが、ロープで宙を飛ぶフライングやカラフルで混沌とした舞台の中では、さすがの切れ味のあるダンスも目立たず今回は不発。
加えて私達の隣で、何回も見ているらしい小さな男の子が「フック船長は前の人の方が良かったよね(前回は橋本じゅん)」と言っているのを聞いて相方もがっくり。ダンス界のホープも子供からは厳しい評価でした。

公演は東京は7月31日(木)まで。


『ツール・ド・フランス第101回』   NO2

2014-07-23 21:00:00 | スポーツ


いよいよ「ツール・ド・フランス」も終盤に入りました。
前半で有力選手が落車などでずい分リタイアしてしまいました。例えばカンチェラーラ・コンタドール・フルーム・シュレク弟・カヴェンディッシュなど驚くメンバーです。私が期待していたコンタドールやシュレク弟もリタイヤです。

やむなく後半はフランスの若手のロメン・バルデとティボー・ピノの総合三位争いと新人賞争いを注目することにします。
唯一の日本人新城選手の所属するユーロップカ―のヴォクレールのマイペースの走りも面白いですよ。と書きながらテレビ見ていたら16ステージはヴォクレールが俄然やる気。マイケル・ロジャースには負けたけど2位と健闘してびっくりさせてくれた。まあ元々それぐらいの実力は十分あるのだけど。

『ブラック メリー ポピンズ』

2014-07-10 12:59:49 | 演劇


「ブラック メリー ポピンズ」   於:世田谷パブリックシアター

[脚本・作詞・音楽] ソ・ユンミ
[演出] 鈴木裕美、[上演台本] 田村孝裕
[出演] 音月桂/小西遼生/良知真次/上山竜司/一路真輝

体調が少しいい状態なので急遽芝居のチケット探し。たまたま二階席が空いていた韓国発のミュージカル「ブラック メリー ポピンズ」へ。
出演者で知っているのは「スリル・ミ-」に出ていた小西遼生と宝塚出身の一路真輝ぐらい。音月桂も宝塚の雪組のトップッスターだったらしいが、一般の芝居では初舞台。
あまり期待せずに出かけた。

1930年代、 ドイツの有名な心理学者グラチェン・シュワルツ博士の豪邸で火事が起こり、博士は焼死。博士の4人の養子である子供たちは養育係メリー・シュミットに助け出される。 しかし、不思議なことに子供達は、その日のことを記憶していない。12年後博士の手帳が長男の手元に届いたことから、事態は思わぬ方向に展開してゆく。


まだ初日から少しなのに俳優達の演技はゆるぎなく、舞台美術はシンプルだが洗練されており、音楽も「スリル・ミ-」に似た雰囲気で心地よい。
完成度の高い見ごたえのある舞台になっている。

血はつながっていない4人の兄弟の強い絆が根底に流れていて、芝居のメリハリをはっきりさせているところも成功の理由だろう。舞台「シュート・ザ・クロウ」の頃から注目の、まだ30代の田村孝裕の上演台本も貢献しているのかもしれない。

ミュージカル派には勿論お薦めだが、ストーリーもしつかりしているのでストレートプレイ派にも面白いと思う。
公演は7月20日(日)まで

『ツール・ド・フランス第101回』

2014-07-06 23:45:52 | スポーツ


「ツール・ド・フランス第101回」

第101回のツール・ド・フランスが昨日から始まりました。Jスポーツと契約して夜はテレビをつけっぱなし。

今年はイギリスのヨークシャーをスタート。スタートセレモニー・表彰式にはイギリス王室のウィリアム王子、キャサリン妃、ヘンリー王子も出席。イギリスの力の入れようも大変なものです。そのせいか沿道は観客がはみ出すほどの盛況。自転車とぶつからないか見ている方がはらはらです。

昨年は100回の記念大会でしたが、内容的にはもう一つ盛り上がりに欠けたように思いました。今年はずっと応援してきたコンタドールやシュレク兄弟も元気になってきたようなので楽しみ。

1日目はキッテルが優勝。地元のカヴェンディッシュの優勝が期待されていたのですが、ゴール近くで落車。かわいそうでした。

読書三昧(26年6月)

2014-07-01 22:15:28 | BOOK


読書三昧(26年6月)

体調は特にかわりはないのだけれど、癌の勢いを示す「腫瘍マーカー」という数値が毎回悪くなっていくのが気がかり。正常な細胞が戦いに負けているのかもしれない。副作用に耐えられなくなるまでは、医者の言うとおりでいくしかないか・・・。

6月に読んだ本

千早茜『あとかた』
三田完『俳風三麗花』
香納諒一『無縁旅人』
小山田浩子「いたちなく」「「ゆきの宿」(単行本『穴』より)
谷津矢車『蔦屋』
シェイクスピア『テンペスト』
松井周『脚本・十九歳のジェイコブ』(原作:中上健次)
中上健次『十九歳のジェイコブ』

☆千早茜『あとかた』
うまい小説なんだけど、ちょっと感性が勝ち過ぎかな。
7編の短編がそれぞれ独立しているが、一方で微妙にかかわっている。私は各編を時間をかけて読んだけれど、これは一気に読んだ方が味わいが深まるかも。

☆三田完『俳風三麗花』
俳句の先生と三人の若くて美しい女性の弟子3人が、巻き起こす物語。作者が俳人であるだけに句会の臨場感は半端ではなく、自分も参加しているような気分にさせてくれる面白い小説である。実在の人物も登場するため歌舞伎をはじめとする時代考証なども大変だったことだろう。
女性の描き方がいかにも男性目線であるような点が唯一気になった。
(この本を読む機会を与えてただいた、月子さんに感謝です)

☆香納諒一『無縁旅人』
警察小説の形をとるが、「題名」でわかるように作者は生きることの孤独さを言いたかったのかもしれない。丁寧に描かれていて面白いのだが、迫力不足。「ネットカフェ」・「伊達直人」・「NPO法人」・「援助交際」・「投資金詐欺」など現実の題材を入れようとしたのがかえって現実感を弱めたように思える。

☆小山田浩子「いたちなく」「「ゆきの宿」(単行本『穴』より)
雑誌で芥川賞受賞作の『穴』を読んだ時は、不思議な小説を書く人だと思っただけだったが、今回二篇の短篇を読んでその文章力は凄いと思った。登場人物がそれぞれ独特の個性を持ってイメージが浮かびあがってくるのである。それも愛すべき人物として。短篇といって侮れず。

☆谷津矢車『蔦屋』
前月に続いて、蔦屋重三郎関連の小説を読んだ。読み比べが面白い。
蔦屋の元気に活躍する前半の快調さに比べ、後半のしめっぽい部分をちょっとひっぱりすぎたかも。