酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『義経千本桜』

2008-07-23 23:40:07 | 演劇
久しぶりの歌舞伎座です。
今月は海老蔵、玉三郎の人気コンビで、チケ取りに苦戦。やっと取れたのが二階の後方。なんと花道が見えませんでした。

昼の部の演目は『義経千本桜』の「鳥居前」「吉野山」「川連法眼館」の三つの場面。部分的に見たことはありますが、三場続けて見るのは初めて。流れが良くわかります。

中で見ものは「川連法眼館」の場。義経の家来佐藤忠信に化けた狐(海老蔵)が、本物の出現で正体がばれてしまいます。
それほどまでにして静御前(玉三郎)に近づいたのは、静御前のもつ鼓の皮に父母狐の皮が使われていたためです。
狐の悲しい話を聞いた義経は親子の情にほだされ、鼓を狐に与えます。

話はおとぎ話風ですが、狐の親を思う心情と、兄頼朝に捨てられた義経の気持が響き合い、泣かせどころのあるよくできた芝居てす。
成田屋独特の、のびたセリフ回しが、狐の悲しみの深さを表すのに意外な効果を上げています。
早変わりに加え、宙乗りもあり見所満載。
歌舞伎初心者にも、楽しくかつ泣ける満足の舞台でした。

もう当日の幕見くらいしか、切符は買えないと思うけどおすすめです!


『カメレオン』

2008-07-19 22:23:48 | 映画
映画『カメレオン』を見た。監督は『どついたるねん』や『亡国のイージス』などの阪本順治。

わが同居人が藤原竜也の大ファンで、藤原竜也の映画は一緒に見ることを義務づけられている。それも土日が条件。
映画のランキングは土日の入場者でカウントするので、ランキングを上げたいのだそうだ。
ただ、今は『花より男子』『インディ・ジョーンズ』『クライマーズ・ハイ』など話題作が目白押し。おまけに『カメレオン』は横浜で一館しか上映しておらずベストテンに入るのは、夢のまた夢。それどころか今月の25日で打ち切りの可能性も・・・。

映画はB級っぽいが結構面白い。
もともと松田優作のために書かれた脚本であるが、藤原竜也が好演。独自の伍郎像を作り上げている。
ピストルを何発も撃たれた佳子(水川あさみ)が生き返るなど、??な部分も多いが、見て、すかっとすることは間違いない。監督の遊び心も、ところどころに見えて楽しい。

ただポイントとなるシーンが、テレビの予告編でほとんど流れてしまっていて驚きが薄れたのが残念。


『sisters』

2008-07-15 15:51:51 | 演劇
パルコ劇場で『sisters』を見た。

出演 松たか子・鈴木杏・田中哲司・中村まこと・梅沢昌代・吉田鋼太郎

狂気と正常、現在と過去が複雑に入り混じる舞台。
一つの部屋で二つのシーンが同時進行したり、水がふんだんに使われたり、変化に富んだ構成になっている。

父娘相姦や暴力などの重いテーマを、長塚圭史らしいドライな味付けで表現している。前回薄れていた、長塚らしい切味が戻っているのがうれしい。

パンフレットで、中村まこと(ホテル経営者役)が、「そんな体験があるわけでもないだろうに、なんでこういうテーマが出てくるんだろう」と長塚のことを言っているが、芝居を見ながら私も同じ事を考えた。
ますますこれから楽しみな作・演出の長塚圭史である。でも出演はしなくていいからね~(笑)

透明感の松たか子、エネルギーの鈴木杏、普通さの田中哲司、泥くささの中村まこと、病気の作家と言う珍しい役どころの吉田鋼太郎など、演技陣の違った個性がうまくかみあっているのも見ものだ。

芝居好きには強力おすすめで~す!


『かもめ』

2008-07-08 23:06:12 | 演劇
赤坂ACTシアターの『かもめ』。久しぶりに芝居らしい芝居を見た。
演出栗山民也。沼野充義の新訳によって上演。
ニーナのセリフ「私はかもめ」が有名なチェーホフの芝居である。

大女優アルカジーナ(麻実れい)の息子トレープレフ(藤原竜也)は前衛的な演劇の創作を志しているが、才能を認めるのは医者のドルン(中嶋しゆう)ぐらい。恋人だったニーナ(美波)も有名作家のトリゴーリン(鹿賀丈史)に夢中になり離れていく。

2年後新進作家として一応の評価を得られるようになった彼のところへ、男に捨てられ落ちぶれたニーナが帰ってくる。ところがニーナはまだ去った男が忘れられず、その思いを彼に話つづける。自分の気持ちとのギャップに絶望した彼は・・・。

芸達者が多く芝居の完成度は高い。群像劇であるが、歯車の合わない人間関係を演技の力で浮き立たせる。特に麻実れい・美波・小島聖の女優陣がそれぞれの個性を発揮して見せる。

藤原竜也は26歳になりそろそろ転換期か。前半を激しい演技で後半につなげたいというのは本人の意図のようであるが、鼻水を流し、唾を飛ばしての熱演は彼の演技の形としてそろそろマンネリ化しているように見える。後半の抑えた演技が光るだけに惜しい。

ともかく見ごたえのある芝居だった。

『僕の彼女はサイボーグ』

2008-07-01 18:24:05 | 映画
MOVIX本牧で『僕の彼女はサイボーグ』を見た。7月4日で終了という時期で、観客はたった7人。

監督は日本でもヒットした「僕の彼女を紹介します」や「猟奇的な彼女」の韓国のクァク・ジェヨン。彼の作品では私は「ディジー」が好きだ。

寂しい誕生日を送る大学生ジロー(小出恵介)の前に不思議な魅力の女の子(綾瀬はるか)が現れ、一緒に楽しい1日を過ごすが、彼女はすぐに姿を消してしまう。1年後、再びジローの前に姿を現した彼女。でも彼女は、未来の自分が送り込んだサイボーグだった。
ジローは彼女に恋をし、彼女も少しずつジローの感情を理解し始めるのだが・・。

韓国の監督と日本の俳優のコラボで、新しい映像が生まれるかと期待したが、残念ながらそれは外れた。

特に前半主人公が故郷に帰るシーンで、日本的情緒にはまり過ぎて間延びした。監督のこだわりが裏目にでた感じ。
また後半の地震シーンは倒壊画面の方が主になって、俳優が霞んでしまった。

ヒロイン綾瀬はるかはサイボーグ姿は似合っているが、「鹿男あをによし」の藤原先生役のとぼけた演技には及ばない。顔よりも胸のアップの場面が多かったのは監督の趣味か。

後半ロボットのオークションや最初に戻るラストシーンなど、ちょっといい味わいがあったこと、主役の小出恵介が気弱で心優しい大学生ジローを見事に演じているのが救い。