酢豚のひとりごと

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『トップ・ガールズ』

2011-04-19 19:34:49 | Weblog
「トップ・ガールズ」 シス・カンパニー公演  Bunkamuraシアターコクーン

作:キャリル・チャーチル  演出:鈴木裕美  出演:寺島しのぶ・小泉今日子・渡辺えり・鈴木杏・池谷のぶえ・神野美鈴・麻実れい

東洋大学の通信スクーリングで高城功夫先生の「とはずがたり」の授業を受けたことがある。その主人公の「二条」が翻訳もののこの芝居に登場。源氏物語ならともかく「とはずがたり」が海外で読まれていることにまずびっくり。

舞台は今から30年位前のロンドン。男性を押し退けて、人材派遣会社の専務になったキャリアウーマンのマーリーン(寺島しのぶ)。その昇格を祝って、古今東西のトップガールズたちがお祝いにかけつけるという夢か妄想の世界で始まる。
集まったトップガールズは探検家イザベラ・バード(麻実れい)、「とはずがたり」の二条(小泉今日子)、女傑フリート(渡辺えり)、「デカメロン」のグリゼルダ(鈴木杏)、女性の法王ヨハンナ(神野美鈴)。お酒が入った彼女達は人の話はあまり聞かないで、自分のことばかり話している。話の内容も自慢と愚痴ばかり。

場面は一転して現実の人材派遣会社。バリバリ働いているマーリーンのもとに姉の娘アンジー(渡辺えり)が尋ねてくる。次の地位を狙う部下の女性たち、転職を考えて相談に来る女性、マーリーンの昇格で地位を追われた男性の妻などが交錯。マーリーンは毅然とした態度を貫く。

そして次のシーンへ。姉(麻実れい)の住む実家へマーリンが帰ってきて、いつもの口論が始まる。母親のこと娘アンジーのこと、過去のお互いの勝手さを言い合う。
寺島しのぶと麻実れい二人の演技がうまいので引き込まれはするのだが、トーンは姉妹の愚痴の言い合い。田舎の家に残り親の面倒を見た姉と、飛び出してロンドンで地位を獲得した二人の話は所詮噛み合わない。ただお互いの言葉の端々に肉親の情が残っているのが救いになっている。

この芝居の作者は女性。一番の眼目は、男性社会で、のしあがる女性の苦悩を描くことだと思うのだが、一方で女性への皮肉な目があるようにも感じられる。その分、作者の狙いが明確には見えない。
だから始めから終りまで、女性の愚痴を聞かされたという感じになるのだけれど、これは男だけの視点か。

4月24日(日)まで