酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

映画「フランシスコの二人の息子」

2007-02-28 01:18:26 | 映画
26日は九段会館の試写会に行ってきました。
会社帰りのOL、定年後の夫婦などでいっぱい。笑ったり、拍手したり試写会のお客さんは反応いいんですね。無料で見た上、精一杯楽しんでます。

映画は ブラジルの作品「フランシスコの2人の息子」 。
非常にシンプルですが、気持のいい映画です。根っからの悪人は一人も登場しません。ブラジルの人気デュオの子供時代から有名になるまでを描いています。
悲しいエピソードもありますが、全体は明るいトーン。貧しい時代の子供達の表情もいいですが、なんといっても父親と母親がすごく素敵です。
子供をミュージシャンにしたいと夢見る父親、それを優しく見守る母親。時々の表情がうれしくなるほど素晴らしいのです。

わかりやすい筋、全編をながれる音楽が、感動を盛り上げてくれます。、同じ実話の映画化で比べると、日本アカデミー賞の「フラガール」より人物が生き生きしていて、この方が絶対上だと思います。

唯一、ブラジルの女性がこんなに優しくて、つつましやかだとは、ちょつと信じられませんが。

「ひばり」

2007-02-17 09:59:44 | 演劇
蜷川幸雄演出・ジャン・アヌイ作。
出演 松たか子・橋本さとし・壤 晴彦・小島 聖 Bunkamuraシアターコクーン

「ひばり」はフランスの演劇作家ジャン・アヌイの最高傑作と言われる芝居だそうだが、正直どこが面白いのかさっぱりわからなかった。

松たか子は祖国思いで純真なジャンヌ・ダルクを精一杯演じている。脇役陣も個性派を揃え、大きな破綻はない。なのに退屈なのである。
フランスの歴史や宗教に詳しければもう少し共感出来たかもしれない。
セリフが聞取りにくく、役者の表情がはっきり見えない後ろの席であったせいもあろう。
また、観客を裁判に参加させる意図から客席の照明が点灯したままだが、これが気が散るし、すごく暑い。いろいろ条件も悪かった。

強い女ジャンヌダルクといういままでのイメージを、神の啓示を受けた普通の田舎の女の子とする作者の意図ははっきり見える。
しかしそのピュアさが、他の人達との対立の構図を曖昧にし、芝居の緊迫感を稀薄にしているのではないか。
加えてそのピュアさと、隊長やシャルルをだますテクニックとのギャップもしっくりしない。

それを演出でカバーしてほしかった蜷川さんが、あまりにもたくさんの芝居に関わり過ぎて、十分目がいき届いてないのでは思わせるほど、最後まで感情移入のできない作品だった。

NHKで放映がありそうだから、もう一度ゆっくり見てみたい。


映画「悪夢探偵」

2007-02-09 11:25:53 | 映画
「悪夢探偵」をシネセゾン渋谷で見た。
監督は日本よりも海外で評価が高い塚本晋也。前から興味はあったが、見るのは今回はじめて。
出演は松田龍平、歌手のhitomi、安藤政信、大杉漣など。

夢と現実とが交差する不思議な物語。サイコホラーというのだろうか。血もいっぱい流される。

ネット仲間との自殺や携帯による一種の催眠??など現代が抱える問題も織り込まれている。

どうやって悪夢探偵は犯人に勝ったのか、幼児期の事件がどう影響したのかなど、よくわからないところもあったが、どっちにしても夢のお話だから仕方ないっか。

俳優のアップ映像の多さやカメラの早い動き、それに音響で驚かせるなどB級映画風の魅力もある。

悪夢探偵、影沼京一役の松田龍平くん。「NANA2」に出ないと思ったらこんなところに。確かに眠そうで、「いやだ、いやだ」と言っているめんどくさがりやのこの探偵役の方が似合ってるかも。
長編映画初出演というhitomiはエリート刑事・霧島慶子役。セリフに所々素人っぽさがみえるが、それを上回る目の力があり好演。

ラストでの悪夢探偵とエリート女刑事の川べりのシーンの会話。人の夢に入ることと、人の心に入ることとは、ちょっと違うような気がするんだけど・・・。まあ最後に恋の予感で終わって、めでたしめでたし。続編を期待させるセリフもある。


「コリオレイナス」

2007-02-05 15:30:17 | 演劇
蜷川幸雄演出の『コリオレイナス』を2月3日(土)に見ました。またまたシェークスピアもの。出演は唐沢寿明・白石加代子・勝村政信。彩の国さいたま芸術劇場

あれっ!蜷川さんも「劇団☆新感線」路線ですかい。戦闘シーンが多くて、切り合いに効果音入れて、血も吹き出します。
でも殺陣は新感線の「朧の森に棲む鬼」の迫力に負けてます。ロンドンまで行くならもうちょと練習した方が・・・。

それにシェークスピアものにしては悲劇性が薄く、唐沢さん演じるコリオレイナスの自滅的な色合いが強いため、マクベスのような心の葛藤部分が少ないのです。後期の作品で、シェークスピアも少し淡白になったのかもしれませんね。

この日の舞台では唐沢さんの声が苦しく、最後殺される原因となる傲慢さが感じられませんでした。またジュ-ニアス・ブルータス役の手塚秀彰さんも前半早口で、せりふが聞取りにくかったのも残念。

今回襖絵を使った舞台美術は、相変わらず斬新で非常に魅力的ですが、ちょっと海外ウケを狙い過ぎの感じも。

面白かったのは個性的な役者さんの多い民衆たち。為政者の動きを見ながらころころ心変わりしていく様子が、上手に描かれています。
また演技が光るのは白石加代子さん。白石さんがしゃべりだすと観客が異常に静まりかえるのが印象的。

でも、ロンドン公演はもう一ひねりしないと『タイタスアンドロニカス』ほどの評価は無理かもしれません。(と、私は思うのですが・・)

映画「王の男」

2007-02-02 23:49:44 | 映画
男には珍しく、涙を流すとすっきりするという、Kに映画に誘われた。
Kの希望は松潤の「僕は妹に恋をする」。
兄妹の純愛なんてと私が拒否して、韓国映画「王の男」へ行くことに。
ええっ!見てびっくり、こちらは男同士の純愛だった。

一人はワイルドな赤井英和似の男で綱渡りをはじめ芸の名手チャンセン、片方は若い女形芸人コンギル。本当の女性より美しく見える。

宮廷を皮肉った芝居で王を笑わせ上手く宮廷に入り込み、一度は成功したかに見えた二人。

わがままな王と家臣達の争いに巻き込まれていく。為政者の気まぐれに翻弄されるのは世の常、二人の運命はいつか悲劇的な方へと・・・。

韓国で大ヒットした割りには、日本では当らなかったが、非常によく出来た映画である。
イ・ジュンギやカム・ウソンをはじめ、俳優はそれぞれ個性的だし、映像も美しく一つ一つのシーンが印象的。
ラストの生涯最後の綱渡りのシーンには、泣かせられた。

ただ一つ違和感があったのは、主人公の男同士の関係。宣伝文句では「固い友情で結ばれた幼なじみ」という設定のようだが、ホモセクシャル的でもあるし、親子の愛情風にも見えるし、友情らしくもある。
死をかけてのつながりにしては、関係が今ひとつすっきりしないのがひっかかった。