酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『アマルフィ 女神の報酬』

2009-08-15 19:17:39 | 映画
「アマルフィ 女神の報酬」
監督は昨日もWOWOWで放映された「容疑者Xの献身」の西谷弘。
 
真保裕一の原作は読んでいないので比較できないが、映画の筋はかなりおおらか。
誘拐の動機や身代金の受渡しなど、何故という部分は多い。また天海祐希(紗江子役)と佐藤浩市(前田役)の関係の説明不足によるもやもや、佐藤が殺された妻の復讐のため乗り込むシーンのまだるっこさなど、個々の不満はきりがない。

しかしサラ・ブライトマンの歌声とアマルフィやローマの風景で、それなりの満足感を与えてしまうフジテレビの商売上手にはつくづく感心するばかり。 最近見た映画の中では、圧倒的に劇場の入りがよかった。

主演の織田裕二(裏の顔のある外交官黒田役)の演技はいつものパターンだが、織田がやればどんなシチュエーションも納得させられてしまうのが、数少ない映画スターである証明か。

『来来来来来』

2009-08-11 14:23:11 | 演劇
劇団、本谷有希子第14回公演「来来来来来」を見た。
作・演出:本谷有希子 出演:りょう、吉本菜穂子、木野花など  下北沢本多劇場。

本谷有希子の舞台は初めて見た。評判どおり面白い。そしてパワーがある。
最近倉持裕、田村孝裕、岡田利規という3人の若い男性の有望な演出家の舞台を見たが、そのエネルギーは3人集まっても本谷有希子一人に及ばない感じ。

自衛隊出身の女性が、田舎に嫁いでくる。しかし夫は失踪。残された彼女は、野性動物園を経営する夫の母や兄嫁のいじめを、なんとか乗り越えようと努力するのだが・・・。

内容は決して明るくない。主人公にすべて共感できるわけでもない。もやもやは残るのだが、見た後元気が湧いてくる不思議な芝居である。
あけすけなセリフと本能のままの行動のぶつかりあいがその源かもしれない。
本谷有希子の映画を見た人には、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 」がもう一段パワーアップした作品と言えば、わかりやすいかもしれない。

おすすめだが、8月16日が千秋楽でもう完売かも。


『桜姫』

2009-08-03 13:03:36 | 演劇
「桜姫」渋谷・シアターコクーン
作:四世鶴屋南北、演出:串田和美 出演:中村七之介・中村勘三郎・中村橋之介・笹野高史ほか。

先日、長塚圭史作の南米版「桜姫」を見たが今回はその歌舞伎版。
と言っても串田和美の演出で、斬新な試みが随所に見られる。

南米版では十字架を本当に背負って演技するセルゲイ役の白井晃が目立っていたが、今回は桜姫役の中村七之介が中心。特に可憐な前半部分は惚れ惚れする。後半の遊女に身を落としてからは、セリフの使い分けなどもあり、切味がにぶったのは残念。

中村勘三郎が今回は押さえた演技で好演。カーテンコールの時をはじめ、桜姫を演じる息子七之介への思いが随所に見えて微笑ましい。

でも私の好みで言えば、破天荒な南米版の方が好きかな。