酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『プーシキン美術館展  フランス絵画300年』

2013-08-18 21:42:47 | 美術館


「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」 於:横浜美術館

モスクワのプーシキン美術館所蔵のフランス絵画の中から66点を展示。
今まで横浜美術館はどちらかと言えば地味な展示が多かったが、今回は一見の価値ある絵画が集まっている。

全体的には人物画が多い。見どころはやはり印象派の作品。有名なモネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホなどの作品が並ぶ。
一番の売り物はルノワールの「ジャンヌ・サマリーの肖像」。あたたかな色彩とモデルの可愛らしさもあって多くの人を集めていた。

私の好みを三点挙げるとすれば、セザンヌの「パイプをくわえた男」・マティスの「カラー・アイリス・ミモザ」・ルソーの「詩人に霊感を与えるミューズ」か。特にマティスの作品の色合いに魅かれた。

有名な作品の前は二重三重の人垣で、もうちょっとゆっくり見たかったのが本音。でも会期が迫ってきたのでこれからもこの状態が続くかも。
(横浜美術館は9月16日まで)

『激流~私を覚えてますか?~』   

2013-08-14 09:37:12 | テレビ

「激流~私を覚えてますか?~」

テレビドラマ「激流~私を覚えてますか?~」が終りました。ミステリーに青春物語が加わって、NHKさん中々面白かったですよ。
でも最終回は秋芳美弥(ともさかりえ)の弟の秋芳研二(高橋一生)が事件にもっと深く関与していて、一波乱あるのを期待していたのですけどね。

ドラマの中で、事件に大きく関わっていながら、それを人のせいにするセリフが何度も出てきました。これは人間本来が持つ弱さなのでしょうか、それとも現代の病根??考えさせられました。

「激流」は小野寺冬葉事件の解決で、同級生たちの結束が増し無事終わりました。けれども、親をめぐる秋芳美弥と弟とのバトル、殺人犯の夫を抱える河野貴子(国仲涼子)のこれからなど、激流の状況はまだまだありそうですよ。

ところで舞台「少女とガソリン」のアイドル役で出ていた「下宮里穂子」、エンドロールに名前が出てから注目してしていたのですが、とうとうその後の出演はありませんでした。残念!

『二都物語』

2013-08-08 14:10:15 | 演劇


「二都物語」帝国劇場
演出:鵜山仁  出演:井上芳雄、浦井健治、すみれ、濱田めぐみ、橋本さとし他

体調が悪くなる可能性があり、予約で芝居のチケットを取ることが出来なくなった。
二・三日前に席が取れる舞台を最近は観に行くことにしている。

今回は帝劇のミュージカル「二都物語」。
「二都物語」は受験勉強で覚えたのか、作者名ディケンズだけは知っているが、小説は読んだことがない。予備知識なく出かけた。
帝劇ということで華やかさを期待したのだが、舞台が意外に小さいのに加え、セットもシンプルでお金がかかっていない感じでちょっと不満。

フランス革命の時代のロンドンとパリが舞台。フランス貴族のダ-ニ―(浦井健治)と弁護士カートン(井上芳雄)の、革命家の娘ルーシー(すみれ)をめぐる物語。友達の家族の幸せを願い自分を犠牲にするカートンの決心が泣かせどころである。

「オペラ座の怪人」のような心に残る歌がないのがさびしいが、カートン役の井上芳雄の歌唱力がこの舞台の大きな魅力になっており、井上フアンにとってはたまらない時間だろう。

8月26日まで(井上芳雄の魅力に触れたい方にお薦め。まだ空席はありそう)


読書三昧(25年7月)

2013-08-03 09:15:22 | BOOK


読書三昧(25年7月)

7月に読んだ本
伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』
太宰治『グッド・バイ』
三上延『ビブリア古書堂の事件手帖④~栞子さんと二つの顔~』
佐久間由子 句集『岬日和』
梅村すみを 句集『欠伸』
デイヴィッド・ゴードン『二流小説家』


☆伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』

主人公は借金が返せなくなり、〈あのバス〉に乗せられ未知の地に連れて行かれるような状況になる。同時に付き合っていた五人の女性に別れだけはしたいと願い出ると、繭美という馬鹿でかい女を監視役に付けることで許される。順々に女性を回る内に・・・。
展開がたやすくよめないこと、登場人物の会話が面白いこと、ほのぼのした読後感のあることなど伊坂幸太郎らしい楽しい作品である。
この小説は太宰治の未完小説『グッド・バイ』へのオマージュだという。早速ブック・オフで『グッド・バイ』の文庫本を買ってきた。これがまためちゃ面白い。こんな小説を書く人が自殺するなんて信じられない。未完小説だがお薦め。太宰治のイメージが変わるだろう。

☆三上延『ビブリア古書堂の事件手帖④~栞子さんと二つの顔~』

1巻から4巻までで、栞子さんが石段の上から突き落とされる以外は、殺伐としたシーンがなく、心穏やかに読める小説で楽しい。
4巻はテレビドラマを見てから読んだのだが、新しい発見があった。本で読む栞子とドラマの剛力彩芽は全く結び付かない。一方の五浦大輔役のAKIRAはぴったりで小説をよんでいてもAKIRAの顔が浮かんで来る。あて書きと言っていうぐらいの一致である。
だからと言ってドラマの剛力彩芽が悪かったわけでない。あの若さで剛力彩芽なりの栞子像を作り上げたのは見事という他はない。ドラマの続編期待。

☆デイヴィッド・ゴードン『二流小説家』

訳がこなれていて、翻訳小説としては類を見ない面白さ。邦題を『二流小説家』と名付けたのも見事。
猟奇殺人の犯人から小説を書くよう依頼された売れない作家。将来犯人の告白本を出してベストセラー作家になることを夢見るのだが・・・。
猟奇事件の犯人探し、小説の中に挿入されるSF・ヴァンパイア小説などの面白さ、散りばめられている作者の文学論。
読み手の好みによりいろんなテイストもありお薦めの一冊である。
「このミステリーがすごい! 」(宝島社)、「ミステリが読みたい! 」(早川書房)、「週刊文春ミステリーベスト10」(文藝春秋)で1位にランクインしている。