「海辺のカフカ」 於:彩の国さいたま芸術劇場
原作:村上春樹、脚本:フランク・ギャラティ、演出:蜷川幸雄、美術:中越司
出演:宮沢りえ、藤木直人、古畑新之、鈴木杏、柿澤勇人、木場勝己他
村上春樹のベストセラー『海辺のカフカ』を、2012年に蜷川幸雄が舞台化。今回は一部出演者を変えての再演。
カフカを名乗る少年(古畑新之)の自分探しの旅が描かれる。
彼は世界で最もタフな人間になろうと、15歳の誕生日に家出をし四国に渡る。働かせてもらうことになった甲村図書館では自分の母だったと思われる女性佐伯(宮沢りえ)と出会う。一方、字を読むことも書くことも出来ないが、猫や犬と会話の出来る不思議な老人ナカタさんも同じ時に長距離トラックに乗せて貰って四国にやってくる。二人が近づくにつれ物語は不思議な展開に・・・。
動物虐待や過剰なセックスシーンもあるが、全体的には詩情豊かな魅力的な舞台に仕上がっている。
ただ蜷川の舞台装置や演出に過去に使った手法が結構見られ、私には気が散る部分があっつた。林の動くシーンは『ムサシ』の冒頭の竹林を、鰯が上からぼとぼと落ちて来るのは『近代能楽集』の椿が落ちるのを、宮沢りえが入っていたアクリルの箱はネクストシアターの舞台『美しきものの伝説』他を、母子の再会シーンは『身毒丸』など、その都度その舞台を思いだしてしまい、流れが中断されることがあった。
それだけ蜷川幸雄の今までの舞台が印象的だったとも言えるのだが・・・。
出演者では、不思議な老人ナカタさん役の木場勝己の演技が最高。その存在感に圧倒される。
オーディションで選出されたカフカ役の古畑新之も初舞台と思えないしっかりしたセリフ回しで頑張っている。
またジョニー・ウォーカー役の新川將人やカーネル・サンダーズ役の鳥山昌克が個性的ないい味を見せ、カフカを助ける若い美容師さくら役の鈴木杏のはじけっぷりも気持ちいい。
脇の役者さん達がメインの宮沢りえ、藤木直人などを上回る好演だったと私は思う。
現在大阪公演中(~16日まで)
今後の東京公演は6/21(土)~7/5(土)まで赤坂ACTシアター
おすすめだが、もうチケットはないかも。
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