医療費の高騰は保険制度自体を崩壊に導く。
21日に厚生労働省から2017年度医療費が発表になった。
42.2兆円で前年度より9,500億円増(2.3%)だそうだ。
75歳以上の医療費が4.4%増えたのが大きな要因らしい。
高齢者の医療費はこれからますます増加する。
なぜなら75歳以上の人口が増えるからだ。
ここで問題になるのが、だれが負担しているのかである。
健康保険組合の2017年度決算で1,394組合のうち、42%に当たる580組合が赤字だそうだ。
これだけではなく既に12組合が解散している。
国内2位の健保組合「人材派遣健康保険組合」が来年4月1日付で解散する。
解散して協会けんぽへ移行する。
さらに7月には生活協同組合も解散を決定している。
国は協会けんぽの加入者が医療費として払った額の16.4%を補助している。
このまま健保組合が成り立たなくなり、協会けんぽへの移行が進むと国庫負担が増加する。
要は、国が破綻に向かうことになる。
健保組合の赤字の原因は高齢者への医療費負担にある。
本来の保険制度とは自分たちが出し合った資金で、困った時に助け合う「共助」の仕組みである。
ところが高齢者医療を支えるために拠出金を支払っている。
加入者より高齢者分として支払った額が多い組合は全体の35%もあるそうだ。
要は、自分たちに使うよりも高齢者を支えているってことになる。
その結果として、健保組合の保険料が値上がりしている。
協会けんぽの平均保険料は10%であるが、それを超える場合は明らかに移行した方が加入者も企業も負担が減る。
この制度は明らかに破たんが近い。
以前にも書いたと思うが、医療費全体を四角で考えてみる。
その□は高齢者が増えると長方形のように横にのびていく。
面積は変わらないので横に伸びた分だけ上から押しつぶされる。
その押しつぶされるのが入院医療費と調剤医療費、そして薬価となる。
そう考えると調剤報酬が引き上げられる事など考えられない。
また、調剤医療費の約7割を占める薬価が引き下げられて最も影響を受けるのが薬局である。
多少儲かっている時に、経営体質を見直すべきじゃないだろうか。
ある医薬品卸の債権回収部門の人が話していたが、薬局の不良債権先が増えているそうだ。
中小薬局は既に現実の厳しさを感じていると思う。
ただ、悲しいかな中小薬局には何をどの様に対応していいのか分からない。
10月から毎月九州の主要都市を回る。
11月には四国4県で「薬局経営研究会」の開催もある。
そこで、一緒に何をどうしたらいいのかを考えていこう!