医療費の中から削減できるものとは…。
2017年4月の財政制度等審議会に提出された資料に「薬価改定・診療報酬本体改定の対象範囲(イメージ)」が示されている。
それによるとなぜかしら「薬剤費等」が赤枠で囲われている。
医科の医療費は30.6兆円あり、その内の約20%が「薬剤費等」となっている。
単純に計算すると約6.12兆円となる。
次に歯科の医療費は2.8兆円で「薬剤費等」は約10%となっており、0.28兆円になる。
調剤医療費は7.8兆円あり「薬剤費等」は約70%で5.53兆円となる。
そこで、先ほどの赤枠(薬剤費等)の合計は11.93兆円になる。
ここで医科の医療費における技術料(本体)は24.48兆円もあり、ここの削減が医療費抑制に最も効果が有る。
ところが残念ながらいろいろな力が働いて、なぜかしらアンタッチャブルとなっている。
ただ、さすがに入院医療については、医療が必要な人への効率化は図られている。
それが地域医療構想による病床数の適正化である。
本体が8割を占める歯科の医療費は約2.52兆円しかなく、ここを削減しても意味がない。歯科の医療費はわずかながら技術の進歩に合わせて、自由診療へのサポート分の引き上げを行っている。
残る調剤医療費であるが、ここも本体部分は約2.37兆円にしかならないことになる。
これを削減しても医療費抑制には何ら影響がないが、ここからの財源搾取が診療所の本体に回される。
「妊婦加算」の財源は大型門前対策から引っ張って行ったのか。
醜いパイの奪い合いでしかない。
実は、医療費抑制の本命は「薬剤費等」にある。
何と言っても11.93兆円もある。
調剤報酬などの比ではない。
ただ、この「薬剤費等」にはDPC採用の病院や療養型入院患者の分は含まれていないはずだ。
ここは薬価として分離できないからである。
薬価が引き下げになると、定額医療の医療機関は報酬が下がるわけではないので、その分の利益は増えることになる。
これは実質上の報酬引き上げになりそうだ。
話が逸れたが国は「流通改善ガイドライン」などと言っているが、本音では薬価の引き下げを願っているのではないだろうか。
いよいよもって未妥結減算に向けた期限が近付いている。
前回と同じ値引率など夢のまた夢だ。
どこも前回から1~2%アップの値引率対応である。
これって今までの値引率が適正ではなかったってことなのか。
それとも大手調剤チェーンなどの影響が中小薬局に及んでいるのか。
医薬品卸が中小薬局に提示した価格が適正だとするなら、大手調剤チェーンにも同じ価格で対応して欲しい。
本当に薬価を維持したいと国が望むなら。
強い者いじめをして欲しい。